山本やよいのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
最近はクラシックミステリーばかり読んでいるので、何か現代ものをと思って昔から好きな VI。現代ものといっても、VI シリーズ第一作の「サマータイムブルース」が1982年(邦訳は 1985年)なので、もう 40年前か……。日本では 3F (著者、主人公、翻訳者がいずれも女性)とも称されて一世を風靡したサラ・パレツキーも今やすっかり重鎮で、御年76になるのだとか。しかし、70を超えても年1冊弱のペースで書き続け、昨年 22冊目となる "Over Board" を上梓している。
ストリップまがいの現代アート、イラク派兵と軍事産業、LGBT など、いかにも現代的なテーマを織り込みつつ、依頼人のために文字通り一肌脱ぐ VI の格好良さは健在。 -
Posted by ブクログ
アガサ・クリスティーはあまり読んだことがなかったので、読んでみたいと思っていた。
ハロウィンシーズンだったので、これを買って読んでみた。
巻末の「解説」を読んで、この本を選んだのは失敗だったと思った。悲しみ。
村人同士お互いみんなが知っているような、狭い村の中で少女が殺される、殺人事件が起こった。
被害者は「殺人事件を見た」と自慢していたことから、口封じの犯行かと思われるが、もともと虚言癖のあるその少女の言葉は、誰も信じてはいなかった。
しかし、解決のために請われてやってきたポワロは、その言葉から推理を始めていき、村人たちに今まさに起こった殺人事件に加えて、過去に起こった殺人事件についても事情を聞いていきながら、真相に迫っていく。
村人たちの証言が推理の主な材料になるのですが、これが人それぞれ好き勝手なことを言うので、何を信じたらいいのかわからない。本当の探偵はこういう中から信憑性のある情報を取捨しているのでしょうね。
ポワロは真実に辿り着きましたが、何だか振り回された気分です。
あと、最近のミステリーに比べて種明かしが簡易なので、不明瞭な部分が残りました。また読み返せばいいのでしょうが。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ★は3.5というところ。いやはや、クリスティー作品にはこんなテイストもあるのか!とまたもや驚かされてしまいました。
これは10月に読もう、と前から決めていてやっと手に取ったのだけど、会話が多いせいかスラスラ読めてしまい、気付けば1日で読破。そして休日の終わりに「はぁ今作も面白かった」と満足感いっぱいなわけです。当初はドレイク夫人と富豪の老婦人との関係がつかめなくて混乱しましたが、家系図が整理できてからはスッキリ。甥夫婦は別の舘に住んでいたということですね。
さて今作では子供が犠牲になってしまうということで、これまでにない緊張感と胸の痛みを感じました。もともと子供好きではない私からしても、さすがにこれは……。
重要な舞台である〈石切り場庭園〉のイメージが難しかったので、これはスーシェ版ポワロに期待したいところ。ナルキッソスのごとく美しい男をどなたが演じるのかも見ものです。
読む方にとっては後味の悪い内容かもしれませんが、個人的にはこれはこれで好き、な作品でした。なにより、『エッジウェア卿の死』もそうですが、自分の信念(と呼んでいいのか)に迷いのない犯人は、読者としてはたいへん印象的ですよね〜。 -
Posted by ブクログ
原田マハさんの『リボルバー』の文中に“ウォーショースキー ”の名前が出てきて興味を持ったので、こちらを手に取りました。
本書は「ウォーショースキー ・シリーズ」の第一弾です。
シカゴの私立探偵・V・I・ウォーショースキー 、通称“ヴィク”の元に、銀行家を名乗る男性が訪れて、息子の恋人が行方不明なので探してほしいと依頼してきます。
早速調査を開始したヴィクですが、件の銀行家の息子・ピーターのアパートで彼の射殺死体を発見。さらに、依頼人の男が被害者の父親とは別人だったことが判明して・・・。
