鶴見俊輔のレビュー一覧

  • 戦艦大和ノ最期

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    先年,呉の大和ミュージアムに行ったとき以来,読もうと思っていた本を読む.

    大和の最後の出撃となった沖縄特攻に学徒出身士官として乗り組んだ著者の経験を基にした小説.短い文を重ねた明晰な文語での記述に,必ず負ける,生きては帰れないと知りながら出撃し,まさしく懸命に戦う人たちの姿がうかびあがる.戦後70年を振り返り,今の日本がどうなろうとしているかを考える上でも,読んでよかった.

    文語文としては難しくはないが,私には読めない漢字や意味のわからない漢語は少々あるので辞書はひかないといけなかった.若い人が読めるようにルビ付き,注つきの手軽に手に入るエディションがあってもいいと思う.

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    2015年06月18日
  • 教育再定義への試み

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    著者の鶴見さんの半生を振り返りつつ、
    教育というものの真の意味にたどり着こうとする論考エッセイです。
    むずかしい言葉でがちがちになっていなくとも、
    ちゃんと物事の深みを表現して伝えることができるという
    良い見本のような文章でした。
    むずかしいことはむずかしいという部分はあるのですが、
    時間をかけて読むことできっとイメージはつかめるという感覚。
    巻末の芹沢俊介さんの解説を読むと、
    ああそうか、とそれまで読んできた言葉がすっと胸に入ってクリアになります。

    まず、痛みによる教育の試みだといいます。
    痛みは身体的なものも心的なものもどっちも。
    そうして、著者が自分で経験した痛みからくる教育を披歴していく。
    そこで読者は、著者の経験に自分の経験や記憶を照らし合わせて、
    自分の内に著者の考えを落としこんでいくことになる。

    ______

    自分の身体と自分の家庭からまなんだことが、教育の基本である。
    私以外の人でも、そうではないか。
    家庭の外では職場、(中略)さらに男女関係、自分のつくる家庭、
    自分の子どもから受ける教育、近所の人たちとのつきあいから受けるもの、
    社会活動から引退した人として孤立ともうろくから受ける教育、
    近づいてくる死を待つことから受ける教育である。
    ______

    そして、サークル活動というもうひとつの教育というものに話は移っていきますが、
    ここで言われているのは、自己教育と後半で述べられるものです。
    学校で受けさせられる教育とは違います。
    逆に、そういう教育は害があることを本書では解き明かしています。
    大事なのは自己教育、ということ。

    たとえば、先生が握っている正答をあてるだけの教育は違うんじゃないかというような、
    先生を観察して先生に自分を合わせるような生徒を作る教育もどうかという話もある。
    答えは一つっていう教育は、現実というものに正面きって立ち向かえない人を作る。

    ここからはこの本を読んでの僕の考えですが、
    優等生のままの人っていうのは、
    いざ現実と対面したときになにも歯が立たない人間なのかもしれない。
    生きてくというのは、もっと腕っぷしのいるものだと僕も思うし、
    自分にはまったく足りていないとも思う。
    優等生でいるというのは怠惰であるという側面もある。
    もっと掻きまわして、現実との間に軋轢を生みながら
    それを修復し自己や周囲を修正していくような作業を泥くさくやっていく。
    それでこそ、役に立てる人になっていける道を歩めるってことなんじゃないか。

    杓子定規というかステレオタイプというか、
    そうやって、人に教育されるがままでいいや、だとか、
    流されるまま流れにのって生きていくのでは、
    真っ当に生きられないと言っているのではないかと思うのです。
    たしか糸井重里さんが紹介したデザイナー・秋山具義さんの言葉で、なぜ勉強しなくてはいけないか?
    という問いに対して、
    それは友だちだとか恋人だとか大事な人が困っている時に助けになれるため、
    っていうのがありました。
    そういう勉強、ここでいう自己教育が、
    そんな自分の可能性をひろげることに繋がるっていうことでしょう。

    とても好くて深い本だったので、
    いろいろ読んでもなにか足りないと感じている人にはおすすめです。

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    2025年07月02日
  • 戦艦大和ノ最期

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    軍部は、駆逐艦30隻相当の重油を食らう巨艦大和の維持に困ったために、数千人の命と共に、大和を見殺しにしたわけですね。
    何万人の社員を維持しかねている巨艦、とならないようにしなければいけません。。。

