山本やよいのレビュー一覧
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旅行のお共に何か適度に読み応えがあって面白いものを……と思い、10年振りくらいでサラ・パレツキーの V.I. シリーズを読む。このシリーズは大学時代に好きでよく読んでいたのだが、その後も毎年一冊くらいのペースで出つづけていたらしい。あの素晴しく魅力的だった V.I. も、もう 50歳のおばあちゃんだよ……。
ストーリーは上院議院選挙候補者の娘達、偏向報道を繰り返す保守系巨大メディア、過去に傷を持つ大富豪、精神鑑定により責任能力なしとされた犯罪者を収容する精神病棟といった要素が複雑に絡みあい、そして 25年前の殺人事件へと継がっていく……というもの。プロットは複雑だが、伏線は綺麗に回収されるし、論理的な破綻も少ないので読み易い。若干、予定調和に過ぎるきらいもあるが、もともとがエンターテイメント小説なんだから、それでいいのだ。
パレツキーと山本やよいのコンビも健在だが、表紙イラストが江口寿史でなくなってしまったのが非常に残念。あの都会的なセンスがシカゴの街を行くV.I. のイメージにピッタリだったのに。 -
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シカゴの女私立探偵V.I.ウォーショースキーのシリーズ、第十弾。
2001年の発表。
2002年にCWAのダイヤモンド・ダガー(巨匠賞)、2011年には、MWAのグランドマスター賞を受賞しています。
ヴィクの恋人モレルはジャーナリスト。
アフガン行きが決まり、危険な取材になることを心配しつつ、別れを惜しむ日々。
黒人労働者サマーズの家庭で、保険請求が断られた不審な事情の調査を依頼される。
ところが代理店の男性が殺されてしまう。
折しも保険会社や銀行に対して、ユダヤ人や黒人の損害賠償の抗議行動が起きていた。
ホロコーストについて話し合う会議で、テレビに出ていた男性ポール・ラドブーカが、催眠療法で記憶を取り戻したと、幼い頃の悲劇を語っていた。
それを見たロティの恋人マックスと、友人のカールは顔色を変える。
二人ともかってヨーロッパから逃れてきたのだ。
その男性ポールが突然マックスの家に押しかけてきて、いつも冷静なロティが失神してしまう。
見るからに情緒不安定なポールを、我が物のように誇らしげにしているセラピストのリーアに不審を抱くヴィク。
ポールはマックスを身内と思いこんでしまった様子。
ロティは、高名な外科の女医。ヴィクの親友で、母親代わりのような存在でもある。
ロティの独白から始まり、これが数回入って、次第に過去が明らかになっていく。
もとはオーストリアの名家の出だったが、ナチスの手で幼い頃にすべてを奪われたのだ。
少女時代に特異な境遇にあった痛み。医師として人生を築き上げていった気丈なロティの核の部分が、丁寧に描かれています。
忙しい最中にもモレルとの別れを惜しみつつ…
多難な事件の渦中で、胸の痛む思いをするヴィクだったが…
苦しみのあまり何も語ろうとしないロティは、ついに行方をくらましてしまう。
事件との関連を解きほぐしながら、ロティを助けるために、少しずつ事情を探っていく。
ロティのほうも、ヴィクの苦しみに気づく。
大事な人に寄り添う気持ちが感動的。
2012年1月6日初登録。 -
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新作を読む前に、その一つ前のを慌てて読みました。
ヴィクの姪ペトラが登場。
大学の夏休み中に、シカゴでバイトをするため。
疎遠だった叔父は遅く結婚し、実は4人もの娘がいたんだそうで。
娘達には厳格で、ヴィクには近づくなといっていたらしい。
ペトラは長身でつんつんした金髪、明るく生気に溢れているが、お喋りで軽率。いまどきの若者にイライラさせられるのがおかしい。
同じアパートに住む世話焼きのコントレーラス老人はすっかり気に入ります。
ただ、上院議員選挙の活動の手伝いをしているという仕事の様子が、どうもおかしい?
40年前の吹雪の夜、忽然と姿を消した黒人青年ラモント。
偶然のきっかけで、ヴィクは青年の叔母クローディアから調査の依頼を受ける。
死ぬ前にどうしても会いたいというのだ。
ラモントの友達の店を訪ねたヴィクは、怒りと嘲笑を向けられる。
ラモントの逮捕にはヴィクの父が関わっていたとわかる。
40年前に何が起きていたのか?
子供の頃の記憶をたどるヴィク。
父の苦しげな様子を思い出す。
やがて…
父の手紙の真意は?
ペトラは不審な行動のあげく、行方不明に!
非難されつつ、胸を痛めて、奔走するヴィク。
大車輪の活躍となります。
2009年発表。
2011年12月19日初登録。 -
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新作。
快調です!
