関川夏央のレビュー一覧

  • 「坊っちゃん」の時代 第三部 かの蒼空に

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     この「『坊っちゃん』の時代」シリーズは以前から気になっていたのだが、3巻がBOOKOFFで¥100だったため購入。(文庫化もされているそうですね)

     3巻の主人公は石川啄木。「働けど働けど我暮らし楽にならざり~」の人です。てっきり薄幸の苦労人をイメージしていたのですが、この本を読んで、啄木が現代人にも通じる「浪費癖のあるニート気質」の人なのだと知れました。このようなアプローチの作品を読むと、明治文学を読む際に「いつの世も、人間は変わらないものだなー」と肩の力が抜けるのでは。

     明治時代の東京の描写も見事。

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    2010年10月01日
  • 女流 林芙美子と有吉佐和子

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    根津に、新しいブックストアがオープンしたという記事を読んで、独自のカテゴリ棚でおもしろい紹介をしてるらしいというその本屋さんに、Kくんとでかけてきました。
    落語とか、森まゆみさんとか、町の紹介とか、割引の本のコーナーもおもしろいのが選んであって、狭いけどおもしろい本屋さん。
    私的にヒットだったのは、林芙美子の放浪記とか、色川武大の狂人日記とかと一緒にこの本があった小さなコーナー。この時代の本、好きなのです。こんなふうにこの本と出会えて、ラッキーでした。

    本、おもしろかった、一気に読んでしまいました。ふたりの生きた様子が細かく紹介されてる。読みたかった本。「本人たちはそんなことになってたのか」

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    2010年05月01日
  • 「坂の上の雲」と日本人

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    小説はまだ読んだことがないのに、この本は単行本で一度、今回が二度目の読書。年末のスペシャルドラマは、ビデオに録画し、先日ようやく見終わりました。いつか、小説そのものにチャレンジしてみたいと思います。第五章の「乃木将軍と鉄道改軌」は鉄分に満ち溢れており、楽しいです。

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    2011年08月03日
  • 「坂の上の雲」と日本人

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    NHKでのドラマ化にともなって本編を読み返し、ついでにその周辺も知りたくなり読んでみた。意外だったのはこの小説がサンケイ新聞に連載が始まった1968年あたりはあまり注目されていなかったという事。世相としては安保闘争があったり、左翼的思想がマスコミを支配していた頃だからか、こうした愛国的史観は無視されたのかもしれない。また伝説的な存在である乃木将軍、東郷司令長官の実際など、興味深いものがあった。

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    2009年12月13日
  • 「世界」とはいやなものである――東アジア現代史の旅

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    関川夏央の、80年代末から03年までの、
    おもに東アジアに関する原稿を一冊にしたもの。

    冒頭の、「世界とはいやなものである」と題されたものは、
    シドニーオリンピックについて。

    柔道の篠原選手、たしか決勝で敗れて銀メダルだったと思います。
    “誤審”と言われてずいぶん騒がれましたが、
    記者会見では「弱いから負けたんです」と言ったとか。
    それを聞いたフランス(金メダルを取った選手の国)の新聞は

    この篠原のコメントをそのまま引用し、そしてそのままの意味にとった。篠原自身が「弱いから負けた」といっているじゃないかと書いた。「世界」とは身もふたもないところなのである。身もふたもない「世界」に謙譲は通

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    2009年11月29日
  • 水の中の八月

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    2008.8
    いつもどおりに続いている毎日の中で、
    小さなとげのような、おおきな傷のような在日の人々の葛藤。
    その周辺の人々。

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    2009年10月07日
  • 「坊っちゃん」の時代 第一部

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    夏目漱石を中心に、その時代を生きた作家たちの生きざまを描いたコミック。
    1〜5巻まであるが、そのなかでも石川啄木を描いたものを読んだときは、もともと啄木がいけ好かない私だったのだが、「やっぱり、やなヤツ。」と実感できてよかった。
    以前は『明治』という時代がちょっとキライだったのだが、自分のなかで見直すきっかけになった本。

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    2009年10月04日
  • 現代短歌 そのこころみ

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    20080213
    祝・文庫化。待ってたよ、この日を!!(待つっつうか買えって話だけど。。)
    中城ふみ子と寺山修司、あと斎藤史のところが特にすばらしい。どきどきする。短歌史で興奮するなんて!  ストイックで、でも"抒情"たっぷりで、ハードボイルドだなあと思った。ぜんぜん検討違いだったらすいません。関川夏央ハードボイルド説。
    短歌初心者として、勉強になりました。おもしろい。

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    2009年10月04日
  • 「坊っちゃん」の時代 第一部

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    夏目漱石が素敵。
    だめっぽいけど憧れてしまう。結局言ってることが現代にも通用してしまうあたり、本人が見たら幻滅だろうなぁ。

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    2009年10月04日
  • やむにやまれず

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     私は関川夏央のエッセイしか読んだことがない。「『ただの人』の人生」と、「中年シングル生活」の二冊である。そのため、本書もエッセイであるという先入観で手に取った。最初の数編を斜め読みしても、やはりエッセイと思って疑わなかった。しかし、裏表紙の解説によれば、これは短編小説集である。
     いかにも、読み進むうちにそれぞれの主人公が異なる状況にあるのが見えてくる。だが、それでもやはりこれをエッセイ、でなければ私小説と読んでしまうのは、これが限りなく実体験に近いフィクションだからなのだろう。実際、「ミラボー橋」の中には「彼」と「私」の記述に混同が見られる。誰のミスなのか、または作為によるものなのかは分か