“探偵モノ”といっても様々で、こちらはコツコツ推理を重ねて謎解きをするというより、ガンガン身体を張りまくる、所謂“ハードボイルド系”でございます。
冒頭から、気の強さ全開のヴィクですが、ギャングにボコボコにされようが、自宅や事務所を滅茶苦茶にされようが、屈することなく立ち向かうタフさがカッコイイですね。
ピーター殺害の真相を追ううちに、浮かび上がってくる、労働組合と保険会社が仕組んだ大規模保険金詐欺と、反社会的勢力との癒着・・・。
こうした巨悪が絡む社会派な部分や、アクションシーンと併せて、ハードボイルドものではお約束(?)の“アバンチュール”もご用意されています(個人的には探偵の“火遊び”パートは特にいらないのですけど、まぁいいかww)。
ということで、王道のハードボイルド・ミステリというかサスペンスを堪能させて頂きました。
こちらは既に20作程出ている人気シリーズのようで、こういった系は巻を追うごとにキャラが練れてきて面白くなっていくと思うので、もうちょい追ってみようかなと目論んでおります~。 -
購入済み
設定はなかなかに面白い
諜報員であり美術修復師という設定はなかなかに面白いと感じた。ストーリーとは別に美術修復というもののトリビアが興味深い。登場人物たちの持って回ったようなユーモアをたたえた話しぶりがいかにも翻訳物っぽくてそれなりに面白い。
-
Posted by ブクログ
古本市で購入。
650ページの長編。
シカゴに住む私立探偵ヴィグ。
窃盗の容疑をかけられた青年の行方を捜してほしいとの依頼を受ける。
青年はどうやら老いた女優と一緒にカンザスの田舎町に行ったらしいという情報を元にカンザスに向かう。
カンザスの田舎で行方不明の二人を捜すのだが、途中のストーリーはほとんど二人は関係なくなっている。
二人を捜すうえで、ヴィグが殺人事件、軍の隠蔽、出生の秘密などに巻き込まれ?ていく。
後書きで知ったのだが、私立探偵ヴィグ・I・ウォーショースキーはシリーズになっていて早川から何冊も出ている。
ちらっと調べたら、書作は30年以上も前に刊行されていて、その時のヴィグは携帯もPCも使っていないが、本作は21世紀もバリバリなのでSNSにスマホ、タブレットを活用している。
愛犬パピーはいつから出てくるのかな。 -
Posted by ブクログ
ホロコースト否定者であるアーヴィングに、名誉毀損で訴えられたリップシュタット教授。
無視することはアーヴィングの勝利に繋がり、多額の賠償金がかかってくることになる。
実際にあった法廷闘争を、リップシュタット教授の視点からまとめた一冊。
いやあ、長かったー。
もちろん、より細かに答弁が記載されていたら、こんなもんではなかっただろうけど。
あの大量虐殺は、在ったのか。
という問題提起は、今日、あらゆる形に言い換えることが可能だ。
その際に、我々が対峙するのはアーヴィングやナチス、ヒトラーではなく、今なお権勢を誇る「国」そのものであるかもしれない。
この話の中で、アーヴィングの資料に対する歪曲が明らかになり、結果的に他のホロコースト否定者にも影響を及ぼすという結末を辿る。
そもそも、アーヴィングはホロコーストを否定すると同時に、ユダヤ人に対する差別的意識もあって、その発言にまた傷付く人々が出てくる。
語ることで、傷を与える。
歴史家とは、そういった人の心とは距離のあるところにいるように感じていたが、そうではないのだと知った。
反面、歴史的見解における挑戦の必要性も感じる。
アーヴィングを支持するわけではなく、グレイ裁判官の「過激な意見を言う者の保護」にも、一つの意味があると思うからだ。
面白いのは、アーヴィングを毛嫌いしているリップシュタット自身に、もしかしたら?という疑念が生まれる場面がある。(モチロン、ホロコーストの中核に関わる部分ではないけど)
「アーヴィングは歪曲と捏造を重ねてきた人物なのに、わたしたちはふたりとも彼に翻弄され、ほんの一瞬ではあったが、アーヴィングの説を真剣に受けとめたのだ。」
ランプトンの言う、目を合わせ続けると絆が生じる、という言葉は確かにそうなのかもしれない。