読む前まで、フランクリンについては避雷針発明に寄与した人くらいの知識しかなかったが、この本を通じて、彼は有能な社会起業家だと感じた。
それを特徴付けるのは、彼の優れた調整力と構想力だと思う。
まず調整力について、彼は自らが立案したことであっても敢えてその起案者をかくしたり、あるいは他人を立案者に仕
...続きを読む立て上げたりすることで、その案に反対する人が出ないような努力を惜しまない。また、言葉の表現にも拘り、どのようにすれば案が通りやすいかを真剣に考えている。
次に構想力について、彼は世の中がこうあるべきだろうという規範意識に基づき、それを具体化している。それは人間関係のあり方から、より広く社会制度のあり方にまで及ぶ。そして、宗教的な関心からある種演繹的に生じることもあれば、自らの経験から生じる規範もあるように感じた。
おそらく、調整力がなければ夢想家になっていた可能性があり、構想力がなければソフィストになっていた可能性がある。
社会を作り、また変えるために何をすべきかの一端を垣間見た気がした。