呉座勇一のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
今年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の時代考証を担当するはずであった呉座氏による同書は、鎌倉幕府の成立史を頼朝と義時という二人の人物を中心に叙述されている。しかし、伝記的な記述ではなく、彼らが朝廷、貴族社会といかに対峙し、武家政治を切り開いていったという点が重視されている(p.7)。また公武対立が運命的であったとみなす公武対立史観には立っていない。ここに本書の特徴がある。
著者が有名になったきっかけであるベストセラーの『応仁の乱』(中公新書)と基本的には同じスタンスでの叙述かとは思うが、応仁の乱よりも登場人物たちの入り組み方は複雑ではなく、その点、『応仁の乱』よりもわかりやすいかもしれない。
-
Posted by ブクログ
本能寺の変をはじめとする日本中世史における数々の陰謀・謀略(があったのではないかとされる事件)について、最新の研究成果も踏まえた先行研究を抑えつつ、歴史学の手法に則って客観的・実証的に分析し、陰謀論の誤りをただしている。
「足利尊氏は陰謀家か」「日野富子は悪女か」「本能寺の変に黒幕はいたか」といった陰謀論の検証を軸に、日本中世史(政治史)の様々な最新学説を瞥見でき、知的な面白さがあった。20年ばかり前になる高校時代の日本史の教科書の記述も、だいぶ古びてきているんだなということを感じた。
本書は、陰謀論に引っかからないための耐性を身につけるのに有意義な本であるといえる。当時の人々も未来が完全に見 -
Posted by ブクログ
陰謀論とは、「世の中(又は自分)がこんなにダメなのは、どこかで誰かが邪魔をしていて、それを取り除けばすべてうまくいく」という考え方だと内田樹の本から学んだ。最近のマスク不足にしても、需要超過(供給不足)が原因なのに、誰かが買い占めて高値で売っているのが理由だから転売禁止にすればいい、という考え方も一つの陰謀論だと思う。
本書では、歴史の陰謀論について「誰かがあらかじめ仕組んだ筋書きどおりに歴史が進行した」という取りあえずの枠組みを提起し、保元の乱から関ヶ原の戦いまで、様々な大事件についての陰謀論について、それが世の中に受けていても、事実はそんな単純なものではないということが論証されている。その -
Posted by ブクログ
日本史好きな私にとって
第一章~第七章の内容も非常に興味深い内容でしたが,
終章の『陰謀論はなぜ人気があるのか?』
が一番勉強になりました。
陰謀論の特徴を
①因果関係の単純明快すぎる説明
②論理の飛躍
③結果から逆行して結論を引き出す
という3つに分類した上で、
何故陰謀説が人々に受け入れられるのか
という問題に対して納得のいく回答が得られ,
満足しました。
「フェイクニュース」「ポスト・トゥルース」
といった言葉に代表されるように,
誤った情報が蔓延る現代において,
ここで記載された情報を
自らのリテラシーとして吸収したいと思いました。 -
Posted by ブクログ
『応仁の乱』で有名な呉座勇一による一冊。
保元・平治の乱から関ヶ原の戦いまで、主に武家が台頭して以降の中世史について。
いわゆる陰謀論の大半を否定してるので面白みはない。
ただ、以下の2点は陰謀論に与しやすい自分にとっても勉強になった。
・加害者(攻撃側)と被害者(防御側)の立場が実は逆である可能性
・最終的な勝者が全てを予想して状況をコントロールしてると考えるのが陰謀論の特徴
つまり、陰謀論は結果から逆算してるから、後付けで何でも言えてしまう。
陰謀論は単純明快だし、何よりロマンがあって面白いのですが、安易に信じないように気をつけねばと思った。
P.S.疑似科学との類似性というのも -
Posted by ブクログ
陰謀論で溢れかえる巷のトンデモ歴史観を、歴史学の視点からバッサバッサと痛快に斬って捨てる歴史マニア向けの心得本です。
以前より私も歴史のトンデモ話には眉をひそめていた一人ですが、何で歴史学からの批判が無いのかなあと思っていたら、やはりアホらしくてまともに取り合ってられないということでしたね。
ですがたとえアホらしくても、学界と一般大衆をつなぐ共有観念としてこのような取り組みは必要だと思っていたのですが、氏のようにある程度名が通った学者が徹底的に斬って捨ててくれたことで、とても良かったと思いました。
日本中世の話がメインテーマなのでいまひとつ一般の人にはわからないトンデモ歴史もあったと思います -
Posted by ブクログ
応仁の乱で一躍有名になった著者の前著。
最後に「ハト派こそがリアリズムに徹するべきである。そのために歴史学が貢献できることは、まだまだあると思っている。」また、あとがきに「私は軍事学の専門家ではないし、ミリオタでもない。にもかかわらず中世の戦争を取り上げようと思ったのは、この分野の研究が一番遅れているからだ。」と記載のあるように、鎌倉中期から室町期を通じての戦争(合戦)に向かう武士の姿を丁寧に描き出しつつ、戦争の姿、平和の姿を見いだそうとしている。教科書では単に年表的に過ごされ、歴史小説では武勇伝的に描かれる武士の姿が、単にそれだけではない様子で丁寧に論じられるのが好ましい。また、時折顔を出す