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    2014年12月10日
  • 思い出袋

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    氏の思想の基層を成しているのは、5歳のときに号外で知った張作霖爆殺と米国による日本への2発の原爆投下という歴史であるように思えました。並外れた知性と感性から語られる言葉のひとつひとつに強い共感を覚えました。また、この書で触れられているピアズ・ポール・リード著『生存者-アンデス山中の七〇日』や水木しげる著『河童の三平』を読んでみたいと思います。

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    2014年05月23日
  • 戦時期日本の精神史 1931~1945年

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    ネタバレ

    日中戦争と太平洋戦争を単一の戦争ととらえるべきかどうか、その一点において鶴見とたとえば佐藤優の議論は大きく分かれる。大川をアジア主義者として評価する佐藤の立場からすれば、日米開戦は日中戦争をアジア解放戦争と位置づける上で避けられなかったと捉えるのが自然であろう。つまり単一の戦争と認識しなければ、歴史事実のご都合主義的つまみ食いになってしまう。
    江藤淳の「無条件降伏批判」に対する反論も。

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    2014年03月08日
  • 戦艦大和ノ最期

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    乗組員達が愚かな作戦と分かりながら予定調和的、いやそれ以上に脆く沈んで行く大和の姿に激しい哀しみを感じる。空気と言ってしまえばそれまでの理不尽さとその中で自分自身を生きるしかない人々はスケールこそ違えどいわゆる人生というものか。伊藤長官の最後の作戦中止の決断はその空気の中でこそ思い切ったものであるけど、誰もが持つ生きたいという気持ちの前では当たり前のようにも見えることに至っては。

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    2013年11月24日
  • 思い出袋

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    ・驚くべき博識、柔らかい感受性、抑制の利いた名文。まさに範とすべき珠玉の文章群だ。しかし、そのような賛辞ですら本質的ではないと思えてしまうのは、氏が本物の思想家であるからだろう。

    「この戦争で、日本が米国に負けることはわかっている。日本が正しいと思っているわけではない。しかし、負けるときには負ける側にいたいという気がした」(p34)

    「日米交換船に乗るかときかれたとき、乗ると答えたのは、日本国家に対する忠誠心からではない。なにか底に、別のものがあった。国家に対する無条件の忠誠を誓わずに生きる自分を、国家の中に置く望み」(p225)

    ・その「気」や「なにか別のもの」について、氏は、「ぼんやりしているが、自分にとってしっかりした思想」(p34)という曖昧な表現を与えるのみで、明晰に語ろうとしない。おそらく、明晰に語ることによって、思想が思想でなくなることを深く自覚しているからであろう。氏ほどの文筆家が、「言葉にならない思い」を大切にしているという、この一事を以って、私は氏を本物の思想家と見なす。

    ・惜しむらくは、過去の著作との重複が多かったこと。

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    2013年06月25日
  • 戦時期日本の精神史 1931~1945年

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    1931〜1945年の日本が、どのように軍国主義化したか、それに対抗した人々はどのような人々で、どのようにしたのか。いわば、日本転向史である。15年戦争観からの国内イデオロギー史としてわかりやすく、読みやすくまとまっていると思う。講義録というものの性質上あまり強いメッセージが投げかけられてくるわけではないが、訴えられていることは重要である。それはつまり、この著者がリリアン・ヘルマンを引用しているところによれば、「まともであること」とはどういうことか、ということである。社会の潮流や大きな権力を前にしても、「まともであること」。
    戦争の教訓は何か、それは多様に語ることができようが、この本から得られるそれが、もっとも重要で貴重なものであろうと思う。

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    2012年11月07日
  • 思想をつむぐ人たち 鶴見俊輔コレクション1

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     伝記的な作品を集めたアンソロジー。ジョージ・オーウェルからミヤコ蝶々まで、あくまでも共感をもとに描かれる人物像よりも、むしろその共感ぶりに共感してしまいます。
     読み物としても面白い伝記であると同時に、共感される思想の連鎖から、氏の膨大な著作群を読み解いていく糸口を見たような気がしました。

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    2012年10月15日
  • 思い出袋

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    「自分にとってしっかりした思想」という話が印象に残った。
    「この戦争で、日本が米国に負けることはわかっている。日本が正しいと思っているわけではない。しかし、負けるときには負ける側にいたいという気がした。」という一文。

