古野まほろのレビュー一覧
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新本格30周年を記念して作られた「館」をテーマにしたミステリアンソロジー。もうそれだけで踊りだしたくなるほど嬉しいのですよ。
執筆陣は東川篤哉、一肇、古野まほろ、青崎有吾、周木律、澤村伊智と比較的新しめの作家が集まっています。新本格何世代になるのでしょうね。感覚的に孫曾孫世代という感じですが。
新本格らしい要素がそれぞれに込められています。奇矯な探偵、思い切った設定、大胆なトリック、遊び心に富んだパズルゲーム、一発ネタ的な大どんでん返し、などなど。そうそう新本格黎明期にどんどんガンガン投げつけられたあの感覚がよみがえります。
ひとつひとつの力が弱くともその組み合わせで読ませるものもあります。 -
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警察ほどおもしろい組織はない。三十万人もの警察職員はどのような仕事をしているのか?刑事とはどんな人か?警察手帳の中身は?ドラマとの違いは何?そもそも警察官になるには?待遇や昇進の条件は?警察庁とは何か?キャリアとノンキャリアの関係は?警察キャリア出身の作家だからこそここまで書けた、徹底的にリアルな巨大組織の掟と人間学。(2017年刊)
・序 章 警察手帳と私
・第1章 警察官への道
・第2章 刑事の生きざま
・第3章 警察組織の掟
・第4章 三〇万警察職員の人間学
・あとがき
個人的には、独特の文体が読みにくい。インストールとかタスクだとか、横文字を多用するのが、今のはやりだろうか。
知識の -
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Posted by ブクログ
普段アンソロジーなんぞには手を出さない性分ではあるのだが、創刊以来のお付き合いであるタイガであり、お気に入りの作家も複数参加しているということで、購入に至る。
東川篤哉「陽奇館(仮)の密室」・・・ユーモアミステリの覇道を往きながら、ユーモアミステリらしからぬオチ。
一肇「銀とクスノキ」・・・青春叙述ミステリ。
古野まほろ「文化会館の殺人」・・・臨床真実士ユイカ登場。素晴らしいの一言。
青崎有吾「噤ヶ森の硝子屋敷」・・・著者らしいの一言。
周木律「煙突館の実験的殺人」・・・著者の真骨頂。
澤村伊智・・・「わたしのミステリーパレス」・・・知らないお人。 -
Posted by ブクログ
ミステリ小説を読むのに、警察のことを知っておいた方が良かろうと思い、読んでみた。堅い説明なのかと思ったが、期待を裏切る面白さだ。民間の会社組織と対比させながら、警察組織について、面白おかしく語っている。本書を読むことで、警察の軍隊のような特殊性と民間会社と変わらない人間関係や仕事の遂行方法などが分かる。それにしても、警察の人の育て方や組織運営については民間も参考にした方がいいかもしれない。結構、実力主義であるし、指揮系統のブレのなさなどを知ると、「ウチの会社はなあ」などとため息混じりにぼやきたくなる。警察組織も合理的な経営判断?があって今の体制になっているのだけども。とにかく想像以上に楽しく読
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レビューが遅くなってしまいましたが、100タイトルプレゼントでいただきました!ありがとうございます。
このシリーズは第1作目は未読なため、初めて読みました。臨床真実士という、真偽、ウソホントが見抜けるという特殊能力を持つ、唯花が真相を解いていくもの。
ところどころそれっぽい用語が出てきて、最初は少し抵抗があるものの、慣れてくると面白い設定。こんな能力があれば便利だよなぁと思う反面、ちょっと怖いかもしれない。
読んでいる時はそれほど意識しなかったけれど、最後まで読んで序章を確認し直して、あぁ〜確かに「ABC殺人事件」だ!と思った。
最初は事件を追っていくことで精一杯だったけれど、最後に証言が -
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言葉の真と偽、ウソとホントを判別できる「障害」を持った探偵役が活躍するミステリ。一見数学の命題にも似た感じがあって、躊躇したのですが。よく読んでみればそれほど難しくはありませんでした。一旦定義を理解できれば楽。そして例文があまりに面白すぎて(笑)。
一族滅亡の危機を乗り越え、自ら閉ざされた村を作り出した文渡一族の中で起こる連続殺人。だけど犯人探しではなく、「誰が嘘をついているか」が依頼内容。もちろんそこから犯人にも繋がるわけですが。この「嘘吐きパズル」部分は、序盤の定義を理解すれば案外素直に分かりました。だけど……もちろんそれだけじゃないんだなあ。
ラストの怒涛の解決部分にはもう唖然。そしてこ -
Posted by ブクログ
著者は元キャリア警察官僚のミステリ作家で、「警察内部の視点」を保ちつつ、「市民としての視点」で警察を見、警察に接していると自認している。その著者が、桶川事件、神奈川事件、新潟事件、石橋事件という警察四代不祥事のそれぞれについて、①事案そのものの概要をまとめた上で、②「市民としての視点」からの批判、③「警察部内の視点」からの説明を検討していき、④「今は市民である元警察官としてどう考えるか」という、著者なりの総括を試みている。この本の試論を通じて、「警察官の視点」と「市民の視点」の橋渡しをすることを意図している。著者の小説『新任巡査』のこの本のフィクション版であるという。
先に小説『新任巡査』を読