【感想・ネタバレ】戦艦大和ノ最期のレビュー

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Posted by ブクログ 2024年02月14日

戦記物して書かれた体験文学の傑作。全部が文語体で書かれているのがかえって迫力になっています。悲壮感、戦場の不合理がビンビン伝わる。古文勉強の導入として音読してもいいんじゃないかなと思います。

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Posted by ブクログ 2023年08月12日

筆者の吉田満は、学徒動員の一環として応召され、副電測士(電測士というのは、レーダー要員と理解した)として、沖縄特攻作戦に参加する戦艦大和に乗り込む。1945年春、終戦まであと4ヶ月の時である。
既に米軍は、沖縄を勢力圏に置いており、そこを本拠地とした本土攻撃を遅らせるために、日本軍は本土防衛作戦の一...続きを読む環として「天号作戦」を立案する。「天号作戦」には、一号から四号まであり、戦艦大和が参加したのは、「天一号作戦」である。700機の特攻機が沖縄の米軍を攻撃するのを支援するために大和は、計10隻の艦隊の中心艦として参加するが、帰還は想定されておらず、行きの燃料のみを積んで、広島県の呉港を出港した。
本文中にある、本作戦の目的についての記述を引用する。
【引用】
本作戦ノ大綱次ノ如シー先ズ全艦突進、身ヲモッテ米海空勢力ヲ吸収シ特攻奏功ノ途ヲ開ク 更ニ命脈アラバ、タダ挺身、敵ノ真只中ニノシ上げ、全員火トナリ風トナリ、全弾打尽スベシ モシナオ余力アラバ モトヨリ一躍シテ陸兵トナリ、干戎ヲ交エン 
【引用終わり】
勝ち目のない、成算のない作戦であることは乗組員は分かっている。「圧倒的数量ノ前ニ、ヨク優位ヲ保チ得ル道理ナシ タダ最精鋭ノ錬度ト、必殺ノ闘魂トニ依リ頼ムノミ」と筆者も書いている。
大和は沖縄近海までやって来るが、そこで100機を超える、米軍の航空機部隊から攻撃を受ける。攻撃は一度で終わらずに、七波、八波と続く。その間、大和は相手にほとんどダメージを与えられないまま、一方的な攻撃を受け続け、沈没してしまう。筆者は、奇跡的に助かり、他の艦船に救助され、佐世保港に戻る。
本書は、大和の出陣から、筆者が救助され佐世保に戻るまでの記録である。

戦闘場面、大和の最後、筆者が九死に一生を得る場面等、実際に起こったことの記述の迫力にまずは驚かされる。本書は文語体、かな部分は、ひらがなではなくカタカナで書かれており、決して読みやすい本ではないが、ほとんど一気に読んだ。
しかし、心が痛んだのは、戦争の悲惨さ、理不尽さだ。それも、「戦争が一般的に悲惨で理不尽である」ということではなく(もちろん、それはそれで真実だと思うが)、日本軍というか、日本国(大日本帝国)の、この戦争に対しての理不尽さである。
この「天一号作戦」に参加した艦船10隻のうち、帰還したのは4隻のみ。特攻攻撃に参加した700機の航空機のうち、350機は撃墜され、かつ、米軍には、ほとんどダメージを与えることが出来なかった。ほとんど意味のない作戦を実行したのである。
しかも、行きの燃料しか持たずに大和が出航したことが示すように、「こうなることは、あらかじめ分かっていた」うえでの作戦であったのだ。
沖縄が米軍の勢力圏に入った後の戦争の展開も既に分かっていたはずである。実際に、その通りに戦争は進んだ。日本は本土を空襲され、広島と長崎に原子爆弾を投下される。終戦間際には満州にソ連軍が攻撃を開始し、そこにおられた方は大変な想いをされ、多くの兵士がシベリアに抑留され、また、兵士でなくても、例えば、多くの「中国残留孤児」を生んだ。しかし、この作戦が失敗してからも、降伏するまでに数か月、何の成算も、何の意味もない戦争を続け、兵士ばかりではなく、一般の人たちに多くの犠牲者を出し、悲惨な想いをさせたのである。それは、本当に理不尽なことだと思う。

