鶴見俊輔のレビュー一覧

  • 戦時期日本の精神史 1931~1945年

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    78年から80年にかけてカナダの大学での講義を納めたもの。なのでやや思想的に古い箇所が散見されるが、それを補って余りあるほどの内容の本。
    当時の日本人の思想がどのようなものであったか知りたい人は必読の書。

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    2009年10月04日
  • 戦艦大和ノ最期

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     片仮名だし、文語体だし、ものすごく読みにくいのですが、後半はそんなもの気にならなくなります。
     みな格好いいのです……生き様が……死に様が……。

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    2009年10月04日
  • 旅と移動 鶴見俊輔コレクション3

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    本著は世界を旅した体験と経験と知見と思索の過程を伝える良書である。
    私たちは狭い視野の世界で生きている。文化や価値観というのは場所に根ざしており、それは風土による影響だったりもする。世界を見ても寒い国と暑い国とでは思想も宗教も価値観も異なることは歴史が証明している。
    さて、本著は旅に出て、その先で出会った名も無き人々や文化、価値観に触れ視点が広くなった体験を述べる。国外へ旅をするのもいいだろう。国内を旅をするのもいいだろう。大切なことは多くの人たちと出会い、価値観を知り、深め、自分の中で思索し、落とし込むことで視野が広くなることだろう。これは、お金では買えない。体験するだけでは足りない。目的を

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    2025年08月21日
  • 教育再定義への試み

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    難しい。最近読んだ本が殆ど実学系のものばかりだったからか、この本は本当の評論という感じがしてとても難しい。学者、しかも哲学者の著作という感じ。自分の問題を作る、という一節があった。その方が学校の成績は良くなるとも書いてあった。著者もそこには反対の考えを述べている。これも今から20年以上前の本であることを考慮すると、この国では教育も殆ど変化ないんだな、と思う。
    自分で問題を発見し、仮説・検証を試み、解決の方向へ進めていく力、これは自分で切り拓き、身につけていくしかないのだろう。教育という言葉はどうも上からの施しのように聞こえて気持ち悪いが、自己教育とか訓練という言葉に置き換えて試行錯誤の中から自

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    2024年02月23日
  • 思い出袋

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    ネタバレ

     著者の本はお初。哲学者、思想家とのこと。
     御齢80を超え、自身の戦中戦後の過去を通じて、知り得た知識や思索を重ねてきた思いなどを、自由闊達に語り尽くす。「一月一話」という連載ということは、月に1話、年間12話。それを7年間にわたり綴った、ある意味「知」の結晶だ。
     2015年に亡くなられているので、最晩年の著者の、遺志に近いものだろう。

    「少しずつもとの軍国に近づいている今、時代にあらがって、ゆっくり歩くこと、ゆっくり食べることが、現代批判を確実に準備する。」

    「ところが歴史のない国、正確には先住民の歴史の抹殺の上につくられた開拓民の国アメリカでは、「金儲けの楽しさ」は妨げるものをもた

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    2024年07月01日
  • 人生相談 谷川俊太郎対談集

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    「父と子」の対談を含む全7つの対談集
    過去の対談が多く含まれているが、世の中すごい勢いで変化しているモノ・コトが多い一方で、変わらないことも多いことを実感させられる。
    『書き言葉と違って、話し言葉には聖なる一回生の如きものがある』と谷川俊太郎さんがおっしゃっているそうだが、本当にその通り。「詩」とは違った谷川さんの一面が感じられる一冊。

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    2023年02月04日
  • 現代日本の思想 その五つの渦

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    戦後民主主義を領導した思想家として知られる鶴見俊輔と久野収が、現実と密接にかかわる日本の思想史の五つの潮流について論じている本です。

    本書でとりあげられている思想は、白樺派の観念論、日本共産党の唯物論、「生活綴り方運動」にみられるプラグマティズム、北一輝らの超国家主義の思想、「戦後派」の意識に根づいている実存主義の五つです。とくに鶴見は、アメリカのプラグマティズムの洗礼を受けた思想家として知られていますが、生活綴り方運動に日本の現実に根差したプラグマティズムの具体的なかたちを認めることができると論じています。また、共産主義についての考察は、鶴見の主要な仕事のひとつとみなすことのできる「転向」

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    2022年10月31日
  • 歴史の話 日本史を問いなおす

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    -国史なんていっていると、いかに精密にやったって、国家と国旗が日常生活と連動しちゃうんです。そこが困るんですね。日常生活には国家の支配しきれない領域がある(鶴見)。

    国家の支配しきれない領域の存在を、海民や職能民の歴史を通じて解き明かそうとした網野善彦。本書は、哲学者・鶴見俊輔との対談。

    網野史学(と呼ばれるのを本書では拒否しているが)の仕事を、思想家の立場から解析すると何が見えてくるのか、というところが読みどころ。

    少々、年寄りの繰り言のようなページも目立つのだが、現代は「戦前、戦中にはなかった特別の鎖国状態にある」という指摘は頷ける。

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    2021年12月26日
  • 歴史の話 日本史を問いなおす

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    軍国主義の日本が太平洋戦争へ突き進む時代に生まれ育った2人の対談。網野氏は『日本の歴史をよみなおす』を読んで、その歴史観に感じ入った人。マルクスに関することや、天皇制に関する対談を読むと、左寄りの人なのかと思ったが、最後まで読めば、素直に日本の歴史、それも通史を考えている人であることが理解できる。ただ、自分には対談を読み理解するのが苦手なんだと痛感した。

