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戦後思想史に独自の軌跡をしるす著者が、戦中・戦後をとおして出会った多くの人や本、自らの決断などを縦横に語る。抜きん出た知性と独特の感性が光るこの多彩な回想のなかでも、アメリカと戦争の体験は哲学を生きぬく著者の原点を鮮やかに示している。著者80歳から7年にわたり綴った『図書』連載「一月一話」を集成。
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Posted by ブクログ
鶴見さんの作品を読むのは初めて。いろいろすごい思想と文章を積み重ねて、80代のときにたどり着いた表現という印象を受ける。平易な言葉でくり返し同じエピソードがつむがれる中に、ドキッとするような一文がまぎれこんでいる。 中でも大江健三郎のことを描いた「内面の小劇場」は圧巻。内面のせめぎ合いなしに、何か...続きを読むを主張することはできない。迷いながら、問い直しながら、生きていきたいと思った。
重いキーノートをバックに美しく複雑な音楽を聴いたような読後感。凄まじい知性と感受性。受けとる側(私)が未熟なため受け止めきれていない感があるが。
80歳を超えた思想家が、自らの人生を振り返るエッセイといっていいのだろうか。雑誌の短い連載をまとめたものということもあってか、少し断片的な感じがあり、同じ話が何度か出てくるものだから、思想家の人生を問わず語りに聞かされているような、恍惚の人、夢うつつな感覚もなくはない。それでもしっかりと芯を感じさせ...続きを読むるのは、やはり著者の生きざまゆえだと思う。
吉本隆明「追悼私記」 「中井英夫戦中日記」 「おだんごぱん」 「いっしょうけんめい生きましょう」 内山節
言葉が、心にしみいる感覚がたまらない 一気に読んでしまいました。あふれでる言葉が少しの抵抗もなく、心にしみいる感覚が好きです。ほんとうに文章を読むことの心地よさを充分に味わいました。この一年間に何度も読み返しています。たしかになによりも名文ですね。知人、友人に幾度となく一読することを進めています。ひ...続きを読むとつのエッセイに千文字ほどの文字からあふれる言葉から、文章に含まれた普通の人生哲学が、ふっと湧き上がるのを感じます。疲れた気持ちを解きほぐすエネルギーが、かすかに力強く満ちてくる息遣いを感じ取るのです。戦前戦後の日本と世界について、良きも悪いもすべてをはっきりと見据えた個人としての思考が著者の八十年におよぶ経験と行動において、静かなうちにも脈々とわきでる生命力にあふれんばかりです。淡々とつづられた言葉をまたあらためて読みなおしています。今日もまた、先輩の知人に一読するようにうっかりつぶやいてしまったしだいです。
著者、鶴見俊輔が80代で連載していたエッセイを纏めた本。著者は、ハーバード大の哲学科卒の哲学者であるが、文章は平易で読みやすい。 青年の頃にアメリカに留学(放逐された?)した経験もあり、日本への視点も鋭い。その主義・主張・軸は加藤周一に通じるものがある。 この主義・主張・軸は明治を知り、戦前、戦中、...続きを読む戦後を知る者の感性から生まれてくるものであり、現代社会の我々も心に留めておきたい。 (引用) ・ベネディクトが日本文化を「恥の文化」としておおざっぱに規定したのに対して、作田啓一は、日本文化の流れに恥とは別に「はじらい」の感覚があることを、太宰治の作品の分析をとおしてくり広げた。 ・「〇〇は古い」は、明治以来百五十年で最も長持ちしている文化遺産かもしれない。・・・文明はエスカレーターに乗っているように二階三階と進んでゆく、というまぼろしが日本の近代史にはあり、それは敗戦をはさんで復活した。・・・・温故知新は、新知識の学習とともに、私たちの目標としてあらわれる時がくる。 ・なぜ、日本では、「国家社会のため」と、一息に言う言い回しが普通になったのか。社会のためと国家のためとは同じであると、どうして言えるのか。国家をつくるのが社会であり、さらに国家の中にはいくつもの小社会があり、それら小社会が国家を支え、国家を批判し、国家を進めてゆくと考えないのか。 ・心は自分以外のものを見ていないと、正気を失う。アウシュビッツの強制収容所に閉じ込められたフランクルは、おなじ仲間の老女がいきいきと毎日を過ごしているので、どうしてかとたずねた。すると、彼女は道に見える一本の樹を指して、「あの木が私だ」と言う。 ・日本の大学は、日本の国家ができてから国家がつくったもので、国家が決めたことを正しく正当化する傾向を共有し、世界各国の大学もまたそのようにつくられていて、世界の知識人は日本と同じ性格をもつ、と信じている。しかし、そうではない。若い国家であるアメリカ合衆国においても、ハーバード大学は1636年創立、アメリカ合衆国の建国は1776年で、そのあいだのしばらくの年月は、米国の知識人の性格に影響を与えてきた。 ・2百年前の渡辺崋山、高野長英、百五十年前の横井小楠、勝海舟、坂本龍馬、高杉晋作、百年前の児玉源太郎、高橋是清、さらに夏目漱石、森鴎外、幸田露伴たちは、大づかみにする力を、その後の人たちにくらべてもっていた。 ・日本の国について、その困ったところははっきりと見る。そのことをはっきり書いてゆく。日本の国だからすべてよいという考え方をとらない。しかし、日本と日本人を自分の所属とすることを続ける。 以上
やんちゃな少年時代を過ごした作者。楽しく読ませていただいた。 思い出に「2・26事件」や「安部定」があり感慨深かった。
その時代(戦中)を生きたインテリの方の思い出で、 とってもリアルな感じでよかったです。 著者と年の近い実家の父(数年前に死去)に読ませてあげたら、 さぞ面白がったことでしょう。
心がささくれ立つようなことがあった日、鶴見さんの文章を読むと,なんとほっとすることか。 書き始めの一文で,そうなんだと思い、2行目で妙に納得する。 お肌には美容液だろうが,私の,乾いた心の何よりの美容エキス。 週末、ゆっくり味わいたいな♪
戦中からの戦後へと。著者の経験が語られ、出会い、影響を受けた本、体験。著者の記憶を追体験しながら、読み手も過去に出会い、鶴見俊介に影響を与えた構成要素に触れていく。 登場する本の一部を書き出してみる。 『余白の春』『何が私をこうさせたか』『詩人の愛』 『ゲド戦記』『釈迦』『反動の概念』 『おだんご...続きを読むぱん』『星の牧場』 『思い出の作家たち』、漫画の寄生獣なんかの話も出てきて、大正生まれの著者の読み物として、その柔軟さと共になんだか嬉しくなる。 言葉は読み、なぞり、発し、いつの間にか自分のものになる。染みつき、思考化し身体化される。そんな要素が伝わってくる。 例えば、金子ふみ子。 ー 今この時は永遠の中に保たれるという直観、キルケゴールの永遠の粒子としての時間という直観と響き合う。 内山節。鶴見俊介はこれに感動した。 ー 1950年代から狐にばかされる日本人はいなくなった。大陸から仏教が日本に伝わった時、年月をかけて本地垂迹説現れ、山や川、草木自然が村の信仰となり、狐はその一部であった。狐にばかされなくなったのは、それまでの信仰が消えたということ。 トクヴィル。 ー 自分の富の増大と地位の向上を目指すことが、人間の使命だというような精神が社会を覆っていた。 読み手には二次的な影響だが、しかし、大正時代から生きた人間の語りには少なからず真理が含まれ、それは古典のようでもあり、ありがたく読んだ。
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