本作は以下の通りの終わり方をしている。万感が込められた終わり方だ。

徳之島ノ北西二百浬ノ洋上、「大和」撃沈シテ巨体四裂ス 水深四百三十米
今ナオ埋没スル三千ノ骸
彼ラ終焉ノ胸中果シテ如何

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2015年06月20日

著者のご遺族に知り合ったこともあり、大学生の頃読んで感動した、戦後文学の名著。
戦争中、出征していった若者がなにを考え、なんで戦い死んでいったのか。
最近多い単なるナショナリズムとその反発のような軽薄な議論するの暇があれば、一読することをお勧めする。
自分たちは、彼らが犠牲を払って託したものを本当に...続きを読む生かせているのだろうか

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Posted by ブクログ 2014年05月17日

呉の大和ミュージアムにて購入。
こういうのは最高評価以外につけようがない。

確か再読だったなぁ。子供の頃読んだ時はこういうのの捉え方がわからなかったしカタカナ読みづらいしで困ったけど、今はすんなり読めるね。ミュージアムで駆逐艦等の知識得てからだから余計面白い。
臼淵少佐の言葉は至言。国や時代が違っ...続きを読むても兵隊の普遍の答えじゃないかと。
そういえば終戦のローレライはこの人をモデルにしたんでしょうかね。

そして解説を「限界芸術論」の鶴見俊輔がしていて喜ぶ。同じ歳とは…。

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Posted by ブクログ 2013年11月25日

凄かった。泣いた。「永遠のゼロ」で感動しているヒマがあったら是非この名著を。一読して(他の批判を待つまでもなく)これは「小説」であり「記録」ではない。余計な修飾や後付け、伝聞は目立つ。しかしそれを差し引いても圧倒的。僅か二時間の戦闘の如何に凄惨なことか。その後の脱出行の如何に無常なことか。僕はこの小...続きを読む説を忘れないだろう。戦争反対。

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Posted by ブクログ 2013年08月15日

「大和轟沈 一四二三」

昭和20年4月7日12:20
「目標捕捉 イズレモ大編隊 接近シテクル」
戦闘開始から2時間後のことである。

カタカナの文語調の文体には緊張感が漂う。
時系列、日記的な記載により臨場感が増す。
基点(大和)から、話題がぶれないために、時局の把握は容易にできる。(時代背景や...続きを読む軍備)説明はは少ない。

天号作戦は、死出の作戦。出航後の帰還はしない。
緊&緩の繰り返す波、艦上と下船の会話。これは軍隊と家族、戦争(死)と生活(生きる)との対峙なのだろう。会話中に登場する、許婚、父母や、妹があり。
戦闘(攻撃)の描写は息を飲む、目前での死別あり。無言の最期があり。死に直面しての、落ち着きは何を示すのか。
作戦中止のあとでは、生きることを命じられる。海中で漂う間にも、死を願っている。生恥をさらすことはつらい。だが、生還した。


一読ノ価値アリト信ズル

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Posted by ブクログ 2011年05月14日

学徒動員で海軍に入隊した著者が、大和の特効出撃と自らの生還を描いたのが本書です。

慣れるまでは全編文語体であり、読みにくいことこの上ありませんでした。しかし読んでいくうちに、文章から異常な緊張感と迫力が伝わってくるようになりました。出撃を命ぜられた時の著者の心情。出撃前夜の若手士官たちの論争。激戦...続きを読むと沈没、そして漂流から生還まで、まさに当事者だから書き得たものといえるでしょう。

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Posted by ブクログ 2009年11月20日

Kodama's review
凄まじいの一言に尽きます。
「進歩ノナイ者ハ決シテ勝タナイ 負ケテ目ザメルコトガ最上ノ道ダ…
…俺タチハソノ先導ニナルノダ 日本ノ新生ニサキガケテ散ル マサニ本望ジャナイカ」(臼淵大尉)
コメントも出来ません。
(06.11.30)
お勧め度
★★★★★

...続きを読むKodama's review
この時期に2冊の本を本棚より取り出し、再読したうちの1冊。
臼淵大尉の言葉には、何度読んでも心打たれるものがあります。
(09.8.2)
お勧め度
★★★★★

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

昭和20年、必敗の特攻作戦のために呉港を出港した戦艦大和。
海軍少尉として大和に乗艦した吉田満が、出港から沈没、漂流までを綴った。

死を目前にした乗組員たちのエピソードは、「涙なくしては読めない」との評判通り。
中でも自分の死に意味を持たせたい士官たちの議論は、我々にあらゆる問いを突きつける。

