古野まほろのレビュー一覧
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本作…本当に「何処の街にも何人かは居て欲しいかもしれない…」という「いいヤツ」という感じの、真面目で正直な新任巡査の上原が奮戦する他方で、女性新人でありながら独特な知的能力や感で、「キレモノの女性刑事」という風格で、同時に「経験不足の故の隙」で窮地に陥る場面も在る内田が在る…非常に面白い人物造形だ…
冒頭部の辺りで、両新任巡査が愛予署への配属となったことに、何処かの誰かの思惑が在るということが仄めかされてはいるが…それが最終盤に明らかになって行く…なかなか夢中になる作品だった…
或いは…2人の新任巡査の「何年か後」の様子も知りたいというような、読後の余韻も大きい感じだ… -
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所謂「お仕事モノ」という雰囲気を帯びながら、物語全体が“謎解き”で、“探偵役”と“犯人”とが対峙し、やがて一件落着ということになる…
物語の舞台となっているのは「愛予県警察」という“架空の県”の県警だ。特定地域のイメージになることを避けようとしているそうだ。(それでも「作者に何かの縁が在る何処かをモデルにしているのか?」と強く思う描写は在るが…)そして、比較的人口規模が小さ目な県の、相対的に規模が小さい組織の「少し典型的な感じ」ということにしている。作中にも「4万人の警視庁に対して愛予県警は2千人」というようなことが出ている…
この“愛予県警”の県都に在る、傘下19警察署の筆頭格ということになる“愛予警察署”が物語の主な場で、題名の『新任巡査』のとおり、大学卒業後に県警に入って、警察学校での最初の研修を終えて“愛予警察署”に配属された2人の新人警察官が主人公ということになる。 -
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警察官白書とともに・・・
「警察官白書」が新聞で案内されていたので、読んでいた。その後、古野さんの著作を見ると、この「警察手帳」があったので、引き続き、読むことにした。身近にいる警察官の苦労や組織における苦労などが、この「警察手帳」においても著者の警察組織人としての体験に基づいたものなので、警察組織がわかってくる。タイトルは「警察手帳」だが、最初の部分は「警察手帳」の話だが、本自体の内容は「警察組織」についての詳細だ。「警察官白書」は「警察官個人に関すること」、この本は「警察組織」の話だ。ちょっとタイトルだけでは判断できなかったが、読んでおきたい本だ。
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ネタバレ 購入済み
なるほど
警察官は、「勉強の連続」と聞いていたが、他の公務員と異なり、その分野の「実務」が相当に伴う事がわかった。各部署の特徴がわかり、接してきた・接している警察官の方々の特徴が、改めて感じられる。ぜひとも、続編を読んでみたい。
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『課題1 トリックとしての見立て殺人を定義しなさい。
課題2 演出としての見立て殺人を定義しなさい。
課題3 トリックとしてのもの、及び、演出としてのもの以外の見立て殺人は想定されるかを論じなさい。ただし、心神喪失、心神耗弱その他の精神の障害によるものを除く。』
探偵養成学校の春期研修に移動中に迷い込んだ完全に隔絶された村で起こる落ち武者の400年の呪いに支配されたキリシタン村での不可解な連続見立て殺人事件に挑むことになる生徒だが、この村は十戒に完全に支配された村で殺人や嘘をつくことが不可能な村でありかつ古くからの隠された秘密や因習や財宝や因縁があり謎が深まっていくばかりの中で、事件の謎は解けるのか、また村から脱出することができるのか、そして呪いは解けるのか、学園の本当の目的であるマグダラ計画とは何なのか、そんなガジェットを全て盛り込んだ上で、ホワイ、ハウ、フーの順番に推理を展開していく素敵な作品。 -
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悩みすぎて身体から魂が離れかけている重症な人にしか見えない不思議な紅茶屋の話です。
陰陽師も紅茶も好きなので楽しく読めました。
ストーリーも小難しくなくハッピーエンドだし。
しかもぬいぐるみ型式神も一途で可愛い!
いんだちゃんは私が巳年のせいか1番好きです。
候う口調なのも面白い(笑)
他の式神も同じ口調なのかな?それとも違う個性があるのかな?
