あらすじ
平安後期から戦国時代にかけて、政治・社会の中心にいた中世武士。日常的に戦闘や殺生を繰り返していた彼らのメンタリティーは、『葉隠』『武士道』で描かれた江戸時代のサラリーマン的な武士のものとはまったく異なっていた。史料に残された名言、暴言、失言を手がかりに、知られざる中世武士の本質を読みとく画期的論考。
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Posted by ブクログ
武士の名ゼリフに関しての連載をベースにしていて、そこから武士の価値観を見出すことができるのではないかとの気付きがこのタイトルになっているので、タイトルから想像する内容とはかなり違った。でも最近の研究の成果を取り込んでわかりやすく書いているので勉強になったし面白かった。源義家から始まり、鎌倉時代、南北朝時代、室町時代、安土桃山時代の武士や武士を評した公家などの名ゼリフを取り上げている。終わりにあったような当時の武士の価値観は、すでに菅野覚明さんの本とかで目にしてたのでそんなに新しい感じはなかった。
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平安後期から戦国時代までの様々な武士(例外あり)の発言を読み解いた小篇をまとめた一冊。そこから浮かぶ武士の心性の面からアプローチした武士論が終章となっている。それらの虚構性についても論じられており、各時代認識の点でも面白い。
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江戸時代の武士は本来の一所懸命の武士からは変質した。自分の領地を持ち、それを守ろうとすることが武士の原点である。領地のために懸命になるから一所懸命である。領地の御恩があるから主君に奉公する。これが承久の乱で朝廷を打ち破った鎌倉武士の原動力であった。
Posted by ブクログ
序文を読み流したため、本書が良くある歴史人物の
名言集から導く歴史テーマの解説と思い退屈気味に
時間をかけて(飽きて)読んだが、最終章を読んで
言葉(虚実併せて)から内面を問う武士の本質を紐
解く一書だと分かる
昨日知った藤木久志先生が説く「自立の村」に通じ
る自立救済が中世初期の武士の発想の根源だったが
やがて暴力の社会にも秩序が生まれ「喧嘩両成敗」
という「秩序」らしき慣習になり、戦国大名という
組織が利用して戦の世のルールとなる
やられたらやり返すが家臣たちの中で乱発すること
は組織崩壊になるので、理由の如何を問わず喧嘩を
したら双方死をもって償う、(自力救済)報復を我
慢して仰いだ者に勝訴という利益も与える(´・ω・`)
この感覚を知ったのは時代を理解するのに有難い
(清水克行先生の喧嘩両成敗の誕生読んだのにw)