古野まほろのレビュー一覧
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巡査から警察庁長官まで。全ての警察官は11の階級等を与えられる。常に指揮系統を明確にすることで、どんな事態にも乱れなく対処できるようにしているのだ。各階級の任務、処遇は?。元警察官僚のミステリ作家が、30万人を束ねるスゴい仕組みの全貌を描き出す。「警察モノ」ファンだけでなく、全組織人必読の一冊。(2020年刊)
・まえがき
・序 章 警察における階級のあらまし
・第一章 巡査
・第一章の2 巡査長
・第二章 巡査部長
・第三章 警部補
・第四章 警部
・第五章 警視
・第六章 警視正
・第七章 警視長
・第八章 警視監
・第九章 警視総監
・終 章 警察庁長官
どうも著者の文体が合わないので読みにくいのだが、内容はとても面白い。
中の人だった著者が中から見た階級制度なので、他書には無い説得力がある。
単に各階級に留まらず、初級幹部、中級幹部、上級幹部といった区分が階級章に現れているのも目からウロコであった。 -
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ネタバレ上巻星4.0, 下巻星4.3
「捜査書類に語らしめる」というコンセプトで編集された小説スタイルが掛け値なしに素晴らしかった。これは前作の『新任巡査』でも使っていない大技であり、『刑事』に歩を進めてよかったと思えたところ。しかもそれを示すことが実質的に「読者への挑戦状」となっていることも、物語の示す刑事職の「文書主義」「法律で戦う者たち」という気概が込められているように感じられた。ほかの刑事小説にはないユニークな味わいがあった。結末の対決シーン相当の描写も良かった。
ただ、主人公が影で同僚を応援する風に〆たのは、義心を感じる一方、なんだか気味が悪くも感じた(あまり手放しでカッコ良いものとは感じられなかった)。実際にはそうした応援なしではなかなか難しいという実態は想像に難くないけれど、女性刑に対するあしながおじさん的なムーヴというか、保護的な印象に読めてしまった。あのムーヴをカッコ良い行為としておくこと自体が原田が公安向き(裏でこそこそ良かれと思って物事を進める奴っぽい)であることを、逆説的に示してしまってるようにも感じられた。
そうしたひっかかりはあるが、全体の出来にはさして疵にならない。細部まで考証された、刑事課の刑事の仕事ぶりを小説に仕立ててくれた良質な小説である。 -
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ネタバレ上巻星4.8, 下巻星4.2
二冊全体としては上巻の点数に準じるが、クライマックスの展開が、往年の「戦闘美少女」的などぎつさがあり、万人に薦められる展開でなかったため、他人の顔を気にしてやや点数を下げたくなった。個人的にはなんとか納得してついていけたが、アキラに色々背負わせすぎな世界を作り出すこの古野まほろという作家の……冲方丁『シュピーゲル』『マルドゥック』シリーズのにも似た女性身体の扱い方は、独特だと感じた。
話のつながっていない後継作である『新任刑事』ではそうしたどぎつさはほぼなかったので、安心して読めたけれど、「警察文化を知りながら読める」という点で助かったのはこの『巡査』のほうだった。 -
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ネタバレそれを本当に愛するものだけが、
それを本当に殺すことができる。
物凄く苦しい序盤、大きく転換する中盤からの、希望とも絶望ともつかない終盤を読み切って、エピローグでこんなに救われるなんてこれは賛否両論だろうけれど、別に夢オチとかも嫌いじゃないので私は素直にすっきり読み終わりました。その夢をちゃんと活かせればいいんだと思っている。夢だから虚構だからってそのすべてに意味がないというのなら、書を開いている自分の手と対話するところからやり直してきなさいほんとに。
この絶望も希望もおなじ想いの元に描かれていると思うと、それを書かせる本格のエネルギィというものに改めてアテられるわけだけれど、さりとてそれをこんなにも禍々しく書けるひともそうは居ないだろうなぁ。
ミステリは可能性を追求する。希望的観測とかではなくて、正も負も、どちらの方向にもひたすらに。
その功罪、それから不謹慎さに関しては議論されるところではあるけれど、そうか、その視点が探偵という装置を人間にしているのか?
抽出できる問題が多すぎて追い付きません…
古野せんせの、演劇的な部分というのがとても好きで。かといってやってるの観たいかっていうとそんなことは決してないのだけれど、今作もクライマックスがほんとに、なんというか舞台映えするんだろうなぁとぞくぞくしながら読んでいました。8人の愛したミステリ…ここだけでもやりてぇ。
あぁ、それからあとがきがなんだか微笑ましくてよかったです。
怒られたんだろうなぁ…ほんとに…なんていうか…おなじひとの口から出たことばとは思えない、って言葉は、あると思うんですけど。自分にもあるし。
しかしそれで世に出なくなったり、間違った読まれかたをしたりするのは、いちファンとしてとても切ないなぁと思いつつ
それでもやっぱり、あぁそれでこそ、とか思っている。
掛け値なしに好きな作家、である。
☆4.4。きっとまだ先がある。 -
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話された文章の客観的な真偽と話した人が嘘をついているか否かを判別する障害を持つ臨床真実士本多唯花シリーズ2作目。前作で設定が理解出来ていたからか結花独特の語りも気にならずさくさく読める。今回は唯花の元に届いた連続殺人を止めてみろ、という挑戦状に障害を元にした論理を武器に挑む話。サブタイトルの元ネタと同じく一見関係なく見える被害者達、調べていくと意外な繫がりが見えてきて…なんだけど関係者それぞれが認識している事実から真実を構築して微妙に隠された嘘を暴く展開は相変わらず精緻。結構置いてけぼりにされる作品が多い中で今回は最後までついていけた。まほろ入門編にはいいかも。でもこれシリーズ一作目読むのしんどかった覚えが。
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メアリ・アレクサンドラ・綾子・ディズレーリという本名を持つ主人公は、英国のビーコンズフィールド連合王国公爵と日本の皇族西有栖宮家の女王との間に生まれた「家格と財力とにめぐまれすぎた令嬢(本文9ページ)」です。
そして、警察庁直属の警視正で、全国の警察内部の不祥事を秘密裏に捜査処理する「監察特殊事案対策官」でもあります。
ひとたび上官たる警察庁長官から命令が下ると、普段は公爵家の執事である安藤警視と、同じく二級従僕である鳥居巡査部長を率いて、自家用オスプレイで現場(当然どこかの警察本部あるいは警察署)に急行し、明晰な頭脳と(桁外れの)実弾の力で事件に挑むのです。
古野まほろさんの他作品ともリンクした、パラレルワールドの日本が舞台で、前述の概要からするとスラップスティックなコメディを連想されるかも知れませんが、ぶっ飛んだ設定の可笑しさはあるものの、描かれる事件や警察組織の様子は「地に足のついた」ものですし、警察・刑事小説好きに広くオススメできるかと存じます。
蛇足ですが、筒井康隆さんの「富豪刑事」もこんな感じなのかなぁ。深キョン主演のドラマ版を観ただけで、原作は未読ですけど。
あっ、この4月からアニメ化もされるらしいですね(富豪刑事がねww)