【感想・ネタバレ】「坂の上の雲」と日本人のレビュー

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Posted by ブクログ 2013年12月06日

いわゆる司馬史観に馴染んだ今の時代にあって、
サンケイ掲載時の時代背景を知ることは大変に意義深い。
日露戦を祖国防衛戦争として捉える試みは一見すると
確かに同時代における挑戦に見えるため、
最終的に「坂の上の雲」が評価されたことは感慨深い。

しかし「坂の上の雲」で現実の日本史は終わらないわけで、
...続きを読むその後は第一次大戦、関東大震災、普選施行、治安維持法、政党内閣、
満州事変と歴史は続く。
「坂の上の雲」が評価された背景にはその後のグロテスクにも見える
歴史とのコントラストがあった可能性を感じる。
そして司馬は日露戦後を理解の及ばない鬼胎としてきたが、
鬼胎を同時代の共通認識としてより強く発露するための装置として
「坂の上の雲」の評価があった…
どうだろう、穿ちすぎかもしれないが今の時代まで評価されたてきた
理由のひとつではないだろうか。

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Posted by ブクログ 2013年06月19日

面白い。本編を読んだなら是非これも目を通しておきたいところ。
旅順攻略について、乃木、伊地知の人物、評価について実際はどのようであったのか、そして司馬はなぜこう書いたのか等々、なるほどと思った。
思想が行動を規定する、思想によって見える風景を現実世界に上書きした上で行動するような態度を嫌った、昭和の...続きを読む戦争を経験したが故に合理を愛する司馬の考えがあった。
非常に冷めた目で左翼運動の盛り上がりを横目に見ながら、「坂の上」を書いた司馬遼太郎の心事にすこし触れられた気がした。

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Posted by ブクログ 2010年06月15日

これ超おもしろい。ひさしぶりの興奮読書。坂の上の雲を読みながら考えていたこと、なんとなくふしぎに思っていたことにほんとうにちゃんと答えてくれる感じ。伊地知さんのこと、乃木さんのこと。司馬さんのこと。この角度から坂の上の雲を見れたのはとても得な感じ。「第三軍司令部はたしかに無能です。」とか言い切ったり...続きを読むする辛辣さも気持ちいいけど、なぜ司馬さんが乃木さんや伊地知さんをこき下ろしたかの理由が考察されていて、それはどちらにも偏りなく、クリアな目線。それを読んでみてさらに、坂の上の雲の説得力は増して深まる。

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Posted by ブクログ 2022年12月17日

 『坂の上の雲』の副読本に手を出す気持ちで手を出した自分が甘かった。『坂の上〜』をめぐる当時から後世の言説を俯瞰するような内容であり、戦費その他のデータも補完されている。
 若手編集者へのレクチャーをもとにしたせいか「ですます」体になっている。「だ、である」体の引用文が多いのでこれは正解だった。
 ...続きを読む『坂の上の雲』を読み通したのはずいぶん前だ。陸戦より海戦の方が面白いので、そちらを先に読んでしまった。これがフィクションなら正岡子規をもう少し生かせておくのだろうとも思った。

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Posted by ブクログ 2020年01月29日

司馬遼太郎の「坂の上の雲」を様々な視点で評論。
単なる日露戦争(奉天会戦・日本海海戦等)の解説に留まらず、戦争を取り巻く人間社会本質を坂の上の雲というフィルターを通して説いている。
特に、愚将と評されることの多い乃木大将については、司馬遼太郎の評価と一定の距離を保ちつつ持論を展開しているところが面白...続きを読むい。
改めて坂の上の雲という作品の魅力を感じることができる一冊。

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Posted by ブクログ 2019年01月11日

『坂の上の雲』を題材とした評論
12年くらい前に読んだきりで
児玉源太郎くらいしか(名前的に)覚えておらず
むしろ江川達也『日露戦争物語』が絵的印象
まず「政治と文学の分かれ」の項が面白かった
「政治」からの軽視も確かにそうだし
「文学」でも政治をばかにしているというのは当たっていると思う
日本以外...続きを読むではどうなのか知らないが
それが「大衆」に向けた「文学」という現在の本流だ
次に末尾の「冷戦構造下的あなた頼みのセンスで生きている」という疑いもその通り
けれどそれが「大衆」だ
日比谷焼打ちもブログの炎上も起こる場所が違うだけで
そこに参加する人々の在り方は同じ
現代ならぬ現在の大衆が政治参加も
やはり40年前、80年前、120年前と変わらぬその場のムードであり
それを作るのはごく一部の「あなた頼み」への
疑いと反骨と巡り合わせでしかない

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Posted by ブクログ 2011年08月03日

小説はまだ読んだことがないのに、この本は単行本で一度、今回が二度目の読書。年末のスペシャルドラマは、ビデオに録画し、先日ようやく見終わりました。いつか、小説そのものにチャレンジしてみたいと思います。第五章の「乃木将軍と鉄道改軌」は鉄分に満ち溢れており、楽しいです。

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Posted by ブクログ 2009年12月13日

NHKでのドラマ化にともなって本編を読み返し、ついでにその周辺も知りたくなり読んでみた。意外だったのはこの小説がサンケイ新聞に連載が始まった1968年あたりはあまり注目されていなかったという事。世相としては安保闘争があったり、左翼的思想がマスコミを支配していた頃だからか、こうした愛国的史観は無視され...続きを読むたのかもしれない。また伝説的な存在である乃木将軍、東郷司令長官の実際など、興味深いものがあった。

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Posted by ブクログ 2016年01月11日

文芸春秋の月刊誌『文學界』に2005年1~10月に連載された『『坂の上の雲』を読む』を書籍化したもの。
『坂の上の雲』については、2009~2011年に3年に亘ってNHKのスペシャルドラマで放映され、強烈な印象を残したことも記憶に新しい。
本書で著者は、この作品が1968~1972年に(産経新聞の連...続きを読む載として)発表されたことに注目し、司馬遼太郎は、この作品に描かれた明治維新から日露戦争までの若くて健康的な日本が、その後昭和20年に至る40年間になぜ不健康な日本に変わってしまったのかに問題意識を持ち、それを、戦後20年経ち、高度成長が進むとともに反体制色の強まった時代に改めて提示した、と分析している。
また、なぜ秋山兄弟と共に主人公として登場する文人が夏目漱石ではなくて正岡子規だったのか、なぜ乃木希典が極めて無能な司令官として描かれているのかなど、司馬遼太郎がこの作品に込めたメッセージを様々な角度から解き明かしている。
(2012年1月了)

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Posted by ブクログ 2010年12月31日

坂の上の雲のストーリーを辿って行く構成の中で、著者の考証・分析・思考が敷衍されて行く。坂の上の雲の再読をしているような愉しみもあるし、著者の寄り道も面白い。

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Posted by ブクログ 2012年06月16日

司馬遼太郎に対する批評には厳しいところもあるが、愛情があって読みやすい。作家だけでなく、乃木さんや漱石などの人々の評価も一方的に決めつけるところがない。多方面から見ようとしている。
そして鉄道や食料など細かいところに目がいっているところが読み応えあり。
関川さんは鉄っちゃんの歴史派か。

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