山本やよいのレビュー一覧

  • ポケットにライ麦を〔新訳版〕

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    社長の急死と、遺体のポケットから見つかった奇妙なライ麦から始まる物語は、最初から「何かがおかしい」という空気が張り詰めていて、一気に引き込まれた。マザー・グースの童謡をモチーフにした見立て殺人が、ただの趣向ではなく物語全体を不気味に支配しているのが巧み。
    ミス・マープルの登場も印象的で、事件に個人的なつながりがあることで、彼女の正義感や優しさが強く感じられた。登場人物たちの欲望や人間関係の複雑さもリアルで、単なるトリック勝負ではなく「人間の業」を描いたミステリとして味わい深い。
    真相は意外性と納得感のバランスがよく、読み終わった後も余韻が残る、さすがアガサクリスティと唸る一冊だった。

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    2026年08月31日
  • 五匹の子豚

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    初めて読んだアガサ・クリスティー、
    とにかくオシャレ(*^^*)
    レトロな風景も、上品な登場人物たちもオシャレだった~!
    終わり方もオシャレ(*^^*)

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    2026年08月30日
  • ラスト・セッション 下

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    ヴィクもいい年齢になりました。世代交代を思わせる若手記者が出てきたり、体を酷使して探索するのがきついという描写がしばしばあります。自分自身の心理的ダメージが大きかった事件の影響から立ち直れないまま、依頼を断り切れず調査を始め、どんどん深入りしていきます。気の合う人たちの協力を得て、ピンチを切り抜けて問題解決にたどり着くという、お約束のパターンながら、パレツキ―流の勧善懲悪(ちょっとだけ現実的な妥協込み)には爽快感と安心感があります。
    まるで、これで最終回かと思わせるようなタイトルですが、著者はまだ書くつもりがあるようなので、次回作も楽しみにしたいと思います。

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    2026年08月24日
  • 五匹の子豚

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    ネタバレ

    「次はアガサ・クリスティを読みたい。どれにしよう」とお薦めを調べていたところに、とある方の「これが未読の者は今すぐ本屋へ走るべし。このレビューを読む時間さえもったいない」の一文に動かされたのがきっかけ。

    とある方、ありがとう。
    貴方が仰る通り、名作中の超名作でした。

    ミステリー小説を読むたびにおこる「先入観を操られる事態」に、今回もまんまと陥りました。
    精巧に組まれた動線・目線の数々でした。

    物語の締めもとても気持ちの良いものでした。
    理想的な落としどころだったと思います。

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    2026年08月19日
  • オリエント急行の殺人

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    とんでもない名作。
    真相については、そういうミステリーがあるよとどこかで聞いたことがあったために途中で気づいたけど、犯人判明を超えるカタルシス。少し涙ぐんだ。

    エルキュール・ポアロのシリーズは初めて読んだ。完全無欠の探偵じゃなく、たまに狼狽してるのが新鮮。
    全体の75%くらい進んでもまだ事実の整理でしかなく、ここからどうなるの?と思いながら読んでたら、見事な締め方だった。

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    2026年08月14日
  • ポケットにライ麦を〔新訳版〕

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    ネタバレ

    終わり方、めちゃくちゃせつなくて良かった。

    解説で「ミス・マープルは推理ができるただのおばあちゃんではなく、悪と戦うことに喜びを感じる正義のクライムファイターである」と言われているのがなんとなく理解できた。
    以下、個人的な推理。

    うぉおおマザーグース! まぁミスリードだろう。さすがにね。
    マッケンジー夫人が聖書からルビーの名前を消していたことから、意に反することをしたんだろうな、ということでルビー=パーシー夫人は想像がつく。

    ただパーシー夫人が犯人だと前提のミスリードとズレるのでパーシヴァルが犯人だろう……と思いきやパーシーは物理的に犯行が不可能らしい。
    じゃあランスだな、と消去法でラン

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    2026年07月20日
  • オリエント急行の殺人

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    イラクからヨーロッパへ向かう長距離寝台列車、オリエント急行の中で発生した殺人事件を巡るミステリー小説。
    調査するのは名探偵エルキュール・ポアロ。