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Posted by ブクログ 2022年10月02日

副電測士の少尉であった著者による、戦艦大和の最後の出撃をえがいた記録文学です。

太平洋戦争の敗色が濃厚になっていくなかで、大和は片道の燃料だけを積んで、生還を期することのない「天一号作戦」の実行をおこないます。「日本ノ新生ニサキガケテ散ル マサニ本望ジャナイカ」と語る臼淵大尉と、それでもなお戦いの...続きを読むなかで死んでいかなければならないことの理由を求めようとする者との認識のちがいが浮き彫りになりつつも、大和は進路を進めていきます。たびかさなる集中砲火を浴び、著者も死の淵をさまようことになりますが、生きたいという「希求」ではなく、生きなければならないという「責務」によって、著者はロープをつかみ、救出されることになります。

巻末の「作家案内」を執筆しているのは、「祖国と敵国の間」の作品がある古山高麗雄です。古山は、戦争のなかで著者とは異なる立場に立つことになりましたが、古山のこの作品の書評を依頼された著者は、「こんなに苦しい原稿を書いたことは初めてだ」と語りながらも、原稿用紙30枚におよぶ書評を執筆します。二人のあいだに立場のちがいはありながらも、ともに戦争をくぐり抜けた者としてのことばの重さを感じます。

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Posted by ブクログ 2022年01月30日

吉田満 「戦艦大和ノ最期」 戦艦大和の電測員であった著者が、天一号作戦における戦艦大和の出撃から自爆までを記録した本。


戦争の不条理、悲哀、残酷さ、昂揚感など戦争の全てを再現している感じ。カタカタ文語体の文章が 軍隊を象徴しているように感じる〜規律的というか、ガラパゴス的というか。


天一号作...続きを読む戦は、往路のみの燃料を搭載し、敵国の標的となれというもの。もはや作戦ではない。この時点で降伏せず、原爆投下まで国家の損失を広げた理由を知りたい


敵国の的確な攻撃力に対して「敵ながら天晴との感慨湧く。達人の稽古を受けて恍惚たる如き爽快味あり」と感じるあたり、後に日本銀行で日本経済を復興させた人物だけあって、自分と周辺を俯瞰する能力が凄い


臼淵大尉の言葉「進歩のない者は決して勝てない。負けて目ざめることが最上の道だ〜我々は 日本の新生にさきがけて散るのだ」が玉砕の本質なのだと思う。無理やりな論理構成だが、それで自分を納得させるしかないといった感じ

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Posted by ブクログ 2022年01月22日

文語体

特攻部隊。自分が死ぬとわかりつつも、戦いに一部興奮、やりがいを求める部分もあり。

大和と米軍機動部隊の攻防。波状攻撃。
大和沈没後の誘爆、駆逐艦で救助されるまでの出来事。ここが一番生々しかった。
生きているのが苦しい、死んでやろうか。

駆逐艦のスクリューで巻き込まれて、、

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Posted by ブクログ 2020年08月26日

本文は文語体で、馴染みがない文章なので難しかったが、その後の著者の解説を読むとなぜ文語体が用いられたのかが分かる。大和の特攻、必敗の作戦に赴き、援護もなく立ち向かっていくがやられ放題、最後には沈んでいく様がなんとも悲しい。生き残ってもまた苦悩、、、

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Posted by ブクログ 2019年04月08日

 吉田満は1923年に生まれた。1945年に22歳。九死に一生を得て戦後を迎えるが、1979年、高度経済成長の最中、56歳という若さで亡くなっている。
 20代に、初めて読んでい以来、沈没寸前の大和艦上の凄惨な描写が忘れられない。臼淵大尉はじめ、少壮の将校たちの特攻に対する議論が、戦後日本の浮かれた...続きを読む経済成長を批判する言説として読み継がれてきた一面が強い作品だ。しかし、ここに描かれている、艦上の凄惨にこそ、「死」と「国家」を天秤にかけた議論以上に、吉田の国家や戦争の持つ、本質的な「人間蔑視」批判のメッセージを読むべきではないのかと、最近気づいた。
 先日、呉の「大和博物館」(?)の前を通った。金のかかった威容に驚いたが、入る気はしなかった。ずっと高齢の老人の団体が、ポセイドン像へのあからさまな感動を口にしながら入館していたが、神話化し美しい魂の結実のような、戦争機械の美化は、本当にもうやめた方がいいのではないか。
 戦没者の慰霊を、国家の美化にすり替えるペテン師たちが、大手を振って歩きまわっている。吉田が生きていれば、どう感じるのかわからない。しかし、自分の孫の世代の「日本人」が、ここまで恥知らずな言説を振り回していることには驚くに違いない。

