古野まほろのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
結末にビックリです。
途中までは、完全に、新任巡査のお仕事のお話なんですよ。ですが、残り250ページくらいから話は変わり始めます。いや、変わり始めた時点では、話が変わったという事はわからないんですよねぇ。ただ、警察官の職務の危険性を示しただけなのかなぁと思っていたんですが、全然違いました。
そういえば、この作品の最初、なぜだか公安課長が新任巡査の人選を行っているかのような描写があるんですが、それがここにつながってくるのかと。「すべては地続き」の通りですね。
って言うか、ここに至るまでの話全てが地続き。伏線。それが、結末に向けて、明らかになっていきます。そして結末かぁ。
いやぁ、しかし、 -
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Posted by ブクログ
ー どうして逃げなかったの、どうして救いを求めなかったの。警察官をやっていると、どうしても被害者に、そう訊きたくなる瞬間がある。
(けれど、ヒトがヒトを奴隷にするというのは…そんな解りやすいものでもなければ、そんななまやさしいものでもない)
その学習と依存と恐怖のメカニズムは、人類が約一世紀を掛けてもまだ、アウシュヴィッツから学び尽くせていないものだ。ヒトが抵抗の気概を、だから性根と覚悟を奪われてしまうのは、直接的な暴力によるところも大きいが、それよりも何よりも、誇りの否定によるところ大である。
(誇りの否定とは、すなわち恥辱の日常化)
そして、それはどんどん内在化する。 ー
人身売買 -
Posted by ブクログ
本作…本当に「何処の街にも何人かは居て欲しいかもしれない…」という「いいヤツ」という感じの、真面目で正直な新任巡査の上原が奮戦する他方で、女性新人でありながら独特な知的能力や感で、「キレモノの女性刑事」という風格で、同時に「経験不足の故の隙」で窮地に陥る場面も在る内田が在る…非常に面白い人物造形だ…
冒頭部の辺りで、両新任巡査が愛予署への配属となったことに、何処かの誰かの思惑が在るということが仄めかされてはいるが…それが最終盤に明らかになって行く…なかなか夢中になる作品だった…
或いは…2人の新任巡査の「何年か後」の様子も知りたいというような、読後の余韻も大きい感じだ… -
Posted by ブクログ
所謂「お仕事モノ」という雰囲気を帯びながら、物語全体が“謎解き”で、“探偵役”と“犯人”とが対峙し、やがて一件落着ということになる…
物語の舞台となっているのは「愛予県警察」という“架空の県”の県警だ。特定地域のイメージになることを避けようとしているそうだ。(それでも「作者に何かの縁が在る何処かをモデルにしているのか?」と強く思う描写は在るが…)そして、比較的人口規模が小さ目な県の、相対的に規模が小さい組織の「少し典型的な感じ」ということにしている。作中にも「4万人の警視庁に対して愛予県警は2千人」というようなことが出ている…
この“愛予県警”の県都に在る、傘下19警察署の筆頭格ということ -
ネタバレ 購入済み
警察官白書とともに・・・
「警察官白書」が新聞で案内されていたので、読んでいた。その後、古野さんの著作を見ると、この「警察手帳」があったので、引き続き、読むことにした。身近にいる警察官の苦労や組織における苦労などが、この「警察手帳」においても著者の警察組織人としての体験に基づいたものなので、警察組織がわかってくる。タイトルは「警察手帳」だが、最初の部分は「警察手帳」の話だが、本自体の内容は「警察組織」についての詳細だ。「警察官白書」は「警察官個人に関すること」、この本は「警察組織」の話だ。ちょっとタイトルだけでは判断できなかったが、読んでおきたい本だ。
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ネタバレ 購入済み
なるほど
警察官は、「勉強の連続」と聞いていたが、他の公務員と異なり、その分野の「実務」が相当に伴う事がわかった。各部署の特徴がわかり、接してきた・接している警察官の方々の特徴が、改めて感じられる。ぜひとも、続編を読んでみたい。
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Posted by ブクログ
『課題1 トリックとしての見立て殺人を定義しなさい。
課題2 演出としての見立て殺人を定義しなさい。
課題3 トリックとしてのもの、及び、演出としてのもの以外の見立て殺人は想定されるかを論じなさい。ただし、心神喪失、心神耗弱その他の精神の障害によるものを除く。』
探偵養成学校の春期研修に移動中に迷い込んだ完全に隔絶された村で起こる落ち武者の400年の呪いに支配されたキリシタン村での不可解な連続見立て殺人事件に挑むことになる生徒だが、この村は十戒に完全に支配された村で殺人や嘘をつくことが不可能な村でありかつ古くからの隠された秘密や因習や財宝や因縁があり謎が深まっていくばかりの中で、事件の謎 -