あらすじ
一九三〇年代後半米国に留学し、三〇年後そのインドシナ介入に対し積極的な反戦活動を進めている著者は、北米の民主主義的伝統を再考しつつ、それを黒人や原住民の側からとらえ直すことを試みる。文芸批評家、詩人、SNCCの活動家、黒豹党の行動と思想を追求する中で著者の北米体験は深刻な反省を強いられ、新たな米国像が浮彫される。
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Posted by ブクログ
大学生時代の経験をもとに鶴見がアメリカ的な価値観について論じたもの。公民権法ができるまで白人層と同じ選挙権を持てなかったアフリカ系移民、近代化の中でも伝統的な生活をするインディアンの記述から、普遍的な価値観の押しつけではなく、多様な価値観(鶴見は使っていないが、オルタナティブの考え)がアメリカにはあふれており、それを無視した議論はできないという筆者の意図を感じる。
戦後知識人の中で鶴見はアメリカという国を肌で感じた数少ない一人である。彼の主張の背景にある原体験を知る好著。