古野まほろのレビュー一覧
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未来からやってきたタイムマシンがなぜか爆発、その影響で一人の友人が死んでしまう。彼を理不尽な死から救うため、未来人と現代人は過去に記憶を転写して事故を防ごうとするものの。何故か失敗の連続。これは本当に運命なのか、それとも誰かの作為なのか。サスペンス感も溢れるSFミステリ。
過去に戻るにおいてのルールや因果律など、SFを読みなれない者にとってはややとっつきづらい要素がいろいろとありますが。そこがミステリとしての要でもあったので、これはがんばって読んでおかないといけません。前置きが少し大変だったものの、入り込んでしまえばあとは一気。繰り返される試行の中でもまたしても繰り返されてしまう死。さらに増える犠牲者。特に四回目が酷い……まさかの展開には絶句するばかりでした。いったい何故こんなことに!?
明かされた「犯人」とその動機にも愕然。だからあれほどにややこしいあれやこれやが詳細に語られていたわけか。そしてそこここに仕掛けられていた伏線の数々にもやられました。
そして高校生たちの友情と恋愛感情がない交ぜになって発生しうる様々な思惑。そこから事件へと誘導されてしまう心理がなんとも悲しくて。隠された未来の姿も希望に満ちたものでもないようだし、本当にこれは幸せに終われる物語なのだろうか、とどきどきしっぱなしでした。未来なんて知らないほうが幸せかもなあ。 -
Posted by ブクログ
ー 新幹線には、手荷物検査がない。乗客は、駅弁だろうと ペットボトルだろらと、文庫本であろうとキャリーケースだろうと、自由に持ち込める。持ち込めるし、要らなくなったモノを捨てるのもカンタンだ。誰でも知っている。新幹線の車両には、御丁寧にも、ごみ箱が設置されている。
しかも。
この密室の動静をコントロールするのは、乗務員と、防犯カメラしかない。日本を象徴する、新幹線という絶好の舞台なのに、だ。これがテロゲリの対象にならなかったことは、むしろ奇跡だろう。
しかし…
…その奇跡は、今朝で終わる。 ー
スピーディーな展開、警察庁にある異能の特殊部隊というぶっ飛んだ設定、捜査のリアリティ、自然と入り込む超能力、そして古野まほろ節。
古野まほろ好きじゃないと楽しめない確信犯的作風はブレない。続編も早く読みたい!
そして、夏に出るはずの天帝シリーズが楽しみだ。 -
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警察学校での講義から始まり、初任務の交番勤務=立番や巡回連絡等と、新任警察官が歩むコースが丹念に描かれている。
警察の仕事及び警察官に興味があり、あるいはその職を求めようと思うなら、読んでおくべきお仕事小説と言っていい。
よくもまあ、ここまで緻密に描かれるものだと思ったら、著者はキャリアとして警察庁に入庁した経歴の持ち主だそうだ。
新米巡査が、指導官などに怒鳴られながら成長してゆく様は、青春小説の趣き。
大きな事件もなく、このまま警察情報小説で終わるのかと思っていたら、そうは問屋が卸さなかった。
この署管内で数年前から、少女連続行方不明事件が起きているという。この事件が、今後どう展開するのか、下巻が楽しみ。 -
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母集に属するものが作るステレオタイプと、母集団の外にいるステレオタイプは異なることに注目して、警察官自身が描く典型的な警察官象を部門・専門ごとに書き出していくのが本書。
警察官の無形資産としての豊富な信用、社会人になってからでも階級を上げるために度重なるテスト、刑法の事件を扱う警備から事件扱い何でも屋の生安(生活安全部)に時代が経つにつれて犯罪の主流がズレてきたことなども興味深い。ただし本書の一番の見どころは、部門によるあまりにも大きなステレオタイプの違いだと思う。
地域・専務(生安・刑事・警備・交通)と大きく別れるこれらの組織は、何かいろいろ警察はやってるのだろう、で部門の名前さえ公安以外初耳の私にとっては非常に意外で面白かった。公安の秘密主義的な側面・刑事の我を貼る側面などが、部門に由来すること、それぞれの警察官が一社会人として様々な事務や業務をルーチンとしてこなしてるのは共感すら覚える。
警察というものに一元化されたステレオタイプ程度の知識しかないかたは、自分がそういった村意識の強いギルドに馴染みたいかは別として、本書を読んでみると面白そう。 -