    日本人からすると不思議なくらい様々な国籍の人が出てくる。いかに外国人にとって多国籍な人は身近で、日本人にとっては遠い存在なのか気づかされた。

    内容はテンポよくサクサク読むことが出来るし、最後のトリックには全く予想できなかった。
    名作といわれるだけのことはある。

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    2026年07月14日
  • ポケットにライ麦を〔新訳版〕

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    新訳をAudibleにて。買って持っているのは旧訳だが名作との噂を聞いてもったいなくてまだ読んでいなかった。好きなマープルとポアロをできるだけ後回しにしてマイナーそうな他作品から読み途中で挫折した20数年前の過ちを繰り返してはならない。
    日本の震災の話が出てきた辺りとその後の下りで、やり方はともかく犯人は分かった。鉄壁のアリバイは逆に怪しいよね。凝った見立ての理由が合理的なのが嬉しい。ここがよくわからんとなんでそれやったの?となってしまうので。キャラクターもそれぞれ魅力的で面白い。
    そして何よりラストが素晴らしい。
    いやークリスティー読んで泣くと思わなかった。最後がとても切なくてよい。ミス・マ

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    2026年07月10日
  • オリエント急行の殺人

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    定石がないことで知られるクリスティによる、まさに「定石崩し」としての手腕が光る一冊。

    ポアロという探偵が、単なる論理の塊ではなく、法や正義の先にある「人としての情」を深く理解しているからこそ成り立つ物語の結末は、衝撃的でありながら非常に説得力があった。

    特にラストシーンでは、個々のキャラクターの心情をすべて言葉にするのではなく、ひとりの切実な語りにすべてを託して幕を下ろすことで、洗練された深い余韻を残している。

    あれこれと語りすぎないからこそ、ポアロたちが下した決断の意味を、自分の中でじっくりと反芻することができるのだと感じた。



    こうしたミステリの枠組みさえ自在に操る大胆さの一方で

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    2026年07月05日
  • 五匹の子豚

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    ネタバレ

    最高傑作に挙げる人が多いのも頷ける物語の完成度となんとも言えない読後感。

    静かに罪状を受け入れる無実の淑女…というようなイメージは『杉の柩』と被るものがあり、書かれた時期も近い。この時期のクリスティさんのブームだったのかな。
    とは言え内容は対象的と言ってもよく、エリノアの濃厚な心理描写が物語の核だった『杉の柩』と比べ、こちらはキャロライン以外の人物の心理が丁寧に描かれる。
    多種多様な人物描写こそクリスティの魅力と思っている自分にはこちらの方が断然好みだった。

    特にフィリップとメレディスという全然違うタイプの男ふたりの心理描写は、毎度のことながら「なんで女性なのにこういうこじらせおじさんの心

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    2026年07月03日
  • オリエント急行の殺人

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    つい『オリエント急行殺人事件』と呼んでしまうが、この全集では『オリエント急行の殺人』。audibleにて。たぶんポアロのシリーズでは一番好きな作品なので、10回くらいは読んでいるし映画やドラマもたぶんだいたい観ている。最近はaudibleで聴くことがおおいのだけど、ポアロのシリーズのなかで今のところこの作品だけが、たぶんあえての女性による朗読だった。納得のクライマックスの語りの素晴らしさ。紙の本で読んだ時より感動したかもしれない。

    原作にないものをあれこれ補足する二次創作って普段あまり好きじゃないんだけど、三谷幸喜のオリエント急行第二夜、犯人の舞台裏の話はたまにもう一度見たくなる。キャラクタ

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    2026年06月29日
  • オリエント急行の殺人

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    名作ミステリーには苦手意識があり、試しに電子で……と思ったが、なんて読みやすく、なんて面白い! 映画を見てオチを知っているにも関わらず、手が止まることも、支えることもなかった。これなら紙で買えばよかったな……。
    ラストは不思議と優しい気持ちになった。犯人が無関係の乗客に配慮していたり、ポアロが激しく責め立てたりしないからだろう。
    そういえば、よく、横文字の名前が覚えられないと言う話を聞くが、よく考えると私も名前は覚えられていない。そもそも実際に接している日本人の名前すら覚えていない(笑) 私は個人を性格や考え方や見た目で覚えて、最後に名前で括って覚えているので、そのせいかな。おかげで、会社なん

