古野まほろのレビュー一覧
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「独特な味わい」が在る物語であると思った…
前代未聞という感の異常な事件を巡って、県警幹部が事の真相を解き明かそうとするような物語で、少し夢中になってしまう。
本作の冒頭部、少し長い序章が在り、作中の出来事のカギを握ることになる劇中人物達の描写が在る。
この序章に、「執筆活動」と称して昼夜逆転な様子で引き篭もっている男と、その父親という人物が出て来る。加えて何人かなのだが、彼らが作中の事案のカギとなって行くのだ。
本編に入ると“事件”が発生してしまう。運動会を開催中であった小学校に刃物を手にした者が乱入し、教員や児童、居合わせた警察官等を殺傷してしまう。十数人の被害者が生じるというとんでもない -
Posted by ブクログ
ネタバレ本当に読みにくい。読みにくいけど、私にはこの古野まほろ節が刺さります。めちゃくちゃ好みが分かれます。集中力を一瞬でも欠くと本当に理解できなくなります。
決め打ち、みたいな時のセリフが好きです。セリフの言葉選びがなかなかクサいけど、小説らしくていいなと。
まほろさんは安定に終盤での怒涛の展開の詰め込みですね。「え?そうなの?」のオンパレードで、初めて読む人は疲れるかも。私も3回くらい読んで毎回噛み砕くようにしています。
あと、語り手が実は犯人だった系もまほろさんには多いですね。そういうの割と好きです。
陰陽道とかはよく知らないけど、そういうのしっかり調べて(知って)から書いているんだろうなという -
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警察官としての生活、官僚としての生活、ともに垣間見ることができて面白い。警察官僚として生きた読み物は佐々淳行さんのものが有名と思うが、平成時代の官僚が綴ったものににはなかなか巡り会えなかったので、非常に興味深く読むことができた。
改めて、「なぜ私はこういった警察ものに魅かれるのか」を考えてみたが、やはり現場がある職場であることに親近感を覚えるからなのではないかと思う。本書にも『常在戦場』『指揮官先頭』『一歩前へ』『人の嫌がることをやる』『みずぼらしい神輿は誰も担がない』『指揮官の辞書に困難はない/指揮官に難しいもヘチマもない/そんな覚悟で事件ができると思っているのか‼︎』を始め、現場で困難な -
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「知っているようで何も知らない」というような事柄、「特殊なようでいて、一般的な様々な事柄に通じる」という内容は、この種の新書の特長ということになると思う。そんな特長が感じられる良書であったと思う。
本書とは無関係ながら、少し前に永く刑事として活躍された方が綴った本を興味深く読んだ。その中に、警察官として活動し始めた頃に所謂“駅前交番”で勤務した際の経験談が在った。一定の頻度で見掛け、見掛ける都度にコインロッカーを利用していた人物が気に掛かり、声を掛けると件の人物の持物の中には「侵入盗」に使う道具が詰まっていて、常習犯である旨が判明したというのだ。
本書で扱う「職務質問」の、実際に在り得る事例と -
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題名の「女警」とは「女性警察官」を略した語である。自身で使用中のパソコンでは「じょけい」と打ち込んでも変換漢字として「女警」は出て来なかったが…
本作は、事件が発生して警察官達が登場する物語ではあるが、何か「一味違う」という感じに仕上がっている。『女警』という題が示すように、女性警察官の物語ではあるが。
とある県警の監察官室長を務める女性のキャリアである姫川理代警視が主要視点人物となる。物語の中心となる事件は、警察内部の事件だ。
或る夜、交番で現場のリーダーたる警部補が銃弾を受けて死亡していたのが発見された。一緒に勤務していた女性巡査の姿が無かった。そして女性巡査は拳銃自殺を遂げたと見受けられ -
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警察官の99%以上を占める地元採用のノンキャリア警察官を対象に、出世と人事について、階級・職制・専務の切り口で解説。警察内部での人事・組織構造が極めて分かりやすい語り口で書かれている良書。
特に面白かったのは、以下の点。
・無試験昇任のキャリアと違って警視までは基本的には試験を通らなければ昇進できない。警視正以上で普通の人事の中で選考される。
・現場実務は警部補まで、警部以上は内勤や管理業務が多い管理職
・警部補をハコ長とする交番と、警部補をトップとする警察署の係は同格同構造。警部をトップとする警察署の課と警部をトップとする県警本部の係は同格。警視をトップとする県警本部の課長と警視である警察