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Posted by ブクログ 2017年11月20日

映画「男たちのYAMATO」を見て、この有名な本のことを思いだし、読んでみました。

著者は21歳の海軍少尉として戦艦大和に乗りこみ、その撃沈を生き延び、終戦直後、わずか1日でこの小説の初稿を書き上げたということです。

大和の最後を描いたこの作品、映画の幾つかの印象的なシーンは、この小説からそのま...続きを読むまとられています。たとえば、長島一茂演じる臼淵大尉が、激しく言い争う士官の間に割って入って語るときの言葉とか、特攻作戦を伝える特使にくってかかる若手艦長のシーンとか。

映画では、戦闘シーンは15分程度だったと思いますが、実際には約2時間、壮絶な(というか制空権、制海権が失なわれた海を行く大和へのほぼ一方的な)戦闘が繰り広げられ、そして巨大戦艦が爆沈した後、放り出された乗組員たちは重油の海の中を2、3時間漂い、ようやく僚船に救出されます。

この作品は、その戦闘の経緯を描いたドキュメンタリーです。

文語体、カタカナという、われわれには読み慣れない文体で書いてあるので、とっつきにくいところはありますが、それゆえに独特の臨場感と緊迫感があります。

雲ノ切レ間ヨリ大編隊現ワル 十数機ズツ編隊ヲ組ミ、大キク右ニ旋回
正面ニ別ノ大編隊 スデニ突撃隊形ニ入リツツアリ
「敵機ハ百機以上、突込ンデクル」 叫ブハ航海長カ
雷撃、爆撃トモニ本艦ヘノ集中ハ必至
艦長下命「射撃始メ」
高角砲二十四門、機銃百二十門、一瞬砲火ヲ開ク
護衛駆逐艦ノ主砲モ一斉ニ閃光ヲ放ツ
(p72 開戦)

第二波去ルヤ踵ヲ接シテ第三波来襲
左正横ヨリ百数十機、驟雨ノ去来セル如シ
直撃弾数発、煙突付近ニ命中
塚越中尉、井学中尉、関原少尉、七里少尉ラ相次イデ戦死
機銃指揮官戦死ノ報アトヲ絶タズ
艦橋ヲ目指シテ投下サレタル爆弾ノコトゴトクガ外レ、コレヲ囲繞防衛セル機銃群ニ命中セシタメナリ
魚雷命中、左舷ニ二本
傾斜計指度僅カニ上昇ヲ始ム
(p87-88 間断ナキ猛襲)

治療室ニ辿リ着キ、 傷ヲ縫合スル
軍医官二名、全身ニ返リ血ヲ浴ビ、マナジリヲ決シテ「メス」ヲ揮ウ
応急治療室ニハ浴室ヲ使用ス 湯水ノ流ルル「パイプ」ニ、血ヲ通スタメナリ
他ノ室ナラバ、ヤガテ血ノ海トナリ、血ニ溺ル
室ノ一隅ハ、天井ヨリ堆キ坂ヲナシテ死体ノ山ナリ
(p148 救出)

戦争について書かれた作品の中で、一度は読んでおくべき作品だと思います。
最初は読みにくいですが、一度読みはじめたら止まりませんから。

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Posted by ブクログ 2015年08月13日

よくもまあ,当時のことをこれだけ詳しく書けるものだ…と感心した。こういう本があることは知っていたが,「今さら読んでもなあ」と思い,敬遠してきた。が,最近,政治の動向がきな臭くなってきたので,なんとなく,こういうものにも触手が動くようになったのだ。

最後の解説は鶴見俊輔氏が書いている。

大和の特攻...続きを読むは,ムダなのか…オレらの死の意味はなんなのか…艦船上で悶々とする兵士たち。「負けて目ざめることが最上の道だ」とは,自分達の死を意味づける究極の言葉だ。「日本の新生に先駆けて散る。まさに本望じじゃないか」
もっと前に,降伏していれば,大和の死もなかったのに…。

全編文語体で書かれている本書から伝わってくるのは,戦場の姿だs。

所詮,「戦う」とは,こういう姿が現れるってことなんです。

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Posted by ブクログ 2015年06月18日

先年,呉の大和ミュージアムに行ったとき以来,読もうと思っていた本を読む.

大和の最後の出撃となった沖縄特攻に学徒出身士官として乗り組んだ著者の経験を基にした小説.短い文を重ねた明晰な文語での記述に,必ず負ける,生きては帰れないと知りながら出撃し,まさしく懸命に戦う人たちの姿がうかびあがる.戦後70...続きを読む年を振り返り,今の日本がどうなろうとしているかを考える上でも,読んでよかった.