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    2009年10月04日
  • 家族の昭和 私説昭和史2

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    「本書は"家族の昭和"(2010年11月新潮文庫)を改題し、新たに自著解説を付したものです」という紹介が掲載されているが、本書はオリジナルではなく、既刊のものを、中公文庫が3巻シリーズの「私説昭和史」としてまとめたものの、第2巻である。
    第1巻の「砂のように眠る」は私の好みに合っており、とても面白く読んだが、本書は楽しんで読めたとは言えない。それは、扱われている作家・作品・時代に、あまり興味が持てなかったから。吉野源三郎、幸田文で扱われているのは、主に戦前。吉野源三郎も幸田文も読んでいないし、時代にも興味を持てない。時代は下がり、「金曜日の妻たち」「男女七人シリーズ」は、テ

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    2025年01月09日
  • 家族の昭和 私説昭和史2

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    「昭和戦前から昭和戦後へ、その家族像の推移を主題に据えて、小説、テレビドラマ、映画を読みこんでみた」(p286)とある。取り上げられるのは向田邦子の作品と生き方、吉野源三郎『君たちはどう生きるか』、幸田文の『流れる』と『おとうと』、テレビドラマの『金曜日の妻たちへⅢ 恋におちて』と『男女7人夏物語』と『男女7人秋物語』、そして小津安二郎の作品。著者はテレビドラマの三作品について、自身と「我がこと」(p301)として重ね合わせ、当時の時代そのものが今から振り返ると価値がない、寒々とした、と自著解説で書いているが、それは、昭和六十年代がどうというよりは、今現在よりも遠い時代の作品の方が、「我がこと

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    2025年01月08日
  • 寝台急行「昭和」行

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    昭和の鉄道乗車記、旅行記。乗り鉄の話である。東京から下関、連絡船で釜山、京城、奉天、ハルビン、満州里、莫斯科を経て巴里到着は15日目という欧亜連絡。凄いなあ。一方で関東平野をローカル線で回るという鉄オタらしい話もあり。

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    2024年10月15日
  • 天皇皇后両陛下の歌から読む平成史

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    ネタバレ

     平成24年(2012年)皇后陛下の歌: 今ひとたび立ちあがりゆく村むらよ失せたるものの面影の上に 関川夏央・山下晋司解説「天皇皇后両陛下の歌から読む平成史」、2019.4発行。平成の30年間、大変なことばかり思い出されます。H7.1.17阪神・淡路大震災 H7.3.20地下鉄サリン事件 H10.7.25和歌山毒物カレー事件 H13.9.11アメリカ同時多発テロ事件 H17.4.25JR福知山線脱線事故 H20.6.8秋葉原通り魔事件 H23.3.11東日本大震災 H31.4.30今上天皇退位、5.1令和に

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    2022年09月17日
  • 人間晩年図巻 2008―11年3月11日

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    晩年って、だれでも寂しいな。
    もっと一人一人にページを割いても良かったと思う。
    図巻だから、仕方ないか。

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    2022年05月25日
  • 人間晩年図巻 2000―03年

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    知っている人はそうかと思うが、知らない人で関心もない世界の人は全然わからない。しかし、ここに出てくる人はちょっと変わっている。

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    2022年05月24日
  • 人間晩年図巻 2008―11年3月11日

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    流れるように読めるが、晩年はどんな華やかであった人も寂しいのと、これまでの生き方が跳ね返ってくるものと実感する。

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    2022年05月20日
  • 人間晩年図巻 2004―07年

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    人物を通して時代を描く感じ。関川夏央らしい軽妙な読みやすさ。山田風太郎ほどピリッとはしてないが、これはこれであり。エッセイに近い。
    知らない人も多いが、どういう基準で選んだのかよくわからん。

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    2022年04月13日
  • 事件屋稼業(1)

    購入済み

    あまり感情移入できない

    主人公がやる気なさそうな感じで淡々としていますし、いまいち何を考えているのかわからないところがあって、あまり感情移入して読むことはできませんでした。基本的に1話完結で、各話ごとにいろんな登場人物が出てきますが、その見た目がみんな同じ感じで、同一人物が違う名前で毎回出てくるみたいになってるのも、ちょっとがっかりでした。若い登場人物が活躍するマンガと違って、生活感や人生の重みみたいなのが感じられるのは長所だと思います。

    #深い

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    2022年09月28日
  • 「坊っちゃん」の時代 第四部 明治流星雨

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    ネタバレ

    幸徳秋水らを中心に描く明治の社会主義者たちのお話。
    ところどころ差し込まれる漱石は第五部への布石か。

    「大逆事件」についてはよく知らないが、半分冤罪もいいところだよなあ、これ。

    警察から主義者の中へスパイとして潜り込んでいる“藤田五郎”は、斎藤一かと思ったが、時代が20年くらい後なので別人のようだ。
    よくある名前とはいえ、架空の人物だとしたら紛らわしい……。

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    2019年04月02日