【感想・ネタバレ】老警のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

「独特な味わい」が在る物語であると思った…
前代未聞という感の異常な事件を巡って、県警幹部が事の真相を解き明かそうとするような物語で、少し夢中になってしまう。
本作の冒頭部、少し長い序章が在り、作中の出来事のカギを握ることになる劇中人物達の描写が在る。
この序章に、「執筆活動」と称して昼夜逆転な様子で引き篭もっている男と、その父親という人物が出て来る。加えて何人かなのだが、彼らが作中の事案のカギとなって行くのだ。
本編に入ると“事件”が発生してしまう。運動会を開催中であった小学校に刃物を手にした者が乱入し、教員や児童、居合わせた警察官等を殺傷してしまう。十数人の被害者が生じるというとんでもない事態となった。
事件が生じたA県は、各都道府県警の中では「平均的な規模」と呼ぶべき警察組織を有している。2500名程度の警察官が居て、数名のキャリアが居る。本部長は国土交通省から出向中という人物であった。警務部長は警察庁の女性キャリアであった。一般的には、現場から昇任する警察官といては最上位になる刑事部長が県警の「ナンバー2」のように視られるのだが、部内での職権や格付けとしては警務部長が上位に相当し、キャリアの警務部長は“社長”たる本部長に対して“副社長”というような地位に在ることとなる。また、本部長が“警察一家”の外の者である関係上、警務部長への部内の期待は大きいという状況であった。
本作の主要視点人物は、この女性キャリアの警務部長である佐々木由香里警視正である。
「小学校に刃物を持った者が乱入して十数人の死傷者」という事態で、警察部内もかなり騒然とする。警察部内の人事を司る警務部として気になったのは、小学校の事件の現場で自殺してしまったという被疑者の父親が県警に勤務しているという事であった。そして当該の人物は、警視への昇任試験を敢えて受けずに警部に留まっていて、もう少しで定年退職なのだという。そういう“事情”が酷く気になった。
そんなことも気になった他方、事件が起こった小学校が在る地域を管轄する警察署に設けられた捜査本部での、刑事部による活動の状況が、佐々木警務部長の目線で「少し不自然?」と見受けられる状況に気付かされた。
こうして佐々木警務部長は、県警に赴任した頃に出逢った元警務部付の部下であった所轄署の課長を協力者に、独自に事件の真相、「前代未聞な事態の現場で何が在った?」を解き明かそうと奔走することになる。
本当に何やら「独特…」な味わいだ。「“そういうこと”にしておく」とか「“そういうこと”になってしまう」という流れに「本当か?本当は??」と切り込むが、それで何が明らかになり、そして如何なるのだろう?そんな物語だ。
何か…「痛快」ということでもない、少し独特な読後感で、微妙な余韻が残る作品だった…

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2022年09月16日

Posted by ブクログ

★4.5

えーーーっ!作者が元警察キャリアだったのに、こんな作品書くの?だってさぁ、警察の闇じゃん。一応、事件の真相は描かれたけど、解決はしていないし、警察の闇の深さが描かれただけじゃん。全然ハッピーにならないじゃん。こんな作品、あってよいの??びっくりだわ。

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2022年12月04日

Posted by ブクログ

A県警察本部の管理職警察官である父親。
その息子は精神を病んでひきこもりになった。

もうすぐ近くの小学校の運動会が行われるので、その予行練習のための音がうるさく感じられた。息子は運動会当日に小学校内に入り教師、保護者、児童の殺戮に及び、自殺。
父親も責任を感じて自死する。
その件の調査に当たった警務部長は数多くの矛盾があることに気が付く。

ちょっと考えられない会話が出てきたりしたのは笑いを取るため?
良く分からないままラストを迎えた。

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2023年10月30日

Posted by ブクログ

以前から気になっていた著者の作品。
小学校で起きた無差別大量殺人事件をベースに、引きこもりや、組織の功罪について問いかける様な内容となっている。

著者はいわゆる「キャリア」だった。
経歴から見るに、おそらく30代で退職しているのではないか…加えて、女性かなという気もしたが、そこはあまり作品には関係のないことだ。

さて、本筋。
隠された真実、読み飛ばしていたパーツには「やられた」と思った。
真実のうち、一部は予想できたが、こんな終わり方になるとは。
肝心の人々がほとんど口を開けず終わるのは、謎解きとしては難しくなる。
そしてこの結末。
納得はできない。真実も責任も果たさぬまま、隠されたままで終わるなどと。
せめて虚構の世界だけは、もっとスッキリさせてほしい、罪を償ってほしい。

最後に出てきた官房長はとにかく嫌なやつで、癖もアクも強すぎる。
こんなに気持ち悪い人間を描く必要があったのか、というくらい腹立たしい。
私の様なヒラ社員ではわからないほどのやり取り。
次への布石かと思う様なトンデモ人事。
次の物語もあるのだろうか。

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2023年01月15日

Posted by ブクログ

A県の小学校で起きた前代未聞の無差別大量殺人。犯行後、犯人の男は居合わせた警官から奪った拳銃で自殺する。現役警官である男の父もまた、直後に自死。県警本部は混乱の坩堝【るつぼ】と化した。謎多きこの事件の解明に乗り出したキャリア女警の由香里は、捜査の末、驚きの真実を見つける。ベテラン警察官達の矜持と保身、組織の理不尽と世間の無情、引きこもりとその家族の実情――数々の問題提起を孕んだ社会派警察ミステリー。

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2023年01月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

作者が元警官だからか警察の内部事情が詳しく書いてあったが、私はあんまりそのへんは興味がない。
衝撃的だったのが、引きこもりの人が部屋の中で排泄していたこと。そういう家庭、実際にあるんだろうけど、ちょっとムリだわー。

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2022年12月04日

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