山白朝子のレビュー一覧
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久しぶりに乙一の新作本をタイムリーに購入して読めました。
過去作はほとんど読んでいたと思いましたが、「階段」という作品は初めてでした。父という絶対的存在、ルール、家族構成とそれぞれの距離感など自分と重なる部分があり少し胸が痛みました。1番印象強いです。
他、新作を除く乙一名義の作品はどれも読んだものばかりですが当時読んでいた時からお気に入りだったお話だったので、またこういう形で読み返しできて満足でした。
WiFi幽霊ですが、私はすごく面白かったです。読んでいて怖さもあるんだけど、この主人公なら救いがありそうな感じ。最後に収録されていましたが、後味のよいもので締められていて良かった。 -
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山白朝子名義を含む乙一のホラー短編を集めた短編集。唯一の書き下ろし作品「Wi-Fi幽霊」を除き、すべて過去に発表されたものです。乙一ファンの私にとっては既読の作品が多かったのですが、結構内容を忘れていて、新鮮な気持ちで楽しめました。
中でも「Seven Rooms」は、初読時の強烈なインパクトが忘れられない一編で、再読してもその緊張感と構成の巧みさに引き込まれました。
新作の「Wi-Fi幽霊」は、主人公とAIの対話を通じて不思議な謎を解き明かしていく物語。乙一もついにAIという現代的テーマに踏み込んできたかと、時代の移り変わりを感じさせる興味深い作品でした。 -
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山白朝子=乙一の別名義(ちなみに中田永一も)。名前でジャンルを書き分けていて、山白朝子はホラー寄り。
充実した内容の7篇の短篇集。
けっこうしっかり怖く、けっこうしっかりグロテスクなお話も多かった。中でも「鬼物語」は巨大な鬼が村を壊滅させてゆくのだけど、描写が容赦ない。鬼の話だけど現実で昔起きた三毛別のヒグマの事件を彷彿とさせる。
全体的に「人間の因果」を感じる物語が多かった。実際生きていると、人と人は思いがけないところで繋がっていることに気づくことがある。違和感の正体に気づいたときに、妙に納得することもある。
そういう現実でもあることをホラーの衣で包んで差し出されたような感覚。
オカルト的な意味でぞっとしたあと、そのようなことが起きた意味が分かって別の意味でもう一度ぞっとする。
「鳥とファフロッキーズ現象について」は少し毛色が違って印象的だった。
山間に住む父娘が家の屋根の上で瀕死になっていた黒い大きな鳥を助けて、治療したあと家に置いているうちにいつのまにか飼い鳥になり、という物語なのだけど…ホラー版鶴の恩返しじゃないけど、とある憂き目に遭ってしまった娘に、鳥が思わぬかたちで恩返ししはじめる怖面白いお話。
「井戸を下りる」は井戸に棲みつく女の話でどことなく「番町皿屋敷」や「リング」を思わせるし、内容的には関連性はないのだけど、「ホラーの舞台」としてなじみがあるものはやっぱり薄気味悪いのだと思った。
ホラーは人の本能に訴えかける素材があるからこそ成立するのだと改めて思った。
怖く、切なく、人の業の深さを感じる。さまざまな意味での「ホラー」を楽しめる、シンプルにとても面白い短篇集でした。 -
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ネタバレ迷い癖のある旅本作家・和泉蠟庵と、荷物持ちとして彼の迷子に付き合わされる耳彦の奇譚集。
面白かったです。好きな世界観でした。
蠟庵先生は迷った先で名所や温泉に出くわすので道がわからず旅本に書けないし、耳彦は博打好きで借金をこさえがち。懲りないな。。
だいたい耳彦が命の危機寸前までいくけど、間一髪で蠟庵先生がきたりする。最終話もそうだけれど、見える範囲にいるのに迷子になる先生がこういうときはちゃんと辿り着くのでなんかあるのかなぁ。
お話はとくに、表題作と「あるはずのない橋」「「さあ、行こう」と少年が言った」が好きでした。
エムブリヲの健気さがかわいい。
「〆」は凄かった……小豆との顛末も、村で出てくる食べものに全て人の顔みたいなのが付いてるというのも強烈でした。
