呉座勇一のレビュー一覧

  • 戦争の日本中世史―「下剋上」は本当にあったのか―

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    社会科学に興味があるなら『応仁の乱』よりもこっち。制度の特徴が歴史にどのように影響を与えたか、社会環境の変化に応じて制度が生成・変化していく様の記述が多々ある。(かなりくどいが)戦後史学、特に日本史研究に対してマルクス主義がいかに影響を与えていたかを考えさせられるのもよいところ。

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    2019年03月28日
  • 陰謀の日本中世史

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    巷に数多ある歴史上の陰謀説に対して、状況証拠を駆使して反論していく。

    結果を知るものからすれば必然に思える出来事も、結局は偶然の積み重ねに過ぎないということか。

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    2019年03月23日
  • 戦争の日本中世史―「下剋上」は本当にあったのか―

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    本著で扱われている時代は、鎌倉末期から室町時代、元寇から応仁の乱くらいまでの期間。

    一通り日本史は学んできたつもりだが、鎌倉末期から室町時代というのは正直なところ印象が薄い時代である。
    建武の新政、南北朝、北山文化・東山文化、応仁の乱くらいで、そこから先は戦国時代、あんまり明確なイメージが無い。
    大河ドラマなどテレビの史劇でも、戦国時代や幕末を舞台にしたものは圧倒的に多く、あとは源平もので、室町時代を舞台にしたのは本著でも取り上げられている91年の大河ドラマ「太平記」くらいか(観ていなかったので覚えていないが)。
    この時代がここまで影が薄くなってしまったのは、建武の新政や南朝正統論が戦前の皇

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    2019年01月06日
  • 戦乱と民衆

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    白村江、大坂の陣、禁門の変など、
    時代はバラバラだが、戦乱の際に庶民が
    どう振る舞ったかという視点が面白い。

    意外にしたたかな、一般ピープルの横顔が
    浮かび上がる。

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    2018年11月25日
  • 戦乱と民衆

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    民衆の視点から戦争を再定義する。ここで取り上げられるのは、白村江、応仁の乱、大阪の陣、蛤御門の変。シンポジウムでの論説を掲載するもの。第2部として座談会も収録されているのだが、井上章一を交えたこの座談会が爆笑もの。なぜか「京都ぎらい」になっている。
    なかで倉本先生の「歴史から学ぶ教訓があるとすれば、ひとは歴史から学ばないということ、そして人は同じ過ちを何度でもくりかえすということ」に100%同意しちゃう。

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    2018年11月22日
  • 陰謀の日本中世史

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    さまざまな陰謀論にさまざまな証拠を上げて反論していく作スタイルで、その明晰さからたぶん著者の方が正しいのだろうと思うのだけど、いかんせんきわめて限られた史料しかないという現状があるので、科学の世界でよくあるように「完全に叩き潰す」ことってできないなあと思った次第。
    だから歴史には非専門家がはびこるっていう理由が一つあるかもしれないなあと感じる。

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    2018年09月22日
  • 陰謀の日本中世史

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    前著「応仁の乱」ですっかり時の人となった著者が、主に日本の中世史で見られる陰謀論を丁寧に検証した一冊。あとがきによると、これを機に歴史学の研究手法についても学んでいただければという思いもあったらしい。陰謀論に引っかからないためにどうしたらいいか?を考えるヒントもたくさんみられ、面白く読めた。

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    2018年09月22日
  • 戦乱と民衆

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    「民衆はいつも戦乱の被害者なのか」という視点はとても面白く、個々の論考は良かったが、対談の中で一部の研究者が現代政治を批判していて一気に興ざめしてしまった。上記のテーマ設定とずれていて、専門分野の研究結果を離れて結局、権力批判しているのは何か筋が違う気がする。

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    2018年09月03日
  • 一揆の原理

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    「応仁の乱」で話題になった呉座勇一氏のデビュー作。
    一揆の全盛期が中世であり、この時代における一揆は「契約社会」の下「既存の秩序の大幅な変更を迫らない」枠内で人々が「一味同心」することで自己利益の増大を目指すものであることが理解できた。呉座氏も指摘するように、一揆のあり方は現代にも大きな意味を持っていると思う。
    本書はとてもわかりやすい文体で書かれており、初学者にもおすすめ。一方、「応仁の乱」でも感じたのだが、本論と結論が噛み合っていない部分が散見されるのが、玉に瑕といったところだろうか。

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    2018年03月19日
  • 一揆の原理

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    歴史学に覆いかぶさっていたバイアスを払いのけるために書かれた本であり、言ってみれば蜘蛛の巣に対する竹箒のような本である。
    古代の呪術的な信仰は本気で信じられていたのかどうかについての考察や、鍬や鋤で戦うイメージはあくまで農民としての階級を受け入れたうえでの交渉であるとか、こういった当時の人々の考え方の背景が見えるのは面白い。
    その意味での目の振り向け方はそれなりに価値があるものの、運動論としての射程もそれほどあると言えないし、一揆の論としても、正直食い足りない。あまりよそ見せずに頑張って欲しい。
    ちょっと本文の内容になるが、宛先のあるものが一揆の核になる契約関係を示すとして、それならばそれを踏

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    2016年02月27日
  • 戦争の日本中世史―「下剋上」は本当にあったのか―

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    元寇から応仁の乱までの期間を戦争を通して概観する。
    やっぱり南北朝から観応の擾乱までの流れはすごすぎます。
    大将として全国を駆け巡り、何度も敗けながらそれでも立ち上がる尊氏ってどういう人物だったのだろう。立ち上がるというより担がれたんでしょうね。
    どんな国のあり方がベストなのかはいろいろあると思うけど、戦争のない状態を作り出すには高邁な理想よりも、身の丈にあった機会主義だったわけだ。それが後醍醐天皇と尊氏の違いでもある。仮そめの平和でも戦争状態よりはよっぽどいいよね。
    著者は階級闘争史観だけでは紐解けないっていうけど、俯瞰的に理解するにはやっぱり階級闘争と唯物史観のような気がしちゃうな。

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    2016年02月12日
  • 明智光秀と細川ガラシャ ──戦国を生きた父娘の虚像と実像

    ネタバレ

    便乗本の悪い例…。

    2025年6月読了。

    元々『京都ぎらい』で有名になった井上章一先生のファンなので、「光秀とガラシャの話かぁ」と何となく気になって拝読した。

    それぞれ立場の違う専門家が、この二人について論証(推論?)した本では有るのだが、興味は『細川ガラシャ(お玉)は美人だったか?!』に集中しており、それ以外は付け足し程度で読んでいて「力が抜けていく思い」で読了した。
    呉座先生の光秀考は一読に値した(確かに本能寺の変は“光秀単独犯説”が正解だろう)が、それ以外はバラバラに『細川ガラシャ』について、参考文献も統一せず思い思いに語ってしまっていて、「そんなにガラシャが美人だったかどうか、未だに気にしてる人なんて

    #笑える #切ない #じれったい

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    2025年06月16日