あらすじ
植字工として世に出たフランクリンは、持ち前の植字・印刷術と文筆の力量をもとに印刷業から新聞、出版へと事業を広げ、さらに社会改良へと乗り出していく。人任せを嫌い、実務をいとわぬ「善きアメリカ人」の母型を伝える18世紀の古典を、弱冠15歳で渡米し、戦前の米国を知る数少ない哲学者・鶴見俊輔の翻訳でおくる。
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Posted by ブクログ
読む前まで、フランクリンについては避雷針発明に寄与した人くらいの知識しかなかったが、この本を通じて、彼は有能な社会起業家だと感じた。
それを特徴付けるのは、彼の優れた調整力と構想力だと思う。
まず調整力について、彼は自らが立案したことであっても敢えてその起案者をかくしたり、あるいは他人を立案者に仕立て上げたりすることで、その案に反対する人が出ないような努力を惜しまない。また、言葉の表現にも拘り、どのようにすれば案が通りやすいかを真剣に考えている。
次に構想力について、彼は世の中がこうあるべきだろうという規範意識に基づき、それを具体化している。それは人間関係のあり方から、より広く社会制度のあり方にまで及ぶ。そして、宗教的な関心からある種演繹的に生じることもあれば、自らの経験から生じる規範もあるように感じた。
おそらく、調整力がなければ夢想家になっていた可能性があり、構想力がなければソフィストになっていた可能性がある。
社会を作り、また変えるために何をすべきかの一端を垣間見た気がした。
Posted by ブクログ
訳者(鶴見俊輔)のあとがきの通り、近所のおじさんおばさんが語ってくれるような親近感を、私は受けた。「読みやすい」という評判は訳者のおかげもあるのかもしれないが、フランクリン自身の語り口も謙虚で率直であって、その意味でも読みやすい本だった。ベンジャミンフランクリンという18世紀の「アメリカ合衆国建国の父」という肩書きからは予想もできないほどの読みやすさにとても驚かされたのが、まず大きい感想。
内容としては幼少期〜丁稚奉公〜独立〜公共事業への参画〜という一つのサクセスストーリーを辿る筋があるも、その中での失敗や学びを当時のエピソードを交えて反省しながら話していることが、面白さの秘訣かもしれない。
他方で黒人差別的表現が随所に見られたり、当時の「児童労働」的風習や家父長制的な社会慣習、英米仏による戦争、街の様子、船旅の様子など、フランクリンが関わった18世紀アメリカやイギリスの生活の様子が垣間見えたりしたところに、一つの面白い小説の世界に入ったような印象をうけた。
とりわけ、彼の試行錯誤や価値観が、おじいさんの教え的な形で語られていることが面白い。人に信頼を得るためにフランクリンはどんなことを学んで実践してきたのか、仕事をうまくやるためにはどうしたのか、など、普通に生きていく上で、「こんなことって良く言われているけどなんでだろう」と思うような、常識的な考えの意味をエピソードとともに教えてくれる。
しかも、『7つの習慣』の一つのベースにもなったという本でもあるようで、影響の大きさにびっくりする。
Posted by ブクログ
中公文庫版と岩波文庫版と比べると
訳者のお陰で読みやすいと思います
富へ至る道は未掲載ですがリチャード暦の抜粋が載っています
ページの途中に注釈が書かれていますので初回にの方には読みやすいと思います
フランクリンの成り立ちから思想などアメリカンドリームと言われる形も見えるかもしれませんが
ただ、己の信念を信じること
学ぶ事が大事だと語りかけてくれる書籍です