山白朝子さんが一番好みだと再認識しました。単行本で読んだのですが、山本タカトさんの装画も素敵です。
温泉に行きたくなる。異界はそこかしこに口を開けてて、迷い込む人を待ってるんだろうな…とか、思ってしまいます。 -
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ネタバレ最近万城目学さん、今村夏子さんと不思議な世界の作品を続けて読んでいる (*´˘`*)
こちらも土瓶さんから教えて頂いた山白朝子さんの不思議な八つの短編集( ᜊ°-° )ᜊ
短編集は好みではないのだけれど、このジャンルは別
グロ描写も多いが色々な内容が詰まった話ばかり(⁎˃ᴗ˂⁎)
特に惹き込まれたのはこの四話
『首なし鶏、夜をゆく』
風子のおばさんに、首を手斧で切断された鶏の京太郎ε('ﻬ')зコケッ
首がないのに地面の餌を啄ばむ仕草をしたり、首の切断面に開いた小さな穴から餌や水を吸収する姿はグロテスクε('ﻬ')зコケッ
ある日を境に何故か風子が学校に来なくなる…
おばさんの狂気、風子の純粋さ、京太郎の不気味さと切なさにどんどん吸い込まれた
『子供を沈める』
これはちょっと不気味だった
学生時代に生田目頼子(いくためよりこ)をいじめて自殺に追いやったカヲルと友人達
産んだ友人達の赤ちゃんの顔がみんな生田目頼子にそっくり(; ꒪ö꒪)で、彼女達は自殺したり、我が子を殺してしまう
果たしてカヲルは、産んだ我が子を育て上げることができるのか。。。
自分が産んだ赤ちゃんが、自殺に追いやった人の顔にそっくりだなんて、生き地獄でしかない
๐·°(৹˃̵﹏˂̵৹)°·๐
オッパイあげて、寝かしつけて。。。
考えただけで身震いブルブル
カヲルの妄想なのか、生田目頼子の怨念、復讐、呪いなのか、くわばらくわばら…
『トランシーバー』
震災の津波で亡くなった妻と息子
酩酊状態になると、息子のお気に入りのおもちゃのトランシーバーから息子の声が聞こえてくる
…パパー……どこー……ちんちんおしっこー……
……パパいるー……うんちでたー……
……パパー、こっち来て!…いっしょにあそぼー…
現実なのか妄想なのかグレーの世界
愛する可愛い息子の声が聞けるなら酩酊し続けても構わないという親心と、変わらぬ無邪気な息子の声があまりにも切ない(꒪̥̥﹏꒪̥̥ )
そして表題作の『私の頭が正常であったなら』
死んだ娘の声が聞こえてくる
幻聴なのか?
野川沿いを散歩すると聞こえてくる、私にしか聞こえない声
私の頭がおかしいのか?!
精神が病んでいながらも、娘を思う気持ちが生んだ奇跡の話.˖٭*
土瓶さん、ありがとうございました(⁎˃ᴗ˂⁎)
読んでいる間、乙一さんの作品だったことを忘れていました
多才振りに圧倒されました
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ネタバレあの世とこの世の境界を曖昧にする、不思議で切ない7篇。時代も場所もさまざまな設定なのに違和感がなく、どこか懐かしい昔話のような世界が広がっている。
特に好みだったのは「井戸を下りる」「黄金工場」「未完の像」「鬼物語」「鳥とファフロッキーズ現象について」。もうほとんど全部好みだった。
どの物語も、読んでいて悲しい予感がある。きっとこの先悲しいことが起こると分かっていて読み進めるのは辛いけれど、その予感を裏切らないで最後にしっかり切ない気持ちにさせてくるところが良かった。
この切なさは登場人物たちの愛情によるもので、どの物語にもみんなが生きた証があった。余韻に浸っていたい。 -
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乙一氏のデビュー作から別名義も含め殆どの作品を読んでいる古くからのファンだけど、しばらく新作の発表が少なくなっていて残念だった。
今回の作品は山白朝子名義だが、初期の作風が戻ってきたようで、とても面白かった。
あり得ない現象が起きているのに妙にリアリティがあって、説得力を感じるところがよい。
やはり、乙一氏は、短編ホラーの日本一の名手だと思う。
「子どもを沈める」が特に怖かった。結末は少し納得のいかないところもあったけど、段々と怖さが増してくる描写力はさすがだ。
どんでん返しの切れ味は、「GOTH」や「ZOO」の頃の方がすごかったけど、どの作品も納得できるレベルの高さだった。