鶴見俊輔のレビュー一覧
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何を書いても薄っぺらい感想になってしまうのが申し訳ない。だけど、この薄さにしてはすごく内容が濃かった。昔の時代を生きた人たちが培ってきた知恵など、現代を生きる自分たちにとってもすごく勉強になるところが多い。今の箱詰め式の教育じゃなくて、テストの点数よりももっと大事なところを伸ばしていけるような教育環境になっていったらいいなぁと思う。
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筆者の吉田満は、学徒動員の一環として応召され、副電測士(電測士というのは、レーダー要員と理解した)として、沖縄特攻作戦に参加する戦艦大和に乗り込む。1945年春、終戦まであと4ヶ月の時である。
既に米軍は、沖縄を勢力圏に置いており、そこを本拠地とした本土攻撃を遅らせるために、日本軍は本土防衛作戦の一環として「天号作戦」を立案する。「天号作戦」には、一号から四号まであり、戦艦大和が参加したのは、「天一号作戦」である。700機の特攻機が沖縄の米軍を攻撃するのを支援するために大和は、計10隻の艦隊の中心艦として参加するが、帰還は想定されておらず、行きの燃料のみを積んで、広島県の呉港を出港した。
本文 -
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久野収・鶴見俊輔の両氏による1956年に共著。白樺派、日本共産党、生活綴り方運動、超国家主義(北一輝とか)、戦後の世相の5つに対して、鋭い分析が加えられる。本書刊行時、久野さんは46歳、鶴見さんに至っては34歳ということにまず驚く。
超国家主義は久野、それ以外は執筆が執筆している。あとがきによるとあくまでも全体が共同討論の結果とあるが、やはり鶴見さんの執筆部分には独特のウェットさが感じられる。たとえば、戦前の日本共産党の運動方針を手厳しく批判しつつも、「私たちは、思想を大切なものと思うかぎり、日本共産党の誠実さに学びたい」と付け加えたりするのは、久野さんにはない筆致である。また、生活綴り方運 -
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読む前まで、フランクリンについては避雷針発明に寄与した人くらいの知識しかなかったが、この本を通じて、彼は有能な社会起業家だと感じた。
それを特徴付けるのは、彼の優れた調整力と構想力だと思う。
まず調整力について、彼は自らが立案したことであっても敢えてその起案者をかくしたり、あるいは他人を立案者に仕立て上げたりすることで、その案に反対する人が出ないような努力を惜しまない。また、言葉の表現にも拘り、どのようにすれば案が通りやすいかを真剣に考えている。
次に構想力について、彼は世の中がこうあるべきだろうという規範意識に基づき、それを具体化している。それは人間関係のあり方から、より広く社会制度のあ -
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訳者(鶴見俊輔)のあとがきの通り、近所のおじさんおばさんが語ってくれるような親近感を、私は受けた。「読みやすい」という評判は訳者のおかげもあるのかもしれないが、フランクリン自身の語り口も謙虚で率直であって、その意味でも読みやすい本だった。ベンジャミンフランクリンという18世紀の「アメリカ合衆国建国の父」という肩書きからは予想もできないほどの読みやすさにとても驚かされたのが、まず大きい感想。
内容としては幼少期〜丁稚奉公〜独立〜公共事業への参画〜という一つのサクセスストーリーを辿る筋があるも、その中での失敗や学びを当時のエピソードを交えて反省しながら話していることが、面白さの秘訣かもしれない。 -
Posted by ブクログ
知の巨人が対談というと大袈裟かもしれない。
対談なだけに話が飛ぶ飛ぶ。同じ時代を語っても
様々な思想家、歴史家の観点が織り交ぜられて
万華鏡のようにコロコロと色彩が変わっていく。
だが、それがこの対談の最も大きなテーマだろう。
冒頭で鶴見氏は「ものは自分の視点でみるしかない。
だが別の何かを気配で感じれる。それが感じれるか
どうか」という投げかけが、まさにそれだ
基本的に内容は現在を形作った近代史が軸である。
明治、戦争、高度成長。さらに視野を広げて江戸時代、
また庶民の生活などスコープが様々に変わる
だが、この二人が軸にしているのは間違いなく
現代で、そこからの未来を見つめている。
明治