もうじき50歳になろうという女探偵のヴィク。
同じアパートに住む恋人ジェイクとは上手くいっているが…
前作で登場した年若い従妹のペトラが、シカゴに居着いて働き始め、ヴィクに心配を掛けることに。
父親の金は受け取らないと言い張っているのだが、高給の取れる夜のクラブで働く仕事なので、ヴィクもコントレーラス老人も反対している。
そのクラブ・ガウジでは、前衛的なショーが人気。
ボディ・アーティストを名乗る女性のイベントが行われ、客寄せになっていた。
ヌードの全身に絵の具を塗りたくった姿で登場し、客にも参加して絵を描かせるのだ。
ところが、妙な反応をする客もいて…
店の外で何かが起き、様子を見に行ったヴィクの腕の中で、客の女性が息絶えることに。
怒った様子を見せていた男チャドが逮捕されるが、アフガン帰還兵とわかる。
ヴィクは、チャドの父親に調査を依頼される。
亡くなった女性ナディアには、複雑な事情があった。
ボディ・アーティストの身元はわからず、姿を消す。
ボディ・アーティストとは何者なのか?
クラブのオーナー、オリンピアの行動も妖しげ。
絶望的な状況のチャドを助けようと、かっての戦友たちが動くのは感動的。
頼りになる若者と知り合えたかも?
2011年12月25日登録。
作者は1947年アイオワ生まれ。カンザス育ち。
1982年、シリーズ1作目を発表。
2002年CWAのダイヤモンド・ダガー。2003年、ゴールド・ダガー。2011年MWAのグランドマスター賞。 -
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ネタバレ恋人ジェイクや親しい友人達とステキな夕べを過ごすべく訪れた人気店で行われていた前衛的なショー。見ているものを落ち着かない気分にさせ観客の中には不穏な空気が漂う。やがて予感は的中し若い女性が銃殺され、彼女とトラブルになっていた帰還兵が自殺を図り意識不明のまま犯人として逮捕される。帰還兵の無実を信じる父親の依頼で調査を開始したが次々と不可解な点が浮かんでくる。一体あの絵は何だったのか?謎を追って寒いシカゴの冬を走り回るヴィク。
揺るがないポリシー、ブレない正義感、出会って20年以上経っても変わらないヴィクにまた会えた嬉しさ。
かなり年上に思っていた彼女の年齢に自分が近づいていることにリアルと小説時間の皮肉を感じつつ、老いが忍び寄る体を鞭打ちながら走り回るヴィクに尊敬、感嘆、共感、失笑。
中年女性の星、ヴィクの活躍に今後も期待。
完全な勧善懲悪ではない締めくくり、ビターテイスト。 -
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おもしろくないわけじゃちっともないんだけど、いかんせん長かったかなー。あと登場人物が多くて人間関係が複雑で。わたしがちびちび読んでるのがいけなくて、一気に読んだらもっとおもしろく読めた気はする。でも、なんというかリアルなアメリカ社会みたいなのが描かれていて、すごく読みごたえがあった。赤狩り、とか、人種問題、とか、貧富の差とか。テロ以降の令状なしで盗聴とか捜査とかできるって法律とか。おそろしい……。さすがサラ・パレツキーという感じで、単なる女性私立探偵モノっていうのとは格が違うという感じだった。ヴィクはいつもいつも、肉体的にひどい目にあってでもまったく休めずにさらにひどい目にあい、体力の限界までがんばる。ヘンだけど、わたしなんてヴィクに比べたら全然ラクなんだ、がんばらなきゃ、とか思ったりする。ヴィクの孤独感を感じながらもひとりで自立してがんばっているという感じが好き。今回、戦地に行ってるジャーナリストの恋人のことが頭から離れないってのも、それはまたそれでよかったな。しばらく離れていたけど、やっぱりヴィク・シリーズはこれからも読んでいきたいかも。
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なるほどそうくるか、と読み終わった時に思わず呟いてしまった。
以前読んだ、そして誰もいなくなったがミステリーの王道の展開であったのに対して、こちらは思いもよらない真相であった。解説に、ミステリーを読んだことのある人の方がこの真相には気づくことができないと書かれてあったがまさにその通りだと感じた。
アガサ・クリスティーの作品は、単なるクローズドサークルで行われる事件の真相を楽しむだけでなく、正義とは何か、法の限界といった要素も考えさせられる点に他のミステリー作品にはない魅力を感じた。
登場人物がかなり多く覚えるのが大変な点や、物語序盤で、人物の名前がわからない状態で物語が進行しているところなど、所々読みにくいところはあったが、事件が発生してからはポアロと乗客の会話が物語の中心になるため、非常に読みやすかった。
この作品を読んだ人は、それ以降ミステリーを読む時に、今回の事件のオチの可能性を疑いながら読むことになるんじゃないかなと思いました。
映画も公開されているらしいので、それも見てみたいです。 -
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現在の事件や発言から、過去の細かな出来事の繋がりや動機を探っていくクリスティーらしい構成。ただ、自分の都合で細切れに読んだため、緊張感が途切れてしまい、評価が難しい。
被害者が子どもということもあり、個人的にはちょっとキツかったが、読ませる力はやはり別格。少し読みにくいと感じたのは翻訳か、思わせぶりな台詞が多いためか。
悲しかったのは、殺された少女の家庭環境を見ると、周囲から見える少女の性格が裏打ちされるところ。と同時に、アガサ・クリスティーは本当に人間を書くのが上手いので、動機が分からなくても大体あんまり好きじゃないなーと思った人が犯人だな……と思った(笑)