沼野充義のレビュー一覧
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最初ミステリーの要素があり、単純なSFかと思いきやさにあらず。
幽体Fの正体は何なのか。最後どうなるのか。という興味は確かにあるが、本当に伝えたい事はそういう単純な事ではないと。
途中ソラリス学の延々とした章があったりで決して読みやすいわけではない。ソラリスとは一体何なのか。結局最後まで明快なものは提示されない。
そういう未知との遭遇がテーマであるのだろう。世の中には我々の知らない、わからない事との遭遇があり、それとどうコンタクトを取っていくのか。
現代社会でも当てはまる事はあり、外国人労働者、移民、異性、身近な所では中途採用、新人など。
自分の知らない人とコンタクトを取る事が難しい -
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特に印象に残った二作の感想。
『火星からの来訪者』
粗削りながらも、すでに後の『ソラリス』に通じるテーマ──人間にとって“他者”とは何か──が浮かび上がっていたのが印象的だった。作中、謎めいた異星生命体と人類の科学者たちが接触を試みるが、そこに成立したのは「対話」ではなく、どこまでも一方的な「観測」だったように思う。特に、教授が体験する“火星のヴィジョン”の場面は、人間側の希望的観測の象徴に感じられた。リオンが何かを伝えようとしたのではなく、教授自身が「意味を見出したい」という欲望から幻を見たのではないか。この作品を通じて、レムは早くも「知性とは、他者と本当に理解し合えるのか?」という問いを -
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順調に刊行が続くレム・コレクション。誠に喜ばしい限りです。人間よりも人間らしいロボット二人の寓意に満ちた珍道中。とは言ってもそこはレム。歯応えありすぎるほどあるよ〜。簡単には噛み砕けないよ〜。言葉遊び部分も多く、原文が読めたらもっと楽しめるんだろうなぁと思うと同時に、日本語への落とし込みに翻訳者は悶絶ものだろうなと思いました。この文化間ギャップが興味深くもあります。
1965年の作品ですが現在の生成AIを先取りする記述があまりに現代的で驚愕する。主人公のロボットたちが建造師と言われているのもシビれます。英語ではなんて訳されているのだろう。builder?クリエイターも今やソフトよりの印象とな -
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とっても難しい。でも面白い。詳細なソラリス描写や、膨大なソラリス研究の仮説、論文を詳述することにより、徹底して「未知」を書き切った作品です。言われがちなこの「意味のわからなさ」はあえてやっていると思います。そもそも人間には未知との遭遇では、ある程度は意思の疎通ができるだろうという傲慢さがあります。人間の間でさえIQだか偏差値だかが20違えば会話が成立しないという話もあるのに、何故恒星間航行もできないような未開の文明の人間が、我々よりも高度に数百年単位で進んだ文明のものと意思の疎通ができると思い込めるのでしょうか。その人間の驕り高ぶりに冷や水を浴びせるような作品といった印象を受けました。個人的に
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ちょっと難しかった!
映画にもなっているので気になっています。映画は作者の望むエンドでは無かったようで、この本の主題はあくまで未知の生命体とコンタクトは取れるのか?という所。生きている風なのに、人間の問いかけには応じない、良く分からない感じが、人類の文明は世界で通じる訳ではないと示唆してるようでした。最後の訳者解説に作者のコメントも載っています!
最初は何が起こってるのかよく分からない。
中盤の章で、惑星ソラリスの描写が詳しく描かれていて、想像しながら読むと楽しかったです。
これは積読の必要があるかもしれない…
宇宙SFの新しい概念を知りました
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ネタバレ読み終わりました。
巨大な海が一つの生命体であるという入りやすいベースから、明らかに狂っていく一人称視点はどこかラヴクラフトの小説を彷彿とさせます。
作中で何度も惑星ソラリスに対する著者の解釈が緻密に描かれており、まるで直ぐ近くに海が迫り来ているかのような臨場感がありました。
物語の後半では、超常現象を受け入れた主人公の交流描写が進みます。ソラリスの生み出す数々の現象が果たして人類にとって無意味なものか、その先に何があるのか物語の中では明かされません。
ただひたすらに広大な、人々とコミュニケーションを行っているかのように思える無意味なソラリスの”現象”たちが、読後の虚無感を増幅させました -
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世界文学の読書案内として手に取ったが、対談の中で、日本の作家も多く紹介されていて、期せずして、今まで食わず嫌いでいた、現代日本の作家や、ドストエフスキーや、夏目漱石などの古典小説を読んでみようかな、と思うきっかけになった。
対談形式のため、読みやすくはあるが、あまり本を読んできていなかったので、作家と、文学研究者の両者の話に理解しきれない部分もあった。
ただ、あまりに古典文学を読むのには遠く離れた世代、人生であり、自分には読みきれないとはじめから諦めていたのだが、ドストエフスキーの魅力について、単純に面白いこと、と挙げられていることや、ドストエフスキーのキリスト教文学的な要素を日本の読者が全 -
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大学入試改革で「論理国語」と「文学国語」を分けていることから、文学は論理的ではないと国や経済界は思っているのではないかと感じる。
しかし、文学(小説)を解するためには徹底的に論理的に読む必要があり、文学に論理性がないとは到底いえない。また論理国語とされる試験問題からは、文章の意味は一義的に定まるという考えが読み取れるが、そもそも人間の用いる「ことば」というものは複雑で、文脈や時代の情勢を織り込まないことには意味が正確に取れず、また受け手側のスタンスによっても意味の取り方が変化しうる。
そのため、文学を取り出して囲い込むことは幾重にも間違った政策判断であるように思える。
以上が本書を読んだ感想で