山白朝子のレビュー一覧
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ネタバレあの世とこの世の境界を曖昧にする、不思議で切ない7篇。時代も場所もさまざまな設定なのに違和感がなく、どこか懐かしい昔話のような世界が広がっている。
特に好みだったのは「井戸を下りる」「黄金工場」「未完の像」「鬼物語」「鳥とファフロッキーズ現象について」。もうほとんど全部好みだった。
どの物語も、読んでいて悲しい予感がある。きっとこの先悲しいことが起こると分かっていて読み進めるのは辛いけれど、その予感を裏切らないで最後にしっかり切ない気持ちにさせてくるところが良かった。
この切なさは登場人物たちの愛情によるもので、どの物語にもみんなが生きた証があった。余韻に浸っていたい。 -
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変人小説家たちの七つの不思議なお話
山白朝子さんらしいゾクッと感もあり、満足な一冊です
七人ともかなりの変人で、特殊な方法で執筆する。
読んでいるとつい
「ヘェ~作家さんってこんなふうに物語を生み出すんだ」と思ってしまうが(思わない!?)、いやいやこの七人は変人ですから!
あ、【ある編集者の偏執的な恋】だけは、編集者が変人と言うべきかな。
私が好きなのは……
【小説家、逃げた】
筆が異様に速い覆面作家で、その執筆する様子!
ラストが良い
【脳内アクター】
R先生の頭の中には劇団がある。
脳内の劇団員が様々なキャラクターを演じるのだ。
最後は背筋がゾクッ
【精神感応小説家】 -
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小説家には変人が多い。
こ〜んな出だしから始まる7人の変人小説家達のお話。
「私」が告発する世にも不思議な小説家の世界。
どうやって作品が生まれるのか、小説家の執筆にまつわる7つの短編集♪
作家さんてすごいな〜。
なんでこんな構想練れるんだろう?ってよく感じたりする。
ずっと小説を生み続けるってほんとに大変な事だよな〜って思う。
なのでこれはフィクションだけど、実はちゃんとモデルもいるほんとの話なんだよと言われても全然不思議じゃないかも、、笑
山白朝子さん名義だけど、そこまで奇妙な感じや怖さはなくてソフトだったかな??
でも7話とも面白かった〜!
個人的には「小説家、逃げた」と「脳内ア -
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〈小説家には変人が多い。〉
刺激的な一文から始まる、小説家たちのもとで起こった7つの不思議な短編。
小説家のはしくれと名乗る語り手(山白朝子?)が取材するかたちで、ぽつぽつと綴られていくそれらの物語には、なぜだかフィクションとも言い切れないような奇妙なリアリティを覚える。
やはり小説好きとしては「こんなことがもしも実際にあったら!」という空想が否応なしに膨らんでしまって、ストーリーはもちろん、その作用もとても面白かった。
ちなみに私がいちばん好きなのは『ある編集者の偏執的な恋』。熱意と狂気のあんばいが、とってもキュートに感じられた。(現実にあったら怖すぎるけど……) -
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小説家が語る、奇妙で不思議な小説家たちのエピソードがつづられた短編集。
どちらかというと作者名義らしくホラー味の強い作品群が多いのですが、後味の悪さはそれほどでもありません。没入型作家の「あるある」を極端にデフォルメしたような、面白おかしさが強い感覚でした。冒頭の一文からして「小説家には変人が多い」。そういう前提のお話なので、極端な設定から意外性あるオチをさっくりと楽しめます。
独特の余韻を感じたのは「精神感応小説家」でした。ベトナム人労働者と事故に遭った小説家の大家の不可思議な交流と事件の展開が小気味よく、温かみのあるお話でとても好きな一作です。 -
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乙一さんの怪談名義による山白朝子さんの新刊_
奇人変人な小説家が登場し
不思議で不気味な物語を堪能できる短編集
読みながら顔がニヤケてしまった…笑
大好きな乙一さんの新刊が読めるなんて幸せすぎるー!!
装丁に描かれた登場人物たちの缶詰を
1つひとつ開けるごとに
小説家たちの裏の顔が現れる
日常と作品世界の境界が曖昧になり
作品の創造を追求するがゆえに
常識を逸した小説家や
美を追求するあまり
破滅へと向かってしまう小説家が登場する
でもそれは全て “小説” そのものが好きだから!!
最後の最後まで 新刊を読めることが嬉しくて
顔が緩みっぱなしでした…笑
乙一さんと -
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乙一氏のデビュー作から別名義も含め殆どの作品を読んでいる古くからのファンだけど、しばらく新作の発表が少なくなっていて残念だった。
今回の作品は山白朝子名義だが、初期の作風が戻ってきたようで、とても面白かった。
あり得ない現象が起きているのに妙にリアリティがあって、説得力を感じるところがよい。
やはり、乙一氏は、短編ホラーの日本一の名手だと思う。
「子どもを沈める」が特に怖かった。結末は少し納得のいかないところもあったけど、段々と怖さが増してくる描写力はさすがだ。
どんでん返しの切れ味は、「GOTH」や「ZOO」の頃の方がすごかったけど、どの作品も納得できるレベルの高さだった。