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    2026年06月27日
  • オリエント急行の殺人

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    こんなことを言って良いのかわかりませんが
    「良い殺人事件」だと感じました。

    犯人は犯罪で得た大金を保釈金に。警察は犯人を釈放。
    お金さえあれば、凶悪犯は法の裁きから逃げることができる…
    おかしなシステムです。

    この殺人事件は、深く考えさせられるものがありました。

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    2026年06月27日
  • オリエント急行の殺人

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    1934年の作品。これがこんなに楽しく読めるなんて!当時のイギリス人やアメリカ人の感じや、インドから中東への考え方なんがも垣間見えて、タイムスリップしてのぞいてるような気分で読めた。

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    2026年06月22日
  • オリエント急行の殺人

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    ネタバレ

    初めて読むタイプのミステリーだった。
    登場人物をアメリカ人とかイギリス人とか呼ぶから誰のことか分からなくて読みづらいなあと思ってたけどそれでも面白かった。

    途中のポアロの友人と医者の頭の中が面白かった。

    オリエント急行を調べたら豪華すぎてビックリした。1泊70万とか300万?くらいするらしい。
    一生体験できないだろうなあと思ってるから本当に小説で体験できるのは楽しい。

    解説で有栖川有栖があまりミステリーを読んでない初心者の時に読んで欲しいと言っててまさにそうだなと思った。

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    2026年06月20日
  • オリエント急行の殺人

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    何度目かの再読
    この作品の欠点は有名すぎて本を読む前に思わぬところでネタバレをくらう危険が高いところである。

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    2026年05月15日
  • オリエント急行の殺人

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    傑作。
    犯人を知った状態で読んだけど面白い。

    『エルキュール・ポアロ』シリーズはポアロの心理学を応用した理詰めの推理が読んでいて楽しい。
    今作は特に、不可解な状況と容疑者の多さが事件を難解にしているが、その真相に一歩ずつ近づいていくポアロの推理が気持ちいい。

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    2026年05月15日
  • 五匹の子豚

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    ネタバレ

    母の無実を証明したいというカーラの依頼を受け、16年前の事件をポアロが調べていきます。
    愛しているからこそ憎たらしい、人間の感情が特に色濃い作品でした。
    当時の記憶を元に、事件に関わっている人々がそれぞれ手記を書いてくれます。ですが、後半になると文章とは真逆の感情が明らかになり、驚きました。
    キャロラインをどう思っていたか、フィリップとメレディスが特にそれが顕著でした。
    フィリップがキャロラインをいつから好きだったの⁈嫌いだって書いてなかった⁈とギョッとしましたが、確かに読み返せば、嫌いな女性に対して、帽子を着けている姿を『なかなか魅力的』とは書かないでしょうし、文章の所々に彼女への想いが見て

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    2026年05月14日
  • 書斎の死体

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    ミス・マープル長編2冊目。1作目の『牧師館の殺人』に続いて読んでみる。
    牧師館の事件から半年後くらいかな。『火曜クラブ』でも登場したミス・マープルのお友達、アーサーとドリーのバントリー夫妻初登場の話だった。
    ある朝ドリー・バントリーは泣きながら駆け込んできたメイドに起こされる「あの、あの、奥さま、書斎に死体があるのです!」
    なんですって?しょさいにしたい?とりあえず夫のアーサーを起こしましょう。「ねえ、書斎に死体があるんですって」「なにをいっているんだ、むにゃむにゃ」
    …という始まり方。まあ無理もないよなあというバントリー夫妻のやり取りと、「いいからさっさと見に行ってくれー」という先を知りたい

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    2026年04月29日
  • オリエント急行の殺人

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    ちょっと待って、え、え?、え!?、そんなことある!!??ってなること間違いなし、掟破りの衝撃の作品。

    稲妻に打たれるようなこの読書経験を1人でも多くの人に体験してもらうために、
    「とりあえず何も調べずに読んでみて」
    と、130歳くらいになってもしゃがれた声で言い続けてると思う。

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    2026年04月20日