紅茶の詳しい描写からまほろさんの紅茶愛がよくわかりました。
ミルクも砂糖も入れないと飲めないし道具も作法も入れ方もわからない。
そんなんちゃって紅茶好きの私にはどれもピンとわかるものではなかったけれどとても美味しそうだな、と思いました。
茶請けと一緒に飲むこともなかったのですが何かの機会で淹れるときはサンドウィッチくらい作ってみようかな? -
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舞台は1975年(昭和50年)左翼系過激派セクト「革命的人民戦線」と「革命的学労同盟」が血で血を洗う激しい闘争を繰り返している日本帝国。
かつての学生運動の闘士でありながら、キャリア警官としての生活をスタートしたばかりの二条実房は、埼玉中央署 刑事第一課強行係の新任係長として、かつての恋人 佐々木和歌子を奪った元同志であり、親友でもある我妻雄人を取り調べることになります。佐々木和歌子殺害の容疑者として。
罪は認めているものの、一切の動機を語らない我妻と二条の、取調室での息詰まる駆け引きの行方は…
昭和50年の過激派闘争?日本帝国?
そう、これは古野まほろさんのデビュー作から続く、一連の「天帝」シリーズに連なるスピンオフ的な作品です。
ただ、それ自体は特に重要でなく、この作品だけ読んでも問題はありません。
むしろ、これまでのシリーズとは違った本格的な警察小説として、そして、これまでのシリーズ同様、それ以外の様々なジャンルの要素が盛り込まれた味わい豊かな物語に仕上がっています。
一つ目の要素は、キャリア警官 二条実房の成長を主眼に据えた警察小説です。
大学を卒業後に、警察講習所での厳しい訓練に耐え抜いたものの、実践配置された警察署では当然ながらまだまだヒヨッコです。
自分より歳も階級も下の警官にも敵わないところからスタートし、指導教官の厳しすぎる指導と周囲の助けを得つつ、我妻の供述を得ようと足掻く姿は、時に声を出して応援したくなるほどです。
そして、警察の様々な活動の描写は、かつて警察官僚であった著者ならでは。
その生々しさと実体感、迫力は言葉に言い表せません。
二つ目は、ほろ苦い青春小説です。
高校時代から付き合い、後を追うように同じ大学に入ってきた後輩でもある彼女が、あっけなく寝取られてしまった相手が同志で親友…
これだけで、僕やったら立ち直れないですね。
恋愛だけでなく、学生運動の闘士としても挫折し、真逆のキャリア警官の道を選ぶには当然深い理由がありますが、それは読んでのお楽しみ。
そして三つ目、まさしく運命のいたずらとしか言いようがない、壮絶な悲劇の物語です。
フィナーレを迎えて、真相が明らかになり呆然と言葉をなくした後に、もう一度襲いかかるさらなる衝撃ともう一つ奥の真相。
ここまで打ちのめされた物語はなかなか覚えがありません。
衝撃を覚悟してください。
でもぜひ読んでください。 -
Posted by ブクログ
果実を読んだのが半年前。その文体が余りにも独り善がりで、好きになれなかったのですが、ここ最近の多作ぶり、先輩からの熱烈な勧めを鑑みて、合わないからと無視するのはミステリ読みとしてどうなのかと、自問自答した末に“まほろ慣らし”として選んだのが本書です。
結果、慣らすどころかすっかりハマってしまいました。動機を極めて理論的に解明する。というのが本書の目指すところですが、その企みはまずまず成功したと言っていいと思います。一部、後出しジャンケンのような情報の出し方もありましたが、大きな瑕疵ではないでしょう。
このロジカルさに惹かれたのも勿論なのですが、何より魅せられたのが、目眩く因果の果てに訪れる悲運の物語。この余りにも哀しすぎる物語に完全にノックアウトされてしまいました。主人公が大人ということで、『果実』では抑えの効かなかった度が過ぎた青臭さが、本作では良い方向に作用しています。本を読んでここまで感傷的になったのはホント久しぶりですよ。
出会いは良くなかったまほろ作品ですが、これからは定期的に読んでいこうと思います。