山本やよいのレビュー一覧
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ネタバレ蜘蛛の巣[小説版]
クリスティの戯曲、蜘蛛の巣の小説版。クライム・コメディ。小説になっているが構成は演劇風。
クリスティの戯曲は面白いものが多く、小説化される事は嬉しい限り。戯曲は読み物としては読みにくいので、全てシリーズを小説化して欲しい。
いつも冗談ばかり言って周りの人達を振り回すクラリッサ。かなりの嘘を重ねているが、夫や知人からは呆れられながらも愛されている。
夫の連れ子のビッパも継母であるクラリッサに懐いており、とても幸せな家庭状態に見える。
ある日、知人達と別れた後、夫の元妻、ミランダの現在の夫であるコステロがクラリッサの屋敷を訪れ、その後帰ったはずの彼がクラリッサの屋敷で死 -
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ネタバレ昔読んだことがあり、その後もテレビドラマや映画でも散々見たので、ネタは知っていた。それでも改めて読み返すと面白い。トリックや推理、犯人が追い詰められるまでの緊迫感といった、ミステリーとしての面白さというよりも、この全体が醸し出す雰囲気が、魅力だと思う。
真冬に欧州を横断する豪華列車オリエント急行の中は、日本に暮らす自分には、想像もできない空間である。
まず、公爵夫人や外交官の伯爵、大金持ちの紳士と、そのメイドや秘書たちに、貴婦人とセールスマン。こういった人たちは、国籍も違えば、使っている言葉も違う。そして、初対面にもかかわらず、車内で顔を合わせるうちに親しくなり話をするようになる。こんな豪華 -
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鮮やかな名作
100年経った現代でも読み継がれる不朽の古典と呼ぶに相応しい本作では『アクロイド殺し』とは違った形で裏切られた。
ポアロの持つ探偵の格好良さはホームズにも繋がる所はあるのだが、彼ほど超人的ではない一方で、
読者がギリギリ気付くかどうかスレスレのライン(で、素人の私には全く気付かない一線)を際どく攻めている。加えて、それらのパーツを最後組み合わせて劇的なフィナーレに持ち込むのは最早芸術である。
クリスティの超有名作はザッと読んだと思うのだが、100冊近くあるのでまだまだ楽しみたい。
ハヤカワクリスティ文庫に感謝しながら課金する…
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ミス・マープルシリーズ6作目。
1953年の作品。
ロンドンの実業家、レックスフォーテスキュー氏が何者かに毒殺された。ロンドン警視庁のニール警部は、フォーテスキュー氏と生活を共にしている家族の犯行と睨み、フォーテスキュー氏の住むイチイロッジの捜査を始める。このイチイロッジの周りを囲むイチイの木から取れるタキシンが毒の原因だったからだ。フォーテスキューの若く美しい妻アデルが容疑者と目されたが彼女もまた毒殺され、さらにメイドのグラディスも殺されてしまう。昔雇っていたメイドのグラディスの死を知ったミス・マープルは、彼女の仇を討つためニール警部の捜査に協力する。
見立て殺人は本当にゾクっとして -
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名作ミステリーというのがどういうものか考えるとそれは何度読んでも安心できる読後感があるものというのが私の中ではある。その名作とよぶにふさわしい作品の一つがこの「ポケットにライ麦を」である。
まず題名がとても好き、とてもおしゃれで心を掴む。どんな話になるのだろう、どういう意味があるのだろうとワクワクする。
マザーグースを用いた見立ての連続殺人、容疑者になる個性強めの一族、絡み合う謎を読み解いていくと一人一人の人間描写の素晴らしさを肌で感じる。「ポケットにライ麦を」の意味がわかるとき、マザーグースの意味がわかるとき、ゾワゾワとする。
真犯人の犯行の手口や動機、それをマープルがどのように導き、そして -
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ネタバレ1943年原書 桑原千恵子訳
五匹の豚はマザーグースの数え歌
・ポアロ →探偵
・カーラ.ルマルション→21歳の美しい女性
目がキラキラしている
カーラ母がカーラ父を殺して
叔父夫婦に引き取られ
何不自由なく成長
・アミアス.クレイル→カーラ父 画家 芸術家
・カロリン.クレイル→カーラ母
カーラが21歳の時
父母の遺産と母の手紙を受け取る
カーラがポアロに
父母の事件の調査を依頼
(母の手紙には自分は無実だと..)
・ジョン.ラタリー→カーラの婚約者
・モンタギュー.ディブリーチ卿
・クエンティン.フォック
・ジョージ.メイヒュー
・ケ -
締まっています
訳者さんはサラパレツキー等の翻訳で有名な方。
ロストーマスには、マイケルパディロやウーのシリーズがあるが
この主人公はそうしたシリーズとは別物の作品。
最後に一気にアクションがあって事態を解決するのは、
ロストーマスのお約束として、事態の説明をするのに
頭でアクションがあり、うまいこと読者を掴むながれになる。
この辺の進め方はとても上手い。
翻訳は割と出てるけど電子化はされてないので、原文でゆきなさいとの思し召しなのか。
お好みで。 -
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映画化されるほど有名な本作を、ネタバレなしに読めたのは正に幸運。『アクロイド殺し』のように、普通では考えられないような結末に驚きました。とても面白かったです。
あらすじ:
イスタンブール発カレー行きの豪華列車オリエント急行が、雪のためユーゴスラビアで緊急停車して立ち往生。その間、何者かに乗客の一人が殺される事件が発生。偶然乗り合わせたポアロが捜査に乗り出しますが、乗客には完璧なアリバイがありました。そんな中、過去にアメリカで起きた”幼児誘拐殺人事件”が手がかりとして浮上してきます……。
『青列車の秘密』同様に、列車内での密室殺人事件。違いは、『青列車の秘密』のような登場人物それぞれの深掘り -
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ミステリ小説なのだから、事件の導入は惹き込まれるものか?その作品で扱われるトリックは意外なものだったか?という点は評価に直結する部分なのだろうけど、それが小説である以上は見逃せない点はその作品が魅力的であるかという点で
そして作品が魅力的になるかどうかは物語の構成の巧みさだったり、人物が活き活きとしているかという点等が左右するかと思うのだけど、本作は後者がとても高いレベルで成立していると思えたよ
勿論事件の導入は素晴らしい点は言うまでも無い
朝、起きたら自宅の書斎に見知らぬ女の死体が転がっていた。初動捜査では死体の素性に全く見当がつかず、暫く経ってから家族でも何でもない男性の通報により素性が -
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ネタバレミス・マープルシリーズ。
会社社長宅で起こった謎の連続殺人事件の真相に挑む物語。
関係者である家族をはじめ家政婦、執事、メイドたち使用人もみな殺人動機がありそうで、とにかく全員が胡散臭い。
事件の真相に関しては、想定外の人物が真犯人で驚いた。怪しい人物がたくさん登場してすっかり翻弄されてしまった。
最後のマープル宛の手紙には切なくなった。もっと早くマープルの元へ手紙が届いていればどうにかなっただろうか。マープルの怒りと悲しみがじわじわ伝わってきた。
そしてそんな怒り悲しみの次に起こるのは相反する感情"歓喜"。難解な事件の真相に辿り着けた喜びがマープルの体にみなぎる。それ