関川夏央のレビュー一覧
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根津に、新しいブックストアがオープンしたという記事を読んで、独自のカテゴリ棚でおもしろい紹介をしてるらしいというその本屋さんに、Kくんとでかけてきました。
落語とか、森まゆみさんとか、町の紹介とか、割引の本のコーナーもおもしろいのが選んであって、狭いけどおもしろい本屋さん。
私的にヒットだったのは、林芙美子の放浪記とか、色川武大の狂人日記とかと一緒にこの本があった小さなコーナー。この時代の本、好きなのです。こんなふうにこの本と出会えて、ラッキーでした。
本、おもしろかった、一気に読んでしまいました。ふたりの生きた様子が細かく紹介されてる。読みたかった本。「本人たちはそんなことになってたのか」 -
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関川夏央の、80年代末から03年までの、
おもに東アジアに関する原稿を一冊にしたもの。
冒頭の、「世界とはいやなものである」と題されたものは、
シドニーオリンピックについて。
柔道の篠原選手、たしか決勝で敗れて銀メダルだったと思います。
“誤審”と言われてずいぶん騒がれましたが、
記者会見では「弱いから負けたんです」と言ったとか。
それを聞いたフランス(金メダルを取った選手の国)の新聞は
この篠原のコメントをそのまま引用し、そしてそのままの意味にとった。篠原自身が「弱いから負けた」といっているじゃないかと書いた。「世界」とは身もふたもないところなのである。身もふたもない「世界」に謙譲は通 -
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私は関川夏央のエッセイしか読んだことがない。「『ただの人』の人生」と、「中年シングル生活」の二冊である。そのため、本書もエッセイであるという先入観で手に取った。最初の数編を斜め読みしても、やはりエッセイと思って疑わなかった。しかし、裏表紙の解説によれば、これは短編小説集である。
いかにも、読み進むうちにそれぞれの主人公が異なる状況にあるのが見えてくる。だが、それでもやはりこれをエッセイ、でなければ私小説と読んでしまうのは、これが限りなく実体験に近いフィクションだからなのだろう。実際、「ミラボー橋」の中には「彼」と「私」の記述に混同が見られる。誰のミスなのか、または作為によるものなのかは分か -
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「本書は"家族の昭和"(2010年11月新潮文庫)を改題し、新たに自著解説を付したものです」という紹介が掲載されているが、本書はオリジナルではなく、既刊のものを、中公文庫が3巻シリーズの「私説昭和史」としてまとめたものの、第2巻である。
第1巻の「砂のように眠る」は私の好みに合っており、とても面白く読んだが、本書は楽しんで読めたとは言えない。それは、扱われている作家・作品・時代に、あまり興味が持てなかったから。吉野源三郎、幸田文で扱われているのは、主に戦前。吉野源三郎も幸田文も読んでいないし、時代にも興味を持てない。時代は下がり、「金曜日の妻たち」「男女七人シリーズ」は、テ -
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「昭和戦前から昭和戦後へ、その家族像の推移を主題に据えて、小説、テレビドラマ、映画を読みこんでみた」(p286)とある。取り上げられるのは向田邦子の作品と生き方、吉野源三郎『君たちはどう生きるか』、幸田文の『流れる』と『おとうと』、テレビドラマの『金曜日の妻たちへⅢ 恋におちて』と『男女7人夏物語』と『男女7人秋物語』、そして小津安二郎の作品。著者はテレビドラマの三作品について、自身と「我がこと」(p301)として重ね合わせ、当時の時代そのものが今から振り返ると価値がない、寒々とした、と自著解説で書いているが、それは、昭和六十年代がどうというよりは、今現在よりも遠い時代の作品の方が、「我がこと
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