あらすじ
「スキマはなぜ大切か。スキマのあることによって、世界はよりよくおたがいに交通することができるようになるからだ」。歴史と国家のはざまを旅することから見える、開かれた世界。ジョン万次郎たちの旅の方法、消えゆく歴史をたどる航跡、旅で出会った名もなき人びとの肖像、そして、自分史の中に浮かぶ旅の記憶…。歩みのリズムから生じる思考の結晶。
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Posted by ブクログ
本著は世界を旅した体験と経験と知見と思索の過程を伝える良書である。
私たちは狭い視野の世界で生きている。文化や価値観というのは場所に根ざしており、それは風土による影響だったりもする。世界を見ても寒い国と暑い国とでは思想も宗教も価値観も異なることは歴史が証明している。
さて、本著は旅に出て、その先で出会った名も無き人々や文化、価値観に触れ視点が広くなった体験を述べる。国外へ旅をするのもいいだろう。国内を旅をするのもいいだろう。大切なことは多くの人たちと出会い、価値観を知り、深め、自分の中で思索し、落とし込むことで視野が広くなることだろう。これは、お金では買えない。体験するだけでは足りない。目的を持って旅をし、経験と体験を経て自分の中で思索し続けることが重要である。漠然と旅をしても何も視野や価値観は変わらない。もったいないのだ。
本著では、スキマと呼ぶ。私は自分の価値観と未知の価値観を知るときに生ずる感覚の出会いに気付くことがスキマであると解釈している。隣町や、県外に行くことでもそのスキマは充分に得られるだろう。新たな思索と視点を提案する良書である。