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    2020年01月29日
  • 思い出袋

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    とても、おじいちゃまが書いたとは思えない、するする読める文体でした。
    失われた時を求めて。百年の孤独(さらば孤独)など、さらに気になってしまいました。

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    2019年05月23日
  • 戦後日本の大衆文化史 1945~1980年

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    ネタバレ

    戦後日本を代表する知識人の一人である鶴見俊輔による講義録。大衆文化というカタチを通じて戦後日本のへりを見渡そうとする。1980年に書かれたものだから、あたりまえだが今読むと少し古く感じる。漫才、漫画、この当時は先鋭な感覚を持って迎えられていたのか。いまでは陳腐なものも多くなってしまったよう。。。

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    2019年02月09日
  • 戦艦大和ノ最期

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    有名な本だけど,初めて読んだ。
    吉田氏は大和の最後の天一号作戦に副電測士の少尉として乗り組んだ方。大和の生き残りだ。
    文語体で漢字カナ交じり文だけど,改版で新仮名づかいになっているのはいまいち違和感。旧仮名でいいのにね…。

    引用のとこは旧仮名。p.15のこれは手紙の引用
    “便箋ニ優シキ女文字ニテ誌ス 「お元気ですか 私たちも元気で過してゐます ただ職務にベストを尽して下さい そして、一しよに、平和の日を祈りませう」”

    かなが旧仮名でカナが新仮名というのはどうも違和感。でも改版当時(1981)はもうこの方が売れる,という判断だったのだよねぇ…。

    GHQの検閲がなくなってようやく世に出た初版

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    2017年12月05日
  • ぼくはこう生きている君はどうか

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    2010年に発刊された鶴見俊輔と重松清の対談の文庫化。鶴見俊輔氏は2015年に亡くなったため、遺言を読むような気持ちで読んだ。
    日本について、日本人について100年のスパンで論じる鶴見氏の意見は説得力がある。
    日本人の線が細くなっている。それは日本人の思考が細くなっていることを示している。
    庶民からたたき上げたエリートが少ないのは、我々が描くエリート像がそうなっていないからだ。

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    2016年11月14日
  • 教育再定義への試み

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    twitterでの高橋源ちゃんの紹介で重要なエピソードについては読んで、知ってたので、改めて読む楽しみはそれほどなかった。構成についての分かりにくさはあるけど、考え始めるヒントは沢山あるし、鶴見さんの語りの魅力は感じられた。

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    2016年02月02日
  • 戦艦大和ノ最期

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    戦艦大和の最後の出撃に参加した吉田満が、戦艦大和の出撃から沈没までを綴った作品である。(一部に創作が加えられており、ノンフィクションではない)
    吉田満は、東京帝国大学(当時)在学中に学徒出陣により召集され、1944年12月に戦艦大和に乗艦。翌1945年4月、最後の出撃(天一号作戦)に参加したが生還し、終戦直後の同年9月に、ほぼ一日で本書を書き上げたという。
    執筆の動機について、著者は、「敗戦という空白によって社会生活の出発点を奪われた私自身の、反省と潜心のために、戦争のもたらしたもっとも生ま生ましい体験を、ありのままに刻みつけてみることにあった。・・・今私は立ち直らなければならない。新しく生き

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    2017年12月22日
  • 思い出袋

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    開戦時にアメリカのハーバードで過ごし、戦時中は海軍で過ごし、戦後は知識人としてオピニオンリーダーとして過ごされている著者の自伝的エッセイ。様々な時代を通り、経験され、足元のしっかりされた人の言葉は心地よい。

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    2015年01月12日
  • 対論・異色昭和史

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    ネタバレ

    例えば張作霖爆殺事件に関して「河本大作が悪いと決め付けることはできない」という上坂は、「どうせやるなら、ばれないようにやれ」という声にはどうこたえるのか?この失敗が招来した満州事変~シナ事変~太平洋戦争という破滅の流れに一定のきっかけを与えた結果責任はまさに河本らにこそ問うべきだろう。鶴見はそうしたリアリスト的な振る舞いは好みではないようだが、骨の髄から皇国小国民の上坂らにはこういうガチガチのリアリズムから一度徹底的に批判されなければならないのではないか?

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    2014年01月08日
  • 戦時期日本の精神史 1931~1945年

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    東大新人会や共産党のことをはじめ、「転向」の問題など、知識の不足が目立つ。

    鶴見はこれらの問題を説明しているのではなく、そうしたことをある程度は前提にしつつ語っているので、まず土台がぐらぐらだと彼の論を十分にわからないだろう。

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    2012年11月20日
  • 現代日本の思想 その五つの渦

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    昭和31年初版にもかかわらず言葉遣いに引っかかることない読みやすさ。
    歴代の思想家・実践家たちの いい仕事っぷりに感服。
    特に、「日本のプラグマティズム」と「日本の超国家主義」は読んだあとの満足感が高い。

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    2012年10月27日
  • 対論・異色昭和史

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     昭和史の対論という表題に惹かれて読んでみたが、鶴見俊輔という巨大な知性が光った本であると感じた。
     鶴見俊輔は、ベ平連で有名なリベラリストであるとは知っていたが、本書でその生まれや過去、考え方がよくわかった。鶴見俊輔は、後藤新平の孫にあたり、戦争前の1938年(昭和18年)16歳時にアメリカに単身留学し、1942年(昭和22年)日米開戦後に交換船で帰国するなど、いいとこのぼっちゃんである一方で冒険的な人生を謳歌した過去を持つ。リベラルといっても、様々な過程があることを伺えさせ、多種多様の多くの知人を持ち、幅の広い人間であることが対談の内容からもよくわかる。それにしても、この知識の広さ・深さは

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    2011年12月21日