文語文としては難しくはないが,私には読めない漢字や意味のわからない漢語は少々あるので辞書はひかないといけなかった.若い人が読めるようにルビ付き,注つきの手軽に手に入るエディションがあってもいいと思う.

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Posted by ブクログ 2014年12月10日

軍部は、駆逐艦30隻相当の重油を食らう巨艦大和の維持に困ったために、数千人の命と共に、大和を見殺しにしたわけですね。
何万人の社員を維持しかねている巨艦、とならないようにしなければいけません。。。

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Posted by ブクログ 2013年11月24日

乗組員達が愚かな作戦と分かりながら予定調和的、いやそれ以上に脆く沈んで行く大和の姿に激しい哀しみを感じる。空気と言ってしまえばそれまでの理不尽さとその中で自分自身を生きるしかない人々はスケールこそ違えどいわゆる人生というものか。伊藤長官の最後の作戦中止の決断はその空気の中でこそ思い切ったものであるけ...続きを読むど、誰もが持つ生きたいという気持ちの前では当たり前のようにも見えることに至っては。

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Posted by ブクログ 2012年06月29日

戦争関連の本を読むようになったきっかけの本。
戦艦大和最後の出撃から大和が沈み乗組員が助かるまで、一般の小説に比べたらそう長くはない時間を丁寧に書かれている。
カナ混じりの文語体に慣れず読みにくかったが、それでも一気に読んでしまった。

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Posted by ブクログ 2010年05月14日

簡潔にしかも高雅な文体で(カタカナで読みづらい点もあるが)大和の沈没が語られる。書かずにはおれなかった吉田氏の気持ち、そういうことがよくわかる。この本は大和の最期を書いていて、見つめているのは生と死、そして己の存在意義。重いテーマであるし、誰もが考えなければならない問題だと思う。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

 片仮名だし、文語体だし、ものすごく読みにくいのですが、後半はそんなもの気にならなくなります。
 みな格好いいのです……生き様が……死に様が……。

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Posted by ブクログ 2011年05月14日

題名どおり 戦艦大和の最期。
全部文語体 読みにくいことこの上なし。
しかも諸事情により読まざるを得なくなっただけの読者である私にとっては本当に面倒なだけ、、と 最初は感じていたが・・・
読みなれてくると この文語体が非常に効果的。スピード感 切迫感 今と違う空気 感情がついていかない不安感 とても...続きを読む内容にマッチしてるようなきがしてきた。そして驚くべき乗員達の第三者的な意見の数々、なんだ、、、こんなに分かっていたのか という衝撃。悲惨な状況 それに慣れている人 やはり辟易する人 今と違うようで同じ人。隠されてない当時の人の思いが書いてあったり でも格段驚きはしなかった。そうだよなあ、と思う。著者のめぐらす思いにいちいち反響してしまった。ただその時代にいた人達の叫びがやたらめったら染み入って 何度も涙がこぼれた。感動とは違う、打たれる という感じ。
きっとみんな分かっているのに どうしていまだ解決できないんだろう 大和を沈ませるのに成功した米でさえ そのご復興したたくさんの国でさえ みんなして解決できないこの大問題。誰かを紛糾したところで解決の糸口は見いだせない、この問題が解かれるのを そう長くは待っていられないのに・・・ただ焦りと悲しさを覚える。いろいろ著者には頭が下がる思いもした

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Posted by ブクログ 2017年12月05日

有名な本だけど,初めて読んだ。
吉田氏は大和の最後の天一号作戦に副電測士の少尉として乗り組んだ方。大和の生き残りだ。
文語体で漢字カナ交じり文だけど,改版で新仮名づかいになっているのはいまいち違和感。旧仮名でいいのにね…。

引用のとこは旧仮名。p.15のこれは手紙の引用
“便箋ニ優シキ女文字ニテ誌...続きを読むス 「お元気ですか 私たちも元気で過してゐます ただ職務にベストを尽して下さい そして、一しよに、平和の日を祈りませう」”