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新本格30周年を記念して作られた「館」をテーマにしたミステリアンソロジー。もうそれだけで踊りだしたくなるほど嬉しいのですよ。
執筆陣は東川篤哉、一肇、古野まほろ、青崎有吾、周木律、澤村伊智と比較的新しめの作家が集まっています。新本格何世代になるのでしょうね。感覚的に孫曾孫世代という感じですが。
新本格らしい要素がそれぞれに込められています。奇矯な探偵、思い切った設定、大胆なトリック、遊び心に富んだパズルゲーム、一発ネタ的な大どんでん返し、などなど。そうそう新本格黎明期にどんどんガンガン投げつけられたあの感覚がよみがえります。
ひとつひとつの力が弱くともその組み合わせで読ませるものもあります。パズルゲームとして穴が大きいけれども、探偵役の奇抜さと文体で突き進んでいくものもあります。大胆なトリックをふんだんに散りばめたギャグの中に埋没させて隠したものもあります。(と書くだけで誰の作品のことかわかるかも)
本格ミステリは出尽くしたと言われて久しいです。でも本格ミステリの要素を細分化し構築し直すことで新たなものを生み出すことができる。それを示したのが新本格ムーブメントだと思うのです。
30周年を機にこのようなアンソロジーが作られたことは、これから先にもこの本格の要素を楽しむことができ続けられる証かもしれません。それを楽しみにします。 -
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警察ほどおもしろい組織はない。三十万人もの警察職員はどのような仕事をしているのか?刑事とはどんな人か?警察手帳の中身は?ドラマとの違いは何?そもそも警察官になるには?待遇や昇進の条件は?警察庁とは何か?キャリアとノンキャリアの関係は?警察キャリア出身の作家だからこそここまで書けた、徹底的にリアルな巨大組織の掟と人間学。(2017年刊)
・序 章 警察手帳と私
・第1章 警察官への道
・第2章 刑事の生きざま
・第3章 警察組織の掟
・第4章 三〇万警察職員の人間学
・あとがき
個人的には、独特の文体が読みにくい。インストールとかタスクだとか、横文字を多用するのが、今のはやりだろうか。
知識の面からすると、帯にある「警察キャリア出身の作家だから書けた」というのは少し大げさに感じた。リアルであるという事は言える。同じ事柄であっても、外部の人が書いたものと、内部にいた人が書いたものでは、裏書きされている分、重みが違う。反面、身内に甘くなるきらいはどうしてもあるが、元キャリアが本を書いたということは重要であり、意義のあることである。
残念なのは、あとがきによると、オーダー枚数を、大幅に超過してしまい、著者稿の二〇%ないし三三%をダイエットで削ぎ落としたという事である。元原稿を読んでみたい気がする。 -
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普段アンソロジーなんぞには手を出さない性分ではあるのだが、創刊以来のお付き合いであるタイガであり、お気に入りの作家も複数参加しているということで、購入に至る。
東川篤哉「陽奇館(仮)の密室」・・・ユーモアミステリの覇道を往きながら、ユーモアミステリらしからぬオチ。
一肇「銀とクスノキ」・・・青春叙述ミステリ。
古野まほろ「文化会館の殺人」・・・臨床真実士ユイカ登場。素晴らしいの一言。
青崎有吾「噤ヶ森の硝子屋敷」・・・著者らしいの一言。
周木律「煙突館の実験的殺人」・・・著者の真骨頂。
澤村伊智・・・「わたしのミステリーパレス」・・・知らないお人。新鮮で面白かった。
面倒くさくなって適当になったけど、買って良かった読んで良かった。 -
Posted by ブクログ
ミステリ小説を読むのに、警察のことを知っておいた方が良かろうと思い、読んでみた。堅い説明なのかと思ったが、期待を裏切る面白さだ。民間の会社組織と対比させながら、警察組織について、面白おかしく語っている。本書を読むことで、警察の軍隊のような特殊性と民間会社と変わらない人間関係や仕事の遂行方法などが分かる。それにしても、警察の人の育て方や組織運営については民間も参考にした方がいいかもしれない。結構、実力主義であるし、指揮系統のブレのなさなどを知ると、「ウチの会社はなあ」などとため息混じりにぼやきたくなる。警察組織も合理的な経営判断?があって今の体制になっているのだけども。とにかく想像以上に楽しく読めた。