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    2012年07月10日
  • 戦艦大和ノ最期

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    戦争関連の本を読むようになったきっかけの本。
    戦艦大和最後の出撃から大和が沈み乗組員が助かるまで、一般の小説に比べたらそう長くはない時間を丁寧に書かれている。
    カナ混じりの文語体に慣れず読みにくかったが、それでも一気に読んでしまった。

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    2012年06月29日
  • 北米体験再考

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    大学生時代の経験をもとに鶴見がアメリカ的な価値観について論じたもの。公民権法ができるまで白人層と同じ選挙権を持てなかったアフリカ系移民、近代化の中でも伝統的な生活をするインディアンの記述から、普遍的な価値観の押しつけではなく、多様な価値観(鶴見は使っていないが、オルタナティブの考え)がアメリカにはあふれており、それを無視した議論はできないという筆者の意図を感じる。
    戦後知識人の中で鶴見はアメリカという国を肌で感じた数少ない一人である。彼の主張の背景にある原体験を知る好著。

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    2012年03月26日
  • 戦時期日本の精神史 1931~1945年

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    戦時中はもちろん、今の世の政治、経済、マスコミ、人倫その他、いたるところでまともでなくなりつつあるなか、日本の大きな知識人である鶴見俊輔氏の言葉『生き方のスタイルを通してお互いに伝えられるまともさの感覚は、知識人によって使いこなされるイデオロギーの道具よりも大切な精神上の意味をもっています。』に励まされる。

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    2012年03月07日
  • 思い出袋

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    岩波の「図書」で読んだはずだが,記憶のない話もかなりあった.でも,哲学者というのはものを考える基本が異なっている感じがする.
    膝を打つ話が満載だ.

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    2011年10月14日
  • 思い出袋

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     戦中、戦後を通して出会ってきた多くの人、本、出来事について語る。歯に布着せぬ物言いで読んでいて心地よく、簡素な文体であるにもかかわらず非常に滋味溢れている。気が利いたこと、本質を突くようなこと、その鋭さは、二人は全く違ったタイプの人間であるが小林秀雄先生を思い起こさせた。

    吉本隆明の『追悼私記』「三島由紀夫」には、こうある。

    「知行が一致するのは動物だけだ。人間も動物だが、知行の不可避的な矛盾から、はじめて人間意識は発生した。そこで人間は動物でありながら人間と呼ばれるものになった。
     <知>は行動の一様式である。これは手や足を動かして行動するのと、まさしく同じ意味で行動であるということを徹底してかんがえるべきである。つまらぬ哲学はつまらぬ行動に帰結する。なにが陽明学だ。なにが理論と実践の弁証法的統一だ。(中略)こういう哲学にふりまわされたものが、権力を獲得したとき、なにをするかは、世界史的に証明済みである。こういう哲学の内部では、人間は自ら動物になるか、他者を動物に仕立てるために、強圧を加えるようになるか、のいづれかである。」

     他方著者は今もって三島について感想をまとめられないという。三島の自死のしらせを聞いたときのうろたえがまだのこっているのだと。
     追悼の言葉は日常の言葉とかわらない。まにあわないことがあるのだ。と

    そして今日、アップルのCEOであるジョブズの死の知らせを聞いた。追悼の心はある。しかし感想はまとめられない。
    言葉がいま感じているその心に足りないこともある。

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    2011年10月06日
  • 思い出袋

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    [ 内容 ]
    戦後思想史に独自の軌跡をしるす著者が、戦中・戦後をとおして出会った多くの人や本、自らの決断などを縦横に語る。
    抜きん出た知性と独特の感性が光る多彩な回想のなかでも、その北米体験と戦争経験は、著者の原点を鮮やかに示している。
    著者八十歳から七年にわたり綴った『図書』連載「一月一話」の集成に、書き下ろしの終章を付す。

    [ 目次 ]
    1 はりまぜ帖
    2 ぼんやりした記憶
    3 自分用の索引
    4 使わなかった言葉
    5 そのとき
    6 戦中の日々
    7 アメリカ 内と外から

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    2011年05月21日
  • 現代日本の思想 その五つの渦

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    [ 内容 ]
    恐慌、侵略戦争、そして敗戦。
    この苦悩にあえぐ現代日本の現実を、何らかの形でゆり動かしたものは何か。
    その代表として、白樺派、日本共産党、生活綴り方運動、北一輝らの昭和維新の運動、戦後世代の五つをあげ、そこに体現された諸思想――観念論、唯物論、プラグマティズム、超国家主義、実存主義――の性格と役割を明らかにする。

    [ 目次 ]