かなが旧仮名でカナが新仮名というのはどうも違和感。でも改版当時(1981)はもうこの方が売れる,という判断だったのだよねぇ…。

GHQの検閲がなくなってようやく世に出た初版のあとがきに何か感じ入ってしまった。
"戦歿学生の手記などを読むと、はげしい戦争憎悪が専らとり上げられているが、このような編集方針は、一つの先入主にとらわれていると思う。戦争を一途に嫌悪し、心の中にこれを否定しつくそうとする者と、戦争に反撥しつつも、生涯の最後の体験である戦闘の中に、些かなりとも意義を見出して死のうと心を砕く者と、この両者に、その苦しみの純度において、悲惨さにおいて、根本的な違いがあるであろうか。"pp.167-168
"このような昂りをも戦争肯定と非難する人は、それでは我々はどのように振舞うべきであったのかを、教えていただきたい。我々は一人残らず、召集を忌避して、死刑に処せらるべきだったのか。…戦争を否定するということは、現実に、どのような行為を意味するのかを教えていただきたい。単なる戦争憎悪は無力であり、むしろ当然すぎて無意味である。誰が、この作品に描かれたような世界を、愛好し得よう。"p.168
21歳の若き少尉として大和に乗り組み,多くの戦友とともに艦を喪い,九死に一生を得た著者は,終戦直後にこの作品の初稿を書き上げたという。それは彼という人間の内から出てきた真実の声に違いない。戦争への反省は,文学の仕事ではなくて,批評の仕事だろうと思う。

戦後の観点からの批判を加えることをしない「戦争記録文学」が当時は格好の非難の的になったこと。
事実とデータを提示して,東電や政府を論難することのない早野先生が御用学者呼ばわりされるのも,これのミニチュア版なのかも知れない。

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Posted by ブクログ 2017年12月22日

戦艦大和の最後の出撃に参加した吉田満が、戦艦大和の出撃から沈没までを綴った作品である。(一部に創作が加えられており、ノンフィクションではない)
吉田満は、東京帝国大学(当時)在学中に学徒出陣により召集され、1944年12月に戦艦大和に乗艦。翌1945年4月、最後の出撃(天一号作戦)に参加したが生還し...続きを読む、終戦直後の同年9月に、ほぼ一日で本書を書き上げたという。
執筆の動機について、著者は、「敗戦という空白によって社会生活の出発点を奪われた私自身の、反省と潜心のために、戦争のもたらしたもっとも生ま生ましい体験を、ありのままに刻みつけてみることにあった。・・・今私は立ち直らなければならない。新しく生きはじめねばならない。・・・その第一歩として、自分の偽らぬ姿をみつめてみよう、如何に戦ってきたのかの跡を、自分自身に照らしてみよう」と書いている。
そして、本書には、その時に若い海軍士官達が何を考えていたのかが綴られている。敗戦を覚悟して出撃した後、艦内では若い士官達が「進歩ノナイ者ハ決シテ勝タナイ 負ケテ目ザメルコトガ最上ノ道ダ 日本ハ進歩トイウコトヲ軽ンジ過ギタ 私的ナ潔癖ヤ徳義ニコダワッッテ、本当ノ進歩ヲ忘レテイタ 敗レテ目覚メル、ソレ以外ニドウシテ日本ガ救ワレルカ 今目覚メズシテイツ救ワレルカ 俺タチハソノ先導ニナルノダ 日本ノ新生ニサキガケテ散ル マサニ本望ジャナイカ」と語り、自分達の死に意義を見い出そうとしていたのである。
本書は、執筆直後にはGHQの検閲で出版が出来ず、小林秀雄が白洲次郎にGHQとの交渉を依頼したのだというが、実際に初版が出版されたのは1949年、決定稿とされるものが出版されたのは1974年のことである。
現在では一部に創作が加えられていることが判明しており、何故その必要があったのかという疑問は禁じ得ないが、日本海軍の象徴・戦艦大和の最期の出撃に参加した海軍士官の思いを知る作品としての価値はあろう。
(2010年5月了)

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Posted by ブクログ 2010年09月20日

戦時中、戦艦大和の乗組員としてその特攻出撃に参加した著者による、記録文学。

硬派な文体で、虚飾や読者への媚びを一切廃し、ただ淡々と自分の体験した大和出撃を描く。途轍もなく貴重な書である。
ここには戦争に対する反省やら、人間の生き方についての哲学めいたものは登場しない。何を読み取るかは読者次第なのだ...続きを読むろう。

乗組員の実体験に基づいている為全体的に臨場感あふれるが、特に轟沈から救出されるまでの下りの迫力は凄まじい。

こういった本を読むと、本当に今の我々の世代というものは戦争から遠ざかり、その教訓を実感として感じることがすっかり不可能となっていることを痛感する。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

賛否両論あるが、私は読むべき本であると思う。
今、自分のあるこの国がどのような経緯を持って今あるのか。
それを知らずして、今を過去を批判することなどできまい。
そのための一冊である。

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