山白朝子のレビュー一覧
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ネタバレ冒頭3章はグロめ。作品を生み出すことへの並々ならぬ執着や執念を描いている。時には呪いのようでもあり、幸とも不幸とも取れる。登場人物達の心情が気持ち悪くもあり、でもわかる部分も少しありつつ…。
書くためにはあらゆる物を捨て、形振りなど構ってはいられない。そんな気持ちをルーペで拡大して、まとめたような一冊。
しかし昔の黒さはやはり健在なのだと思わされる仕上がり。山白朝子先生の作品はいずれも好きだけれど、今回は特にバラエティに富んでいた印象。
個人的には後半4章が好きだった。小説の怪人は主人公自身が事件に巻き込まれていくところが面白かったし、脳内アクターは消滅させたタルパの影響が気になる終わり方。精 -
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現代ホラー小説傑作集。これまた全部再読なのだけれど、傑作揃いというほかのないセレクションです。
かるかやシリーズの「芙蓉忌」、実はシリーズ他の作品に較べると印象が薄かったのですが。再読してみると、なかなかに怖いしひっそりとした切なさも感じる名作でした。なによりこのアンソロジーがこの一編で幕を開け、そしてラストが「七つのカップ」で優しく終わるという構成も素敵なのですよね(ラスト一歩手前が「あまぞわい」でとことんどんよりしたあとだというのもまた)。
小林泰三さんの「お祖父ちゃんの絵」をセレクトするというのもまたなんとも。これ、最初に読んでいるうちは「お祖母ちゃんの絵」の間違いじゃないの? って思う -
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小説家には奇人変人が多い。その奇行ゆえに、トラブルに巻き込まれることも少なくない。そしてトラブルの中には、奇譚としか言えないできごとがあったりもする。
そんな小説家の経験した奇譚を集めた連作サスペンスホラー短編集。
物語は、奇譚を蒐集・記録した「私」の視点で描かれる。
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O氏という小説家がいた。
20代で小説を書きはじめたO氏は、新人賞への応募作が審査員特別賞を受賞してミステリー作家としてデビューした。
O氏の作品の魅力は、その描写の高いリアリティにある。例えば舞台となる学校の持つ空気、生徒たちの息遣いなど、瑞々しさや存在感が感じられるほどの表現力なの -
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ネタバレ面白かった。乙一っぽさを存分に味わう。山白朝子名義で実話怪談のように小説家の話をしていくけど、話してるのも語られてる小説家も乙一のことでは?と感じられて面白い。
「墓場の小説家」
小説家は奇人変人だが、自分は別だとのたまうのが乙一らしい。そんな奇人変人を前にして喜ぶ主人公もおかしいのが面白い。
最初のエピソードだから、出来るだけ怖さを出そうとしたのかなと感じられるラスト。
「小説家、逃げた」
これ絶対乙一本人だろ!って思っちゃうような小説家。逃げ出しはしなくても、逃げ出したくなったこともあるだろうし、そこからぶっ飛んだ想像を描くのがうまい乙一らしさ。
一周回ってつながるところにニコニコしち -
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様々な作家の小説ができるまでの苦悩や生活などを短編にした話であっという間に読める本なのにまた再読したいと思わせる文章になっている。あり得ない日常を過ごしてるからなのだろうし、凡人に小説は平凡になるので奇抜な人物しか小説家にはなれないと言っているようにどの作家も知らない世界のような執筆作業をしているので先が気になるのとまた読みたくなるのかも。
再読。2025/05/15
大作家の分担して小説を書いている話や鎖国を推奨していた作家が事故で生きた屍となり触れるだけで感情がわかる外国人が代筆する話はなどやはり何度読んでも時間を無駄にしたと思わない作品である。 -
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ネタバレ小説家ってへんだなぁ〜。
初めて小説家の裏側を知れた気がした!!
これがノンフィクションだったら、
尚更面白すぎる。
自分もその物語の世界に入らないと
小説を書けない小説家を描いた『墓場の小説家』、対談の前に疾走してしまった
小説家の真意を描いた『小説家、逃げた』、
彼の書いた小説を読むと霊障が体験できると
言われている『キ』、
昔の知り合いの作品のアイデアが小説家レジェンドに盗作された謎を追う『小説の怪人』、
脳内に劇団員を配置し、小説を描く小説家を襲った顛末を描いた『脳内アクター』、
担当編集者にストカーされる小説家の悲劇を
描いた『ある編集者の偏執的な恋』、
人に触れるとその人の考えが -
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あ〜面白かったε- (´ー`*)
山白朝子が7人の小説家や編集者との会話形式で
奇妙な体験談を語るという7つのお話。
なかには作風や容姿など〝あの人をイメージした?“
なんて作家もいたりして笑
切ない話もあればゾワっとする話もあり、山白名義の本らしくグロさは少なめだけどゾワゾワしつつ結末が気になる話ばかりでした。
「ある編集者の偏執的な恋」では女性編集者がストーカー化していくのがミザリーを彷彿とさせるサイコスリラーで結末に思わず〝上手い!上手ぎ!!“
と感心しきり♪
「精神感応小説家」は最悪のパターンにいくか?ウルっとハッピーエンドにいくか?黒乙?中田?
とワクワク♪どんな結末でも -
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ネタバレ乙一さんの別名義の1つ、「山白朝子」名義の新刊が並んでいた。山白朝子名義の作品は、色々な意味で「きつい」。描写がきつかったり、設定がきつかったり。今回もきついのを覚悟して読み始めると、山白朝子名義としては異質に感じた。
全7編、いずれも「作家」が登場するのが特徴である。執筆の流儀は作家によってそれぞれ。商業作家の多くは割り切って書いているだろう。一方で、執筆で一切悩まない作家もいないだろう。山白朝子こと乙一も、悩める作家の1人ではないか。
「墓場の小説家」。ここまでするホラー作家はいないだろうが、頭の中を覗いてみたいと思うことはある。あくまで創造の産物として楽しみたい。「小説家、 -
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本作はジョジョの奇妙な冒険のスピンオフ作品『岸辺露伴は動かない』を小説家バージョンにしたような作品。小説家してたらこんな不思議な体験しました~を、エッセイのような柔らかいタッチで語ってくれる。ちなみに山白朝子さんは乙一さんの別名義なので、彼の「あとがき」の、あのゆるい感じが好きな人はより楽しんで読むことができるとおもう。
良かった点を一点あげるとすれば、オチの落とし方。ラストでいったん怪異だったり問題が解決……したかと思いきや、実はこんな恐ろしい後日談があったんですよ、みたいな落とし方が個人的にはかなり好きだった。
というわけで☆5つ。
あとこれはどうでもいいことだけど、表紙の絵、ちょっ