山白朝子のレビュー一覧
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シリーズ第2作『私のサイクロプス』を先に読んでしまったので、本作(第1作)に遡って読んだ。基本的には耳彦と和泉蠟庵の道中記で、第2作のメインメンバーである輪が一話のみ登場する。
人情味、ユーモア、ホラーのバランスが素晴らしい。
弱者に対して、ほのかな、あたたかい情愛が積み重なっていく過程を描くのがうまいと思う。
耳彦と和泉蠟庵の掛け合いも息がぴったりで、クスッと笑える。
人の交わりの温もりを描く一方で、肉親を犠牲にしてでも生き伸びようとする人の本能も炙り出す。美しさと醜さが同居して、双方を引き立てている。
「正しい文章」というのとは少し異なり、時々ねじれを感じるが、繊細な感情を汲み取って、は -
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主人公の和泉蠟庵の設定が、方向音痴、わりと空気読(ま)めない、体力は鬼、しかしながら小柄、最終的に禿を気にし始めた時点でもう脳内配役が確定いたしました(……。)
そして長髪などという全くありがたい設定です。
大変けしからん。
耳彦は山田孝之さんが似合いそう。
濱田岳も合いそうだけれど蠟庵とバランス取れなさそう。
とはいっても実写じゃなくアニメ向きの話ではある。
ライトといえばライトか。
「ラピスラズリ幻想」の構成が好き。
しかし、繰り返すことはどちらかというと呪いに近いものも感じる。
それが故の結末なのだろうと思う。
何かを満たせば何かが満たされない。苦しい。
「〆」はなんとも言えず後 -
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すばらしいです。旅本作家の和泉蠟庵と荷物持ちの耳彦の二人組が旅先で奇怪な出来事に出会う連作怪異譚。上品で無駄のない筆致でつづられる奇怪で美しい怪異譚は、人が生きる上で生じる様々な暗い感情を悲しく切なく浮かび上がらせる。でも決して暗すぎることはない。マイペースな和泉蠟庵の迷い癖はすでに呪いのようなもので、また、それに付き合う耳彦はお世辞にも立派な人間とは言えず常に弱さをさらけ出している。この二人のとぼけた性格とやり取りが、和やかで優しい余韻を残してくれる。また、二人の存在が怪異譚を閉じずに常に未来に開いてくれている。
九編ともほんとうに見事な出来で、怖さの質もみな異なり、予想つかない展開もあり、 -
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あぁ、やっぱこれだよ。こういうのが好きなんだ。
決して文学賞にノミネートされるような作品じゃない。
本屋大賞のように、誰にでもおすすめできる本でもない。
けれど、どっぷりと暗黒の深淵を覗き込みたい人には
まるで底なし沼のように引き込まれる作品だ。
『スコッパーの女』山白朝子
小説家が「奇人変人」が多いというのは、よく聞く話。
そんな小説家や出版関係者たちが集う
アイデア交換会(アイデアの原石を交換し合う会)で
収集された奇妙なエピソードを、小説の形にした作品集。
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◆終焉を告げる小説家
物事の終焉を【深さ】として見ることができる小説家。
ある日、彼は鏡に映った自分に【深さ】 -
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全体的に期待していたより面白かった。
ただ表題作の『Wi-Fi幽霊(書き下ろし)』だけはイマイチだったかな…。こういうモキュメンタリー的なのは乙一さんには求めていないので、個人的には微妙。表紙もイマイチ。黒単色でシンプルにホラー傑作選のがいい気がする。
あとの作品は傑作選だけあって面白かった。
■乙一名義作品
『階段』
『SEVEN ROOMS』
『神の言葉』
『Wi-Fi幽霊』
■山白朝子名義作品
『鳥とファフロッキーズ現象について』
『〆』
『呵々の夜』
『首なし鶏、夜をゆく』
『子どもを沈める』
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山白朝子って誰?…と思ったけど、なるほど。
乙 -
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ホラー、ミステリ評論家の千街晶之さんがセレクトした、乙一と山白朝子の傑作選!
階段
SEVEN ROOMS
神の言葉
鳥とファフロッキーズ現象について
〆
呵々の夜
首なし鶏、夜をゆく
子供を沈める
Wi-Fi幽霊
全9作
「階段」と「Wi-Fi幽霊」以外は読んだ事あったけど再読。
でもほぼ内容忘れちゃってるので 初読みみたくめっちゃ楽しめた!
そんななか、「SEVEN ROOMS」だけは めちゃくちゃ衝撃的で印象に残ってたけど、やっぱり今読んでも ひぇ〜〜っ!と強烈なインパクトでした。
1番好きなのは「鳥とファフロッキーズ現象について」 かな。
ゾッとするけど、優しくてせつなくてうる -
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短編集。
表題作は肌に合わなかったが、他は全部気に入った。
特に、巨鳥と暮らす少女の話が良かったな。
助けた鳥が、少女を大切に思うあまり、行き過ぎた行動に出ているところは怖くもあり、種族を超えた愛をも感じた。
また、生き物を廃液で黄金に変えてしまう工場の話は、途中まで神秘的な気配を感じていたが、ラストは欲に塗れた人間の末路という感じで、話の急変ぶりに驚いた。工場が閉鎖する前に大きな黄金を手に入れたいと考えた母親の思考はすぐ読めたものの、彼女を駆り立てた理由には全く気づかず、これもまたびっくりした。憎い相手を消して富も得るとは…人間って強欲だな。
他にも、井戸の中で暮らす女の話や、行ったこと -
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ネタバレ乙一/山白朝子のホラー短編集。
非常に久しぶりの、それこそGOTH以来なので20年以上読んでなかったことに衝撃を受けた。
どことなく残酷な世界だけど、ラストは切ない作品が多いイメージだったが、今作はがっつりと怖い。それも人間的な怖さから、理解不能なモノへの怖さなど、バリエーションも豊富。
おすすめは「階段」と「Wi-Fi幽霊」。
「階段」は、どこにでもある階段が非常に怖く思える、目を背けたくなるほどの嫌な話。
「Wi-Fi幽霊」は、まさかのAIがバディの私立探偵風な作品。
読後感がいい作品ばかりとは言えないが、手堅いホラーが揃った良い短編集。