関川夏央のレビュー一覧
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韓流ブームより前、ソウルオリンピック直前の韓国訪問と異文化体験。
お隣の国、一見同じ外見の国。だが看板を埋めつくすハングルの文字に圧倒されるハングル酔い。
スンジャという魅力的な女性との交際を通じた異文化体験。日韓の壁は乗り越えることはできない。
四半世紀前の作品ではあるが決して色褪せていない。日韓関係は当時と異なる方向に向かってしまったように見えるが、実際の両国の関係は実は変わっていないように思える。
今の日韓関係を語る際にあまり出てこないが、在日コリアンの微妙な位置も当時と変わっていないことだろう。
嫌韓本が溢れる今こそ、摩擦の起こる前(当時も違ったカタチであっただろうが)の日韓 -
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鉄道好きでない方も読んで楽しいと思います。まして鉄道好きの人ならば(^-^) 男2人と女1人の組合せによる鉄道旅行、共通点は列車に乗るのが好きなこと。そのお三方は、関川夏央、原武史、酒井順子諸氏です(^-^) とにかく面白いです。原さんの「大宮、鉄道博物館、総本山、伊勢神宮みたいなもの」は大宮に住んでる私、嬉しかったですw。酒井さん「かつては、ミカンとかゆで卵とかホームで売ってましたね」はい、懐かしいですw。駅そば談議も楽しいです。表紙は富山駅「立山そば(サバだし)」だそうです。
酒井さん「誰かと一緒に旅するということは、その人の人生を覗き見するようなもの。旅はその人の人生を凝縮したような時間 -
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1995年、阪神淡路大震災と地下鉄サリン事件がありました。そして、ネットが普及し、紙の文化に翳りが出始めた頃でしょうか。関川夏央 著「人間晩年図巻 1995~99年」、2016.6発行です。テレサテン(42)、横山やすし(51)、司馬遼太郎(72)、渥美清(68)、藤沢周平(69)、萬屋錦之助(64)、勝新太郎(65)、ダイアナ(36)、村山聖(29)、村山実(61)etc。みなさん、早逝ですね。萬屋錦之助は多病多婚(有馬稲子、淡路恵子、甲にしき)。中村玉緒は、あの世へ行っても夫が恥をかかないようにと棺の中に五百万円を入れた。村山聖へのアンケート:今年の目標は?「生きる」、好きな言葉は?「土に
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1990年代前半に死んだ人たちの「晩年」をおさめた作品です。関川夏央 著「人間晩年図巻 1990~94年」、2016.5発行です。栃錦(64)、成田三樹夫(55)、幸田文(86)、相田みつを(67)、小池重明(44)、長谷川町子(72)、大山康晴(69)、太地喜和子(48)、オードリーヘップバーン(63)、ハナ肇(63)、田中角栄(75)、吉行淳之介(70)、乙羽信子(70)etc。添えられたエピソードが味わい深いです。大山康晴氏には名セリフがないようですが、自信とユーモアのあった升田幸三氏には。
団鬼六氏との飛車落ちでの感想戦: 途中まではあんたが絶対優勢だった。(どのへんまでですか?)駒を -
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1~5
明治に輩出された数多の文豪を登場させ、明治人の生き様と明治時代の雰囲気を(恐らく)忠実に伝える漫画である。文豪は漱石を中心に森鴎外・石川啄木・二葉亭四迷・樋口一葉・小泉八雲・幸徳秋水(文豪とは若干異なるが)ら総出演の有様で、漱石の神経症や「舞姫」の彼女秘話などが良く判る。特に啄木の無節操かつ無計画な浪費(女と飲食)癖や寸借を踏み倒す様子などは知らなかったので、とても面白かった。この本を読んでから啄木の貧乏歌(じっと手を見る等)を知れば、何言ってやがるとなるであろう。これはまさに漫画だから面白いのである。文学が好きなら必読だ。
因みに「よちよち文藝部」も明治から昭和の文豪とその作品につい -
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評論家の関川夏央氏による東アジアの紀行エッセイ本。東アジア各国(中国、台湾、極東ロシア、韓国、北朝鮮など)を実際に訪れて、現地の文化や暮らしを聞いて見て回りながら、現地目線でこれらの地域の複雑な現代史を振り返り、考察している。特に、韓国と北朝鮮の振る舞いは、日本人(だけでなく世界中の人々)にとって、その捉えどころのない価値観が理解困難であるのだが、本書をくまなく読めば、理解困難であることの歴史的・文化的・政治的背景について、なんとなく理解できた気になるかもしれない。20年以上前に書かれたエッセイが多数収録されているけれども、今読んでもまったく古さを感じさせないところに、著者の知識と見識の高さを
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林芙美子と有吉佐和子について書かれた本。読み応えあり。
林芙美子が亡くなったときの円地文子のコメントが優しい。
『林さんは幸福な人ですね。失礼だけれども、実物よりは写真顔の方がずい分よく、実際の人より小説の方がずっとよろしい。死と一緒にわるいものは皆なくなって、よい所だけ残ることになった。』
関川さんの有吉佐和子に対する一文(文末部分)
『有吉佐和子は「女流」という言葉を生み出すシステムとよく戦った。みずからの早熟さという宿命と善戦した。しかし53歳の晩夏の一夜、ついに燃え尽きた。彼女は、夏休みの間に級友に別れも告げずにどこか遠くへ去った「転校生」のようであった。』にそうとう泣けました。
有 -
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いわゆる司馬史観に馴染んだ今の時代にあって、
サンケイ掲載時の時代背景を知ることは大変に意義深い。
日露戦を祖国防衛戦争として捉える試みは一見すると
確かに同時代における挑戦に見えるため、
最終的に「坂の上の雲」が評価されたことは感慨深い。
しかし「坂の上の雲」で現実の日本史は終わらないわけで、
その後は第一次大戦、関東大震災、普選施行、治安維持法、政党内閣、
満州事変と歴史は続く。
「坂の上の雲」が評価された背景にはその後のグロテスクにも見える
歴史とのコントラストがあった可能性を感じる。
そして司馬は日露戦後を理解の及ばない鬼胎としてきたが、
鬼胎を同時代の共通認識としてより強く発露する -
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関川夏央が1980年代末から2003年までの間に、色々な雑誌や新聞に発表した、主として東アジア(日本を別とすれば、中国・ロシア・北朝鮮・韓国・台湾が対象。その中でも、北朝鮮・韓国に関するものが多い)に関する原稿をまとめた本。単行本で発行された当時に読んだ記憶があるが、先日日本に帰国した際に、文庫本で発行されているのを見つけて買ったもの。
書中、あまり詳しくは触れられていないけれども、原稿は、単に資料や書籍から材料を拾ってきているわけではなく、これらの国に何度も、かつ、色々な形で足を運んだ上で書かれているようだ。そういう意味では、一種の紀行文、あるいは、論考的紀行文とでも言えそうな本だ。「文庫本 -
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随分以前に新潮文庫版で読んだ本だけれども、7月の初旬に帰国した際に、集英社文庫の新装版が発行されているのを見つけて購入。
この本が単行本として最初に発行されたのは、1984年のことなので、今からだいたい4半世紀前のことである。2004年から2006年くらいにかけて、仕事で、あるいは、まれにプライベートでソウルによく出かけていた。平均すると月に1回くらいは行っていたような気がするし、それ以前とそれ以後も合わせると、ソウルには50回くらいは行ったことがあると思う。
この本を改めて読んで驚いたのは、その4半世紀弱の間のソウルの変わりようである。この間に、韓国はオリンピックを開催し、万国博覧会を開催し