呉座勇一のレビュー一覧
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読むたびに通説と歴史の真実の差を思い知らされ歴史のロマンを減らされてしまう、それが呉座勇一。でもまあ何が真実なのかとか、どこまでわかっていて、どれが例えば江戸期以降の創作かとか知ると、歴史に対する客観性が増して良いのだけれど。本書は日本史上の偉人や最近評価を上げた8人(源義経、西郷隆盛、山本五十六、明智光秀、石田三成、田沼意次、後鳥羽上皇、織田信長)を取り上げて、その敗者たる所以を語り、現代に活かす知恵をそこから得るという構造。改めて知るとことも多いとはいえ、これまでの呉座氏の本を読んでいるとそこまで新しくはないかな。現代にどう活かすかという点はほとんど一言で終わっているし。大体呉座氏の本を読
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しくじり先生日本史編。
歴史上で敗者として語られることの多い人たちにスポットを当て、彼らの失敗から学ぼうという趣旨の本。
現場監督編、雇われ社長編、オーナー社長編という3項目に、8人の敗北者を振り分けたうえで、1人1人丁寧に解説されています。
歴史学者の著書だけあって、失敗までの過程がかなり詳しく書かれていて、知らなかったことも多くて勉強になりました。
通説では評価されてるけど実際はそんなに凄くなかったから失敗した、という論調が多いです。
私が一番面白かったのは田沼意次の章。
私自身もメディア等の影響で、彼には汚職政治家というイメージよりも、斬新な改革者という印象を持つようになってました。 -
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日本史上屈指の大乱ということであるが、応仁の乱が始まる前もそこかしこで戦いは始終起きているし、乱が終わった後もいろいろなところで戦が絶えない。京の都が思いっきり戦場になったというところや、動員された軍勢の規模が違うのだろうが、この情勢であればいつ大きな戦争が起きてもまったく不思議がない
著者は応仁の乱が当事者の意図を超えて拡大した様子を第一次世界大戦になぞらえるが、『八月の砲声』を読んだときも、「列強がそれぞれ軍事力で相手を潰すことしか考えていない。これは戦争にもなるよな」と思ったので、両者が似ているという点に関しては同意見である
名前がたくさん出てくるし、集合離散も激しいし、一族の中でい -
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ネタバレ日本史の中で一度成功を収めたものの最後には失脚し敗者となった者達を、失敗の原因を考察しつつ教訓を得ようとする書籍。
山本五十六の失敗には納得できないことがかなりあった。現場主義として取り上げるのなら実際に部隊の司令官として戦った南雲忠一を取り上げるべきであると考える。山本は作戦方針を上手く伝えなかったとあるが、南雲が上手く山本の意思を読み取らなかったことが原因であるとも言えるし、軍令部と連合艦隊の関係は山本五十六が問題の原因ではなく、連合艦隊司令長官の立場をうまく利用して作戦を遂行した山本を称賛すべきだと考える。山本五十六の欠点を粗探しし、敗戦の責任を押し付けている様に見えた。本来なら南雲を -
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何年も前に話題になった本で、ずっと読みたいとは思っていたのですが、ついつい後回しにしてしまい、このタイミングでようやく手に取りました。
応仁の乱については、小学校でも中学校でも高校でも習ったはずなのですが、戦いの中身についてはほとんど記憶に残っておらず…。
そんなわけで、新たに学ぶつもりで、読み進めました。
応仁の乱は、領地の争いや家督の争い、後継者問題、役職の争い、武士としての仁義、過去のしこりに由来する仇討ち、といったものが入り組んでの戦いであり、しかも、戦い開始時の東軍の総大将の細川勝元と西軍の総大将の山名宗全は、別にバチバチの関係にあるわけではなく、むしろ畠山氏の家督争いに巻き込ま -
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応仁の乱(1467-1477)は、日本史の画期と言われる。
画期というからには、日本史は「応仁の乱」前と、「応仁の乱」後に区分出来るということだ。
ということは、我々は「応仁の乱」後を生きている、と言える。
日本の文化、日本人の宗教観•意識、日本語は、この乱を境に大きく変貌した。
本書は、その画期を成す乱をコンパクトにまとめているが、その全容を掴むのは極めて難しい。
何故なら、保元•平治の乱のように、敵対勢力を明確に区分して、勝ち負けをはっきりさせることができないからだ。
最初は、敵味方、勝ち負けがはっきりしているように見える。
しかし、それがズルズルと全国レベルに広がり、10年以上もそんな -
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序文を読み流したため、本書が良くある歴史人物の
名言集から導く歴史テーマの解説と思い退屈気味に
時間をかけて(飽きて)読んだが、最終章を読んで
言葉(虚実併せて)から内面を問う武士の本質を紐
解く一書だと分かる
昨日知った藤木久志先生が説く「自立の村」に通じ
る自立救済が中世初期の武士の発想の根源だったが
やがて暴力の社会にも秩序が生まれ「喧嘩両成敗」
という「秩序」らしき慣習になり、戦国大名という
組織が利用して戦の世のルールとなる
やられたらやり返すが家臣たちの中で乱発すること
は組織崩壊になるので、理由の如何を問わず喧嘩を
したら双方死をもって償う、(自力救済)報復を我
慢して仰いだ者に -
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P312 承久の乱の歴史的意義
朝廷や院政、荘園制といった政治、社会体制を否定しなかったものの、幕府の権益は拡大し、朝廷は固有の武力を失い戦力不保持を強要された。
それまでは朝廷が独自の軍事力を持っており、その軍事力をもって後鳥羽上皇は挙兵した。しかし挙兵してみると従軍する武士は少なく、在京御家人をはじめ幕府方に付く者が多かった。ここで後鳥羽上皇は三浦義村を寝返らせることを画策していたようだが失敗。御家人筆頭格でもあった三浦が幕府方に付いたことは、他の御家人にも影響を与えた。
天皇制の形式化、武家政権の誕生が北条家をたどることで見えてくる。あと三浦義村の存在の大きさを改めて知って驚いた。 -
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司馬遼太郎の描く小説は、山岡荘八とか他の歴史作家が描くものに比べたら、すごく客観的で思い入れがあまりなく、その分公平な視点で書かれていて面白いなあと思っていたのだが、それを史実として読んではいなかったように思う。しかしこの本を読んでみると、やはり一定程度、史実として読んでいたんだなところ気付かされた。
結局のところ同じ、家康や信長、秀吉や明智光秀などの評価はその時代時代の価値観によって左右されるとのことなのだけれど、ではつまり、生きる時代によってどう捉えるかは皆んなの自由なのだから、実像と虚像という視点は持たない方が良いんじゃないかなと思った。 -
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日本国内の歴史修正主義の問題点や歴史修正主義の議論への対応に対する検証はもちろん今でも意味の大きい議論だとは思う。また、2020年に本書が出版されたこと自体にも大きな意味はあったと思う。
ただ、出版後2年でいろんな出来事があったり、いろんなことが分かったりした今読んでも、タイミングが遅すぎた
他方で、旧宗主国と旧植民地との関係に視野を広げた議論や、その関係性の議論をベースとした日本と韓国、アジア諸国との関係の議論は、高校の世界史で習っている歴史が基礎となってきる議論のはずなのにあまり考えていなかったことに気づいた。自分にとっても視野がが広がったと思う
4勝以下は流し読み -