あらすじ
<明治>という時間軸に交錯する群像を、関川夏央という気鋭の原作を得て、名手・谷口ジローが渾身の力で描いた話題作。歴史上の人物たちの同時代的邂逅が意表を突く!!
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1~5
明治に輩出された数多の文豪を登場させ、明治人の生き様と明治時代の雰囲気を(恐らく)忠実に伝える漫画である。文豪は漱石を中心に森鴎外・石川啄木・二葉亭四迷・樋口一葉・小泉八雲・幸徳秋水(文豪とは若干異なるが)ら総出演の有様で、漱石の神経症や「舞姫」の彼女秘話などが良く判る。特に啄木の無節操かつ無計画な浪費(女と飲食)癖や寸借を踏み倒す様子などは知らなかったので、とても面白かった。この本を読んでから啄木の貧乏歌(じっと手を見る等)を知れば、何言ってやがるとなるであろう。これはまさに漫画だから面白いのである。文学が好きなら必読だ。
因みに「よちよち文藝部」も明治から昭和の文豪とその作品について解説しているのだが、こちらも面白い。川端や三島や谷崎の変態ぶり。中原中也の写真の黒目がコラだったり、まぁ啄木は上記の通りだが、その歌も仕事をサボるだの、上司が嫌だの、そんな歌も数多い。とりあえず「細雪」だけは読もうと思った。
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全5巻。明治という時代。その時代の東京という舞台。そこで交錯する時代人の人生。大変読み味ある作品でした。「凛冽たり近代、なお生彩あり明治人」というサブタイトルも、光ってます。
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漫画史に残る金字塔と言ってよい。これまでこの本と出会わなかった不明を愧じるばかりである。関川の「あとがき」は漫画論と見ても明治論と見ても短文ながら出色ものだ。
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時代を貫いた無用の人。
夏目漱石が職業作家になる直前の明治の風景を名コンビが描く。まだマンガが必要十分に辺境であった時代だ。バブル直前でしか成立し得ない企画だったろう。読者投票やタイアップ企画でも絶対に無理だ。
漱石が、鴎外が、ハーンが、文豪達と共に「坂の上の雲」の時代が、鮮やかに蘇る。
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谷口ジロースキーなのですが、このシリーズは中国で遊び人をしていた時分、お友達が幸徳秋水編を読ませてくれて知りました。帰国して一番最初に買った漫画だったのを今も覚えてます。
何度も読み返してもうボロボロなので、いい加減新しいのを買うべきなのだと思いつつ、まだ買ってません。この判型が谷口センセーの絵を活かせると思うんですがねェ……。文庫はどうも味気ない。
いずれにせよ、原作の関川先生と谷口先生の世界観が激突し、混ざり合い、熟成された、オトナによるオトナの為の漫画という表現だと思います。下手な歴史小説読むよりよっぽど為になり、面白いです。ホントに。
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「多少の縁あるひとを見捨てるは恥です。」
「役立とうと思うは義です。」
舞台は明治(末期)。登場人物は夏目漱石、森鴎外、石川啄木、幸徳秋水、管野須賀子、二葉亭四迷をはじめとした明治の文学者・思想家たち。それぞれの生きる明治の世相が、時に痛快に、時に物悲しく描かれています。
登場人物の一言一言が重く深く響く、関川夏央・谷口ジローによる劇画的、というか映画的な超名作です。
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かなり影響を受けた漫画の一つ。
明治という時代を舞台に様々な文化人が
おりなすドラマは、文学大好きな人も
そうでもない人も楽しめると思います。
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全5巻からなるコミック、と言っても夏目漱石が生きた時代を生々しく描いた長編物語マンガで、著名な人物が次々と登場し飽きさせない。考え方によれば、「坊っちゃん」を読むより面白いかもしれない。明治に生きた人々の一生懸命さとその感性がよくわかる。今の日本人が忘れているものを教えてくれる絶好のマンガで、教科書にしてもいいくらいではないか。
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明治時代の偉人達がゴロゴロ
面白い!というより
知的満足を味わう感じ
(面白い所もある)
谷口ジローさんの描き込みが
ホントすごい
このまま文化財になりそう
内容とは関係ないが
紙質のせいか読みづらかった
(ちょっと硬い...)
