呉座勇一のレビュー一覧

  • 頼朝と義時 武家政権の誕生

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    北条義時 好き。
    平安後期から鎌倉初期の物語性は今後も語り継がれるであろうし、謎の部分が新たになっていくのも楽しみである。

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    2025年11月15日
  • 陰謀の日本中世史

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    タイトルはおどろおどろしいが、要は日本中世史に蔓延るトンデモ話を1つ1つ丁寧に斬っていこうと言う本である。どこかで聞いたことのある話から存在すら知らなかったもの、果ては部分的に信じていたものまでその内容は多岐にわたる。
    大事なことは歴史であろうと情報のアップデートは必要ということ。たとえば頼朝義経初期から不仲説や日野富子悪女説などは30年前に歴史を齧って以降そのままという人は割と信じている可能性が高い。全てのアップデートについて把握することは不可能であるしまたその必要もないのだが、自分の頭の中に刷り込まれた歴史観が絶対ではないということを前提に情報を仕入れた方が良いのだろう。
    またトンデモ論に

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    2025年08月23日
  • 応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱

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    興福寺の僧による日記を主なベースとして、応仁の乱前から、乱後までを詳しく紹介してくれます。ただ登場人物と年号が多すぎて、巻末の年表に頼らないと、前後関係がわからなくなります。なんとか読み終えた感想としては、室町版「仁義なき戦い」をダラダラと続けていたのだなあと思いました。応仁の乱のはるか昔に、ローマがカルタゴをザマの会戦(アフリカ大陸)で破ったことを思うと、本書に描かれている争いのスケールの小ささに悲しくなりますよ。

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    2025年03月27日
  • 日本史 敗者の条件

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    上手く事が運び、類似事案に直面して「あの時に上手く運んだ」と繰り返して成功する場合が在る。他方に上手く事が運ばず、類似事案に直面して「あの時はうまく運ばなかったから少し考える」ということをして成功に到る場合が在る。
    その後者の考え方で、史上の知られるような実績を上げた人物が「敗者」になって行ってしまった経過を考えるのが本書であると思う。
    「敗者」とは言え、その名や事績が伝わる成功はしている。それが何故上手く事が運べなかったのだろうかと考えるのが本書だ。非常に興味深い。
    本書では源義経、西郷隆盛、山本五十六、明智光秀、石田三成、田沼意次、後鳥羽上皇、織田信長という史上の人物達に纏わる話題を取上げ

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    2025年02月21日
  • 応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱

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    名前は知っているがその内実はほとんど知られていない応仁の乱。そのあまりの縦横無尽ぶりに高校の教科書でも概要以外はさじを投げるほどだが、本書ではその応仁の乱を大和国・興福寺・畠山氏の諍いから方程式のように紐解いていく内容となっている。
    大元は6代将軍足利義教の短気が尾を引いていること、日野富子と足利義視、細川勝元と山名宗全の関係は義尚誕生時点でも決して悪いものではなかったこと、実質的には勝者のいない泥試合でも形式的には結局どちらの勝ちで終結したのか、応仁の乱は何をもたらして戦国時代に繋がっていったのかなど、視点を変えるだけでこれだけ明瞭になるものかと非常に驚く(ただ、これでもまだ相当に複雑ではあ

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    2025年01月28日
  • 応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱

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    戦国時代の契機となったとされる応仁の乱を大和国興福寺の視点を交えつつ描く。戦国時代の始まりは、応仁の乱とされるが、明応の政変がきっかけと著者は指摘。応仁の乱後もかろうじて維持されていた守護在京制は、明応の政変を機に完全に崩壊し、守護は国元帰り国人を統率せねば領国を維持できなくなった。

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    2025年01月05日
  • 頼朝と義時 武家政権の誕生

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    ネタバレ

    鎌倉時代に興味があってどっぷりと浸かりたい人におすすめしたい一冊。

    呉座先生の論旨だけでなく、過去の研究動向がしっかりと整理されているので、これから歴史学で卒業論文を執筆する人にも書き方の参考になるかと思う。

    源頼朝はあくまで貴族社会出身であることを踏まえ、一貫して朝廷権力との協調路線を貫いたこと、頼朝以降の朝幕関係は幕府の朝廷権力侵略ではなく、朝廷側の幕府依存等に原因があるとする説は鎌倉時代を理解する上で大きな意味があると思う。

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    2023年06月20日
  • 教養としての歴史問題

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    ある種の「歴史」を語るのが憚られる雰囲気が漂う昨今、正面から切り込む一冊でした。非常に参考になりましたが、こうした言説すらも攻撃の対象になるのかもと思うと難しい時代になったと思います。

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    2023年05月15日
  • 戦国武将、虚像と実像

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    創作と歴史学の狭間。大衆的歴史観の変遷と影響を考察した切れ味鋭い一冊。

    江戸時代、明治から昭和そして戦後と日本史上の人物の評価は時に二転三転する。

    明智光秀、斎藤道三、織田信長、豊臣秀吉、石田三成、真田信繁、徳川家康。

    古今多くの書籍から論ずるだけに説得力のある内容。良く作家の「新たな〇〇像」といったものも実は過去の先人の解釈の焼き直しだったり。

    良かれ悪しかれ日本史における司馬遼太郎の影響の大きさには何より驚かされる。

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    2022年10月11日
  • 戦国武将、虚像と実像

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    道三、信長、信繁はかなりかわったなあと感じます。ドラマ、小説の影響大です。ただ、専門家は史実だけでいいし、一般的には史実とフィクションがあるのは当たり前だと思います。

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    2022年08月02日
  • 頼朝と義時 武家政権の誕生

    購入済み

    大河ドラマの副読本として最適!

