沼野充義のレビュー一覧
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楽しみにしているレム・コレクション。第二期は順調に出版されていて誠に喜ばしいです。
実質のデビュー作である表題作含め非SF短編も含む初期作品集。書かれたタイミングは戦時中でありしかも場所は現在も禍中にあるリヴィウ。ドイツに占領されていたりポーランド領だったりソ連だったりと過酷な経緯を辿る街で、また今も翻弄されています。ホロ・コーストのストレートな場面を描かれた短編も含まれており、ユダヤ人でもあったレムはこんな環境のなかでも作品を書き続けていたのがよくわかります。「ヒロシマの男」も印象的です。発表されたのは原爆投下後の二年後と早く、いかにレムも衝撃を受けていたことがわかります。感情的なじとじとし -
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今期、沼野先生のご担当される授業を取っていた。
人文コースの学生である私は、国文学をやりたくて大学に入学したのだけれど、それだけを勉強しているわけではなくて、『世界文学』として色んな国の文学に触れた。沼野先生のお授業は、ヨーロッパの近代文学。ロシア文学を読み解いてくださった。中学高校で読んで『もう読んだ』とそれきりにしていた作品たちと再会をした。たぶん、あまり解っていなくとも、ごく若い時期に読み通してみるという経験も大事なのだけど。問題は別にある。
『解った』『読んだ』ことにして再読していないと、自分の文学的な貯金というか、読む力は薄くなる。読んだというポーズを求めているのでないなら、折に -
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レムの生誕100年の年だとのことなので、レム祭り再開。
とはいうものの、レムを読むには知力、気力、体力が必要でお酒を飲みながら気楽に流して読むことはできないのです。仕事で疲弊していたころは気力がなくて読めなかった作品群も今ならば!と取り組んだ次第。いや〜、さすがレム。架空の本の批評を作ってそれをまとめた体裁で序文を書くという二重三重の仕掛けがあるうえ、架空の本そのものが、AIをテーマにしていながら神への信仰にまで言及するものから、新しい宇宙創生理論にいたるまで脳味噌痺れるテーマを暑かったものですが、どれも読んでみたいものばかり。
レム氏に実際に書いてほしかった。 -
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谷川俊太郎さんの回は、とても刺激的で面白く読みました。よい詩は翻訳しても本当にそのよさが伝わるものなのか。大きな問題ですよね。
とてもわかりやすく面白い本なので時々読み返して読書のモチベーションを上げたいと思いました。
世界の文学作品をもっと読みたいと思います。
小節家・詩人編
①いまあらためて考えるー「文学」とは何なのか
加賀乙彦×沼野充義
大河小説に表出された、「私」と「日本」の戦後社会
〇戦後作家の小説はいわゆる私小説ではない。十九世紀後半のロシアの小説が世界で一番素晴らしいと思う。
〇『源氏物語』は世界で最初にできた大河小説。
〇比喩的に言うと西欧近代の大きな小説は大河のように流れ『 -
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『世界は文学でできている』に引き続き再読です。
このシリーズは世界文学とは何か、翻訳とは何かということを中心に語られていると思います。
二度目でもとても面白く読みました(どれだけ忘れてしまったかということかもしれません)。
この本でお薦めされている本や、沼野さんと対談されている楊逸さん、多和田葉子さんの本、綿矢りささんの本も積んでいるものがあるので読んでみたいと思っています。
おわりにで「世界文学を相手にして一人の人間にいったい何ができるのか。結局のところ、本を読むのは自分一人である。あなたの代わりに誰も本を読んでくれない」というのが響きました。
①あらためて考えるドストエフスキー
亀山郁夫 -
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非常に新鮮な読書体験だった。周知の通り、本書は「存在しない本に対する書評集」という、一風変わった内容である。そのコンセプトに惹かれて手に取ったが、架空の書評というアイデアのみならず、一編一編の書評も読み物として大変興味深かった。物語を書くということに対して、「そういうアプローチがあったか!」と膝を打った回数は数知れず、無数の示唆に富んだ一冊だったと思う。
読んでみて思ったのは、「書評集」というよりは、存在しない本のストーリーラインの要約や根幹となるアイデアを示すという趣が強いなということ。他者の批評を引き合いに出して、問題点や要点を論じる形体を取ってはいるが、その小説の大まかな流れを説明す -
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再読です。
最近、日本のエンタメ系小説ばかり読んでいて、世界の古典名作や純文学を全く読めなくなってしまったのでリハビリになるかと思って読みました。
2012年に、初版を買って読んだ時は感じなかったのですが、9年たって読むと情報が若干古くなっている気はしました。村上春樹の『1Q84』が大ヒットしている話とかは今の状況とはあまり関係ない気がします。
最初の4つの章は再読でも比較的面白く読めました。最後の沼野さんと亀山郁夫さんのドストエフスキーの話は他所でも色々読んできたので、お腹いっぱいの感がありました。
私も歳をとってきたので外国文学よりも、日本の文学を再読したりしたい気持ちに駆られました。
中 -
ネタバレ 購入済み
未知との接触
一部ご紹介します。
・「われわれは宇宙に飛び立つとき、どんなことに対しても覚悟ができている。
孤独、戦闘、殉教、死。口に出しては言わないが、内心、自分のことを英雄だ、などと考えることがある。
ところがそれが嘘なのだ。結局、覚悟なんて単なるポーズにすぎなかったことを思い知らされる。
われわれは宇宙を征服したいわけではない。ただ、宇宙の果てまで自分たちの知っている地球を押し広げたいだけなんだ。
われわれは人間的で気高いから、宇宙に住む他の種族を征服しようなどと思わない。
ただ、自分たちが貴重と見なすものを彼らに伝え、その代わりに彼らの遺産を受け継ぎたいだけだ。
人間は自分のことを、聖 -
購入済み
わかりやすい
舞台の方を先に観て、いまいち掴みきれなかったのでこちらの本を読みました。
本編後の著者の解説がとても分かりやすく、本書と舞台の映像を見返すことでしっくりこなかった部分がとても心地よくふに落ちました。 -
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購入済み
とっつきやすい訳
現代の言葉やニュアンスが織り込まれた訳で、読みやすかったです。
最後の解説で、かもめが「喜劇」と言われる理由がよくわかりました。 -
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わたしが参加している読書会の、10月の課題図書だったので読んだ。
理由は自分でもよくわからないがロシア文学が苦手、戯曲が苦手、ということでチェーホフは読んだことがなかったのだけれども、意外とおもしろかった。
ある夏、ソーリンの(おそらく少し田舎の)家に集まった文化人の会話……としかまとめられないなあ。いろいろなエピソードが重層的に進行するのだけれども、わたしはそのうち、作家志望の青年、トレープレフと、女優志望の若い女性、ニーナのwannabe2人の精神的な破滅と成長の物語が中心なのではないかな、と思った。トレープレフは成長しないwannabe、ニーナは最後の最後で一皮むけるwannabe。わ -
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ロシア文学って“誤解を受けやすい”と思う。その思潮や言動が必ずしも日本人が美徳と考えているものと一致せず、この本は特に、他の露人文豪の作品を並べて見ても、日本人からすると不可解なものが多いように思える。
したがって、自分の感性に合う・合わないだけでこの作品群を評価してしまうのは早合点であり、もっと人間本来の真性に照らして“深く”読むべき。
そうなると分量としては少ないこの短編集の作品を読み終えるのは私にとって意外と時間がかかった。有り体に言うと「この作品、何が言いたいの?」と感じて終わる作品もいくつかあり、1つ読み終えました、ハイ次、とは中々ならず、熟考のためしばらく本を置くというのも1回や