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    2011年05月15日
  • 対論・異色昭和史

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    ネタバレ

    [ 内容 ]
    雑誌『思想の科学』への投稿がきっかけで交流が始まった二人。
    半世紀ぶりに再会し、語り合った昭和の記憶とは?
    「戦時体制にも爽やかさがあった」と吐露する上坂氏に対して、「私もそう感じた」と応える鶴見氏。
    一方で、「米国から帰国したのは愛国心かしら?」と問う上坂氏に、「断じて違う!」と烈火のごとく否定する鶴見氏。
    やがて議論は、六〇年安保、べ平連、三島事件、靖国問題へ。
    護憲派、改憲派という立場の違いを超えて、今だからこそ訊ける、話せる逸話の数々。
    「あの時代」が鮮明によみがえる異色対論本。

    [ 目次 ]
    第1章 戦時下の思い出(戦時体制の爽やかさ 張作霖爆殺事件の号外 ほか)
    第2章 戦時体制化の暮らし(翼賛議会に異を唱えた「一刻」な議員たち ハーバード大学で都留重人と出会う ほか)
    第3章 戦後日本をあらためて問う(八月十五日の記憶 ラク町のお時 ほか)
    第4章 「思想の科学」の躍動ぶりと周辺の事件(ノーマン自殺の真相 跡取り息子の座からはずされた都留重人 ほか)
    エピローグ 教育とは、そして、死とは(デューイと親交のあった校長先生の話 林竹二の授業について ほか)

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    2011年04月21日
  • 思い出袋

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    名前も知っているし、原稿を読んだこともある。
    けれども、自分にとっての読み時があると言うのか、
    突然、その人の文章が身体に沁み込んでくる感覚がある。
    鶴見俊輔『思い出袋』を読む。
    岩波の雑誌「図書」に著者80歳の時から
    7年かけた連載をまとめた新書である。

    鶴見はハーヴァードの哲学科に学び、
    戦時中はシンガポール、インドネシアで短波放送の解読や
    幹部向けの新聞づくりなどの任務を果たした。
    後に鶴見がベ平連の活動として
    良心的兵役拒否の米兵を助けたことは
    幼少から大学時代、そして戦時中の体験に連続した行動であった。

    僕が鶴見に共感するのは、
    国家から意識の距離を置き、国家の過ちも見逃さないことと
    それでも国家に属することを受け入れる個人を貫く生き方だ。
    本書はそうした鶴見の考え方、生き方が
    平易な文章で書かれている。
    難しいことを平易に書くのが真の知性である。
    自分の中に生きる不良の自分に水を枯らさぬようにする
    と断言する80代。
    鶴見の全著作と時間をかけて対話したいと僕は思った。

    昨日は若手同僚の結婚パーティに出席した後、
    電車を乗り継ぎ、西太子堂の会員制角打ちKに寄り道した。
    うまい酒と簡素なつまみで鶴見の著作と対話してみたかった。
    Kの親父がで愛を込めて綴る
    名酒「小左衛門超活性にごり」は季節ものだけに
    店にあるうちに味わっておきたい。
    親父や常連らしき客が「あわあわ」と呼ぶのがこの酒だ。

    家族経営のこの店で「チーズ盛り合わせ」を注文すると、
    忘れかけた頃合いにおばあちゃんが運んできてくれる。
    わずか300円のつまみと侮るなかれ。
    4種のチーズ(ブリー、ほうれん草、トマト、クリーム)
    と軽く焼いたプレーン・ラスク3枚が小皿に並ぶ。
    これが日本酒に実に合う。
    親父の日頃の研究成果の一端を披露するつまみなのだ。

    テーブル代わりの酒樽に酒とつまみを並べ、頁を繰る。
    いい感じに酒が回り始めて、
    鶴見の言葉がするりするりと身体に入ってくる。
    にごりは気づくと腰を取られるから用心が要る。
    が、この「あわあわ」、もう一合だけ飲んで帰りたい。
    家までちゃんと帰れるかな?

    (文中敬称略)

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    2011年03月06日
  • 戦艦大和ノ最期

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    簡潔にしかも高雅な文体で(カタカナで読みづらい点もあるが)大和の沈没が語られる。書かずにはおれなかった吉田氏の気持ち、そういうことがよくわかる。この本は大和の最期を書いていて、見つめているのは生と死、そして己の存在意義。重いテーマであるし、誰もが考えなければならない問題だと思う。

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    2010年05月14日