円頓寺商店街本のさんぽみち
オヨヨ書林にて購入
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夏目漱石を主人公に、当時の知識人や歴史上の人物を描く。
意外なところで意外な人間関係があって、「へー」という感じ。
『坊っちゃん』て読んだことないけど、そんな話だったのか……。
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明治という時代が、過去として書かれているのではなく、まるでいま起こっていることのように、生き生きとかかれている。
作者が後書きで、書いているように、坊ちゃんという小説が、哀しい小説だととらえ、この漫画の物語も、二重写しに、哀しさが淡々とかかれている。
また、人物が沢山でてくるが、物語がすっきりとしているところが、流石です。
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明治期の文人・思想家たちの活動を軸に、かの時代の精神性をのぞかせてくれる佳作。
いまなお全国の中学・高校で読まれる「坊っちゃん」「こころ」の作者・夏目漱石。だがなぜ読まれるべきとされているのか理解して頁をめくる若人は多くない。
軍医の肩書きにして『舞姫』や『ヰタ・セクスアリス』を著した森鴎外の理想と現実とは何か。
詠うように生き、それを糧に詠う不実な歌人・石川啄木。彼にとって生活とは、リアリズムとは何だったのか。
足尾銅山事件でも知られるジャーナリストにして大逆事件の首謀者に挙げられた思想家・幸徳秋水。彼の目指す革命、政治、思想の実態はいかなるものだったのか。
彼ら知識人・言論人のほか、スリの銀次や清水の次郎長、名前のないネコなどユニークな脇役たちもユーモラスで素晴らしい。
大河ではないがNHK(しかできないと思う)で映像化求む。
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この装丁も絵柄も文字量も情報・説明量もなかなかに取っ付き難く、それが逆に欲求を煽ってくる不思議な漫画。
明治っていい時代だなあとしみじみ思います。しょぼくれた変人のおっさんに才能持たせたら愛しさ無限大ですよ。こうやってみると夏目漱石って、存在が小説のような人だなあ。漱石の著書、全てを読んでからとまでは言わないけれどせめて『坊ちゃん』を読んでからだとより面白いかと思います。わー赤シャツ!みたいな。
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夏目漱石を中心に、その時代を生きた作家たちの生きざまを描いたコミック。
1〜5巻まであるが、そのなかでも石川啄木を描いたものを読んだときは、もともと啄木がいけ好かない私だったのだが、「やっぱり、やなヤツ。」と実感できてよかった。
以前は『明治』という時代がちょっとキライだったのだが、自分のなかで見直すきっかけになった本。
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多分15年ぶりぐらいに再読かな?
全く覚えていなかった、しかも5巻までのシリーズものらしい(風の便り的には聞いていたが)、購入したきっかけさえも覚えていない。
ほとんど初読状態だが、虚実入り混じったフィクションで結構面白い。
続きを読んでみようかと少し心が揺れる。
しかしやはり幕末・明治の日本は輝いていたのかな?
何しろ政治屋さんが嘘臭く(?)「維新」と叫ぶ今日この頃ですからな。
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一躍「孤独のグルメ」で有名作画家となられた谷口ジロー氏の著作でございます。そうです谷口ジローは食マンガだけではないのです。原作者によっていかようにもその姿を変幻自在千変万化の名作画家なのでございます。あるフリーペーパーによりますと谷口ジロー氏は海外では知る人ぞ知る方でございまして、というのもさるアートの賞を頂いているようなのです。さすがトリコロールな国の方は分かってらっしゃいますなあ。ワタクシ嬉しい限りでございます。
さてそんな万能作画家・谷口ジロー氏がマンガ原作者の関川夏央氏と組んで夏目漱石先生を中心に文学人から明治を批評しようとした試みが本書とそれに続く4作でございます。
明治の空気感を感じろ!
絵の素晴らしさ。ディテールの美しさ匂い立つ哀愁たるや垂涎ものでございますが、話の筋も興味深く特に漱石先生が文学で身を立てると決心するクダリなどは一見の価値ありでございます。
さらには正岡子規や石川啄木、小泉八雲などなどなど周辺の文化人政治人が登場しそれぞれが時代の渦の中で何を思いどう動いたかという大河ドラマ的様相をあの谷口ジロー氏が(しつこいw )描いておるのであります。
明治文学明治文化近代史にご興味のある方は所詮マンガだと侮らずに読まれることをお勧め致します。まず間違いなくそのボリュームに圧倒されることをここに請け合う所存でございますので。
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夏目漱石が「坊ちゃん」の構想を得、執筆に至る頃までの出来事を漫画で描いた一冊。調度品や家の外観、他の登場人物など、時代考証のしっかりした丁寧な描写に感嘆した。明治時代の政治や歴史の背景にはあまり明るくないのだけれど、欧米の文化が怒濤のように流れ込み、良くも悪くも混沌としていた様子が伝わってくる。
こうした状況の中で著されたものだと理解してから読めば、漱石の小説もこれまでとは違った捉え方ができるかもしれない。
Posted by ブクログ
やっぱりマンガの力というか、伝わりやすさってすごいなー、と感動。時代背景や、漱石の交友関係などからいかに坊ちゃんが誕生したかが生き生きと描き出されていて面白かった。