あらすじ
君は何かを取り逃が(ミッシング)してしまったことはあるかな? とてもとても大切なことだったのに、つまらない意地を張ったり、目の前のことばかりに気を取られて見逃してしまったことはないかい? ……これはそういうことを繰り返さざるをえなかったある魔術師の話だ。彼は天才で、成功者で、そして失敗者だ。この魔術師が辿る一途で愚かで、そして寂しく陽気なこれはアイスクリームの物語。冷たく鮮烈な甘さは、一瞬の、そう、このぼくブギーポップですら見逃してしまうほど速く、あっという間に溶けてきえてなくなっていくひとときの慰み──道化師と死神とそして夢破れた人々が織りなす、無邪気で残酷な哀しいお伽噺。
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ブギーポップ最高傑作?
ブギーポップの中で一番地味で面白く感じないのに一番感動したかも知れない
少なくともシリーズを読んでいると面白いんだけど、これ一冊ではとても人には勧められない
ただシリーズを追いかけていると、ある意味集大成のようにも感じる(まあこれ以降も続刊が出ちゃったので集大成でもなくなってしまったけど)
テーマは「痛み」
これだけならVSイマジネーターと変わらないかもしれないし、歪曲王も同じかも知れない
ブギーポップは基本的に一作目をベースに人の痛みを描く作品と捉えているけど、
ペパーミントの魔術師は最も直接的に痛みを描いているんじゃないのかな?
作風的には上遠野先生というよりは乙一先生な作風にも感じる
20年ぶりに電子書籍で読んでみたけど、
うわぁーって感情が揺さぶられるのではなく、じわりと胸を締め付けてくる作品だなぁと思う
だから20年経っても覚えている
少なくともブギーポップを読み始めた人で途中で挫折した人がいたとしたら、
この作品までは読まないとダメだと断言する
Posted by ブクログ
アイスクリームづくりに命をかけた人の話を綴った作品。
他の何を差し置いてもアイスクリームという、職人ならではの感性に対し、周りの人が色々と集まってきては、なにか事件があると皆離れてしまうという、諸行無常な印象をうまく描く。
結局の所いつものブギーポップであるという印象。
見事な愚か者の物語
アイスクリーム作りの天才、軌川十助の成功と挫折と別れの物語。ペパーミント色の肌をもつ彼は人の痛みに応じ様々なアイスクリーム作りをします。その十助の良き理解者であり、アイス作りに協力する楠木玲。二人のアイスクリームはやがて大人気となり、世間に広まります。しかし、やがて玲は十助から離れケーキ作りの道を行き、十助自身も統和機構から処分の対象にされます。彼には自分自身も知らない“世界の敵”になりうる資質を持っているのです。
ここまでのシリーズ作品は様々な人物の多視点で描かれることが多いですが、今回は十助に比重が多く置かれており彼の優しさと哀愁がひしひしと感じられる作品です。
無論、今までの人物も随所に登場します。今回は、ブギーポップの本体である宮下藤花も珍しくそのままで割と活躍してます。
そういえば、はたして冒頭と最後の語り手は誰だったのでしょう?作者本人でいいのかな?