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Posted by ブクログ
いわゆる司馬史観に馴染んだ今の時代にあって、
サンケイ掲載時の時代背景を知ることは大変に意義深い。
日露戦を祖国防衛戦争として捉える試みは一見すると
確かに同時代における挑戦に見えるため、
最終的に「坂の上の雲」が評価されたことは感慨深い。
しかし「坂の上の雲」で現実の日本史は終わらないわけで、
その後は第一次大戦、関東大震災、普選施行、治安維持法、政党内閣、
満州事変と歴史は続く。
「坂の上の雲」が評価された背景にはその後のグロテスクにも見える
歴史とのコントラストがあった可能性を感じる。
そして司馬は日露戦後を理解の及ばない鬼胎としてきたが、
鬼胎を同時代の共通認識としてより強く発露するための装置として
「坂の上の雲」の評価があった…
どうだろう、穿ちすぎかもしれないが今の時代まで評価されたてきた
理由のひとつではないだろうか。
Posted by ブクログ
『坂の上の雲』を題材とした評論
12年くらい前に読んだきりで
児玉源太郎くらいしか(名前的に)覚えておらず
むしろ江川達也『日露戦争物語』が絵的印象
まず「政治と文学の分かれ」の項が面白かった
「政治」からの軽視も確かにそうだし
「文学」でも政治をばかにしているというのは当たっていると思う
日本以外ではどうなのか知らないが
それが「大衆」に向けた「文学」という現在の本流だ
次に末尾の「冷戦構造下的あなた頼みのセンスで生きている」という疑いもその通り
けれどそれが「大衆」だ
日比谷焼打ちもブログの炎上も起こる場所が違うだけで
そこに参加する人々の在り方は同じ
現代ならぬ現在の大衆が政治参加も
やはり40年前、80年前、120年前と変わらぬその場のムードであり
それを作るのはごく一部の「あなた頼み」への
疑いと反骨と巡り合わせでしかない
Posted by ブクログ
文芸春秋の月刊誌『文學界』に2005年1~10月に連載された『『坂の上の雲』を読む』を書籍化したもの。
『坂の上の雲』については、2009~2011年に3年に亘ってNHKのスペシャルドラマで放映され、強烈な印象を残したことも記憶に新しい。
本書で著者は、この作品が1968~1972年に(産経新聞の連載として)発表されたことに注目し、司馬遼太郎は、この作品に描かれた明治維新から日露戦争までの若くて健康的な日本が、その後昭和20年に至る40年間になぜ不健康な日本に変わってしまったのかに問題意識を持ち、それを、戦後20年経ち、高度成長が進むとともに反体制色の強まった時代に改めて提示した、と分析している。
また、なぜ秋山兄弟と共に主人公として登場する文人が夏目漱石ではなくて正岡子規だったのか、なぜ乃木希典が極めて無能な司令官として描かれているのかなど、司馬遼太郎がこの作品に込めたメッセージを様々な角度から解き明かしている。
(2012年1月了)
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