山本やよいのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ポアロシリーズ長編21巻目。
1942年の作品。
ハヤカワ文庫版を読みました。
今回ポアロの元に依頼された事件は、16年前に起きた殺人事件の真相を調べてほしいというものだった。
高名な画家エイミアスクレイルの娘カーラ・ルマルションは、夫殺害容疑で終身刑となり獄中で亡くなった母のキャロラインクレイルから無実を訴える手紙を受け取った。ポアロは16年前のこの事件の関係者ー五匹の子豚ーすなわち、画家エイミアスクレイルの愛人だったエルサ・グリヤー、エイミアスの親友だったフィリップ・ブレイクとその兄メレディス・ブレイク、キャロラインの妹のアンジェラ・ウォレン、アンジェラの家庭教師だったセシリア・ウィリアムズのうち誰かが真犯人ではないかと推理し、彼らに当時の回想録を書くように依頼する。
今起きている殺人事件ではなく、16年前に起きた過去の事件を調べるというのが特徴的な作品。「絵」が大きなテーマになっている。
そして誰もいなくなった、などでも用いられるマザーグースの童謡「五匹の子豚」が5人の容疑者を表現するのに印象的に使われている。
また、芥川龍之介の「薮の中」風手法で16年前の事件について5人の容疑者それぞれが各自の立場、視点から語っているが、全員本当のことを言っているわけではないのがミソ。
確かにすごくよく練られていて、素晴らしい作品だと思うんだけど、16年前に終わった殺人事件を調べるというストーリーで、被害者も犯人とされた人物も亡くなっているという点で緊張感はない。(第二、第三の殺人が起きる余地がない)
おなじみのキャラは出てこない泣。全体的に暗くシリアスな雰囲気が漂っているので、個人的には明るいヘイスティングス君の語りや、ポアロに振り回されるジャップ警部や強烈なキャラの濃いオールドミスとかが出てきてユーモア要素が入る作品の方が好きなので⭐︎3にしましたw。 -
Posted by ブクログ
2022.11.5
とにかく登場人物が多くて、人の名前が長くて読み難くて区別がつかなくなるし、関与する組織団体も多くて、これまた名前が覚えられなくて、途中から理解を放棄して、その辺りは感覚で読み進んだ。
どうやら、父オットーは密告者を知っていたらしいね。だけど、肝心のその人は明らかにされておらず、78年が経った今に、この本が出された。
と言っても、確実な犯人がわかったわけではない。多方面からの調査と検証の結果、この人であれば全ての証拠・証言についての辻褄が合うよねと、その人が特定されたということだ。
今さら判明したところで何かが変わるのか、とも思う。密告システムのなかで生きていかなければならない、そんな異常な状態にならなければいいだけなんだから。
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Posted by ブクログ
話に派手さも深さも無いし、トリックも特異な点があるわけではないのだけど、それだけにクリスティらしさが詰まった作品と言えるのかな?
事件は愚かな少女が殺人現場を見たと吹聴した事から始まる。その構図は個人的に『葬儀を終えて』を思い出させるかな
自分の発言がどのような影響を生むか全く想像できていない愚か者の言葉が無用な殺人を呼び起こす。まあ、あちらはもう少し異なる構図ではあるけれど
本作の特徴を一つ挙げるならそれは被害者が幼い子供である点か
クリスティ作品によく見られる金銭も愛憎もあまり絡んでこない年代が被害者となれば、作中で盛んに言及されるように変質者や狂人による犯行を疑いたくなるもの
でも、そこに理性的な犯行動機があるならば、また被害者のジョイスが殺される直前に吹聴した殺人の話に意味があるならば
今回の事件をややこしくするのは、ジョイスの発言を信じる者が皆無な点だね。ジョイスの話を起点に事件の推理を進めるしか無いのに、彼女の話から事件の全容は見えてこず、従って彼女が目撃した筈の過去の事件も容易に見えてこない
ただ、ポアロはいつもの調子で事件関係者の話を聞き続ける事で推理を膨らませていくわけだ
そうして辿り着いた真相にやはり派手さはないのだけれど、子供が被害者として描かれたからこそ活きるラストであるようには思えたかな -
Posted by ブクログ
最近はクラシックミステリーばかり読んでいるので、何か現代ものをと思って昔から好きな VI。現代ものといっても、VI シリーズ第一作の「サマータイムブルース」が1982年(邦訳は 1985年)なので、もう 40年前か……。日本では 3F (著者、主人公、翻訳者がいずれも女性)とも称されて一世を風靡したサラ・パレツキーも今やすっかり重鎮で、御年76になるのだとか。しかし、70を超えても年1冊弱のペースで書き続け、昨年 22冊目となる "Over Board" を上梓している。
ストリップまがいの現代アート、イラク派兵と軍事産業、LGBT など、いかにも現代的なテーマを織り込みつつ、依頼人のために文字通り一肌脱ぐ VI の格好良さは健在。 -
Posted by ブクログ
アガサ・クリスティーはあまり読んだことがなかったので、読んでみたいと思っていた。
ハロウィンシーズンだったので、これを買って読んでみた。
巻末の「解説」を読んで、この本を選んだのは失敗だったと思った。悲しみ。
村人同士お互いみんなが知っているような、狭い村の中で少女が殺される、殺人事件が起こった。
被害者は「殺人事件を見た」と自慢していたことから、口封じの犯行かと思われるが、もともと虚言癖のあるその少女の言葉は、誰も信じてはいなかった。
しかし、解決のために請われてやってきたポワロは、その言葉から推理を始めていき、村人たちに今まさに起こった殺人事件に加えて、過去に起こった殺人事件についても事情を聞いていきながら、真相に迫っていく。
村人たちの証言が推理の主な材料になるのですが、これが人それぞれ好き勝手なことを言うので、何を信じたらいいのかわからない。本当の探偵はこういう中から信憑性のある情報を取捨しているのでしょうね。
ポワロは真実に辿り着きましたが、何だか振り回された気分です。
あと、最近のミステリーに比べて種明かしが簡易なので、不明瞭な部分が残りました。また読み返せばいいのでしょうが。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ★は3.5というところ。いやはや、クリスティー作品にはこんなテイストもあるのか!とまたもや驚かされてしまいました。
これは10月に読もう、と前から決めていてやっと手に取ったのだけど、会話が多いせいかスラスラ読めてしまい、気付けば1日で読破。そして休日の終わりに「はぁ今作も面白かった」と満足感いっぱいなわけです。当初はドレイク夫人と富豪の老婦人との関係がつかめなくて混乱しましたが、家系図が整理できてからはスッキリ。甥夫婦は別の舘に住んでいたということですね。
さて今作では子供が犠牲になってしまうということで、これまでにない緊張感と胸の痛みを感じました。もともと子供好きではない私からしても、さすがにこれは……。
重要な舞台である〈石切り場庭園〉のイメージが難しかったので、これはスーシェ版ポワロに期待したいところ。ナルキッソスのごとく美しい男をどなたが演じるのかも見ものです。
読む方にとっては後味の悪い内容かもしれませんが、個人的にはこれはこれで好き、な作品でした。なにより、『エッジウェア卿の死』もそうですが、自分の信念(と呼んでいいのか)に迷いのない犯人は、読者としてはたいへん印象的ですよね〜。