    2022年6月読了。

    「鎌倉殿の13人」を見ていて、「これは何処まで史実なの?何処からが創作なの?」と感じることが多く(それだけ三谷幸喜氏の脚本が素晴らしいのだが)、副読本に成るような文献を探していたが、単なる便乗本や執筆年月が古過ぎる本など、色々有って困っていたのだが…、コレは正にドンピシャ!!と膝を打つ良書だった。

    当の著者が、そのドラマの歴史考証から外された事は全然知らなかったが、正直視聴者としては史実について教えてくれればそれで良いのだ。

    読了後に感じたのは、脚本の三谷氏は「あくまで『吾妻鏡』を原作として書いている」と仰っていたけれど、中々どうして、著者の様な専門の研

    #切ない #笑える #タメになる

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    2022年06月28日
  • 戦国武将、虚像と実像

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    題名の「虚像と実像」というのは、史上の人物達に関して、実は“虚像”が創られ、創られた“虚像”も様々な変遷を経て現在に至っているという指摘であり、そういう事柄に「気付いてみるべきではないか?」という内容になっていると思う。
    本書では、史上の人物達の中で、様々な形で一際多く取上げられているのが戦国武将であるとし、戦国武将達を巡る人物像が論じられたような経過を色々と掘り下げている。
    本書で取上げられているのは、明智光秀、斎藤道三、織田信長、豊臣秀吉、石田三成、真田信繁(所謂、真田幸村)、徳川家康という人達だ。小説や映画やテレビドラマや、その他にも色々と登場する人物達ばかりで、各々の人に関して「或る程

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    2022年06月05日
  • 応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱

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    ロシア文豪による長編小説のような複雑さと面白さ。多くの人がしているように、登場人物とその相関図をメモしながら読んだ。800年も前なのに、こんなに詳しいことがわかっているなんて驚き。日本人って昔からほんとに筆まめ。

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    2022年03月14日
  • 教養としての歴史問題

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    昨今オープンレター問題で話題の呉座勇一氏が本書で論じるのは奇しくもことの発端となった網野善彦。本書で強調される「国民の物語」としての歴史が歴史修正主義という悪貨によって駆逐されている状況は、社会を変えていくためにマジョリティとどうコミュニケーションを取っていくか、その方法論が問われるわけだが、それは冒頭の問題を巡る差別を取り巻く状況にもまた当てはめるのは偶然ではなかろう。

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    2022年02月08日
  • 応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱

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    再チャレンして完読
    人名が出るたびに ノートにメモ
    人間関係を 見ながら 読んだ
    引き込まれる内容 最高

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    2022年02月03日
  • 頼朝と義時 武家政権の誕生

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    ネタバレ

    著者の愚行により執筆をやめる寸前だった本書
    内容は期待通りの良書である
    何よりも馴染みない平安末期の関東武将の名前
    がある都度説明したページがカッコ書きで記載
    親切で読みやすく賢くなったと誤解するのだw

    一年前で頼朝の配流先は北条氏だと思っていた
    伊東氏(工藤一族)の説明で伊豆流人時の背景
    物語的に流さず個々の文献や論説の検証が緻密
    大河ドラマは本書を片手に楽しむゾ(*´▽`*)

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    2022年01月05日
  • 一揆の原理

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    本屋で見かけて購入。非常におもしろかった。一揆を、政権打倒を目指す「革命」や「階級闘争」とみなすマルクス主義歴史学的な見方を否定し、実際は政権の存続を認めた上での「訴訟の一種」「したたかな交渉」だったという研究成果。中世は百姓だけでなく武士も僧侶も一揆を結んでいた、集団だけでなく個人でも一揆を結んでいた、一揆はいわば「契約」だった、等おもしろい話の連続。 
    そして一揆を単に昔の出来事で終わらせず、日本人が社会の変化にどう対応して来たかという話につながるのが良い。中世の人々は既存の人間関係を見直し、一揆という「契約」によって新たな人間関係を創出することで危機を乗り越えようとしたという。現代も家族

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    2021年05月02日
  • 応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱

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    戦国時代に突入する直前の、混乱した室町時代後期。
    仏教勢力が支配する大和国の二人の僧が残した日記を読み解き、応仁の乱の起こる背景、直接の切っ掛け、戦況をつぶさに記します。

    近年の歴史研究の飛躍的な発展を反映させており、紋切り型でない実情を交えた記述に感じるところが多くありました。
    実際の領地支配の様子、地域支配者同士の小競り合い、室町幕府と有力な大名との関係などがわかりやすく感じました。

    その後の戦国時代、織田信長が仏教勢力に手を焼きつつ徹底的に武力でけりを付けようとするのも尤もだと思う一方、筒井氏を守護に任命したあたりが、改革の放擲とも感じられる、破滅への転換点だったのかも。少々飛躍して

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    2021年04月02日
  • 陰謀の日本中世史

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     日本史に興味があるなら小説家が書いたものや刺激的なキャッチフレーズ(「真実」とか「陰謀」とか「新発見」とか)のものを避けるべきである。そして、高校の日本史教科書又は高校日本史の参考書、もう少しやさしいのだと、『漫画 日本の歴史』あたりを読んだ方がよろしい。
     歴史研究書の体をなしたトンデモ本があふれていて大変危険なのである。
     司馬遼太郎みたいに「これは小説である」と書けばよいものを(作品名失念。)。

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    2021年03月19日
  • 一揆の原理

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     「一揆」という言葉から暴力的な抵抗運動というイメージを抱いていたが、この本を読んで人と人の繋がりこそが一揆の本質であることが分かった。反原発デモやアラブの春を一揆の文脈で解釈しており、歴史的な観点から現代社会を見直す醍醐味を味わえた。

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    2021年01月17日