【感想・ネタバレ】インヴィンシブルのレビュー

あらすじ

《レギスⅢへの着陸完了。サブ=デルタ92型砂漠惑星。われわれは第二手順に則ってエヴァナ大陸の赤道地帯へ上陸する》この通信から40時間後、まったく意味をなさない奇妙な音声を伝えてきたのを最後に消息を絶ったコンドル号を捜索するため、二等巡洋艦インヴィンシブル号は琴座の惑星レギスⅢに降り立った。そこは見わたす限りの広大な大地に生命の気配のない、赤茶けた灰色の空間であった。やがて、偵察のために投入された撮影衛星が人工的な構造物をとらえ、探索隊が写真が示す地点へと向かう。たどり着いたのは、奇怪な形状を有し廃墟と化した《都市》であった。《都市》の内部へと足を踏み入れ、調査を進める探索隊であったが、そこにコンドル号発見の知らせがもたらされる。急ぎ現地に向かった一行が目にしたのは、あたり一面に物と人骨が散乱し、砂漠にめり込んでそそり立つ、変わりはてたコンドル号の姿であった。謎に満ちたこの惑星でいったい何が起こったのか!?――『エデン』『ソラリス』からつらなるファースト・コンタクト三部作の傑作のポーランド語原典からの新訳。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

第二期始まってたのね。ソラリスに負けず劣らず大傑作。アイデアは今も斬新。このままアニメにできる。無敵とは傲慢である。そして不死とは。

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2022年02月10日

Posted by ブクログ

三体なんかで余計な足を取られてしまって、ようやく読めた。
今回、宇宙船の内部の様子が匂いっだったり、鋼材が冷却中に発する音や暗い食堂といった描写によって活き活きと描かれることに気づいた。また、「会話」の章での艦長とロアンの対話がすさまじい。人間やらざるを得ない状況ってあるよね。やってくれって言えないけど、やるって言ってほしい状況を見事に描いていて苦しくなる。読み返すたびに凄いと思える数少ない作家。本そのものの品質も素晴らしいです。電子版にするか迷いましたが紙版で良かった。

1
2021年12月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

PS5の「The Invincible」というゲームをジャケ買いして遊んだところ、実は原作は小説であるということを知ったので、気になりすぎてこの新訳版を買ってみた。
スタニスワフ・レム、一生きちんと名前を覚えられる自信がないが、一冊読み終わった今ならなんとかなる、かもしれない。

まず装丁が良い。半透明の表紙の内側からうっすらと見えるLEMの文字となんか丸い図形。
そして全体的に翻訳が大変素晴らしく、直訳感、翻訳感がほぼない。そして時折出てくる単語が普段遣いのものではなく、日本語なのに意味を知らなかったりそもそも読めなかったりして、自分の語彙のなさを嘆くと共に、翻訳のセンスを感じて震える。

・映像化作品のあとに読む小説
ゲームのあとに原作…と言ってもストーリー的には時系列が違うので厳密には原作ではないけどともかくゲームのあとに小説を読むと、既にビジュアルが脳内にあってしまうので、想像力が発揮できない。これは良いことなのか悪いことなのか、難しい。
ビジュアルを想像する必要がないから小説の内容に集中できるとも言えるし、自分の理解に合わせて脳内で全体的なお話を構成していきたいのに、既に確立されてしまっている要素が邪魔をするかもしれない、とも言える。
宇宙船や乗り物、人物の服装などはもうゲームと同じもので脳内再生されているが、逆に想像を狭めてしまってもいる。百人いれば百通りのインヴィンシブルの想像があるはずなのにだいぶ同じものになってしまう。

まあ、一番大きな問題は、ゲームと小説で時系列が違うという事実はあっても、根本的な謎はゲームの方で解けてしまっているので、SFスリラーのはずが特にハラハラすることはもうないということ。

とは言いながらも、インヴィンシブルに関してはゲーム版のビジュアルがとても良かったので小説版は似たような世界観の構築がやりやすく、楽しく読めた。逆に小説を読んでからゲームをしたら、想像とのズレがあるからそれはそれで楽しそう。自分にはもう楽しめないやり方だが。

そして実際、当たり前だがゲームと小説での表現のズレはところどころある。間違ってるとかではなく、ちょっとしたパラレルワールド感。
とは言え、正しいところのほうが多いからむしろゲーム版との答え合わせも楽しい。
インヴィンシブルがコンドル号から連絡を受けたのが一年前というのに最初アレ?となったが、そういえばゲームでも実はコンドル号はだいぶ前に到着していたことが判明したりしてたし、記憶を失わないキャラクターの謎も基本同じ。まあ、コレに関してはどっちの説明もモヤモヤしたけど…
あとは、ゲーム版ではコンドル号がだいぶ惑星の調査を進めていたが、小説ではほとんど何もしないまま全滅していた模様。まあ、コンドル号が見つかった時点で謎が解けてしまったら小説の1/3くらいでお話が終わってしまうから、コンドルの調査はなかったことにしないとな。
あと、ゲームにもあった「仇討ちしても無駄、船と乗員を沈めたと言って海原を鞭で打つようなもの」、というセリフがあってニヤッとできた。

でも、4gamerのゲーム紹介記事では、「小説で描かれたキャラクターや設定も登場し」と書いてあったのでいつ出てくるかと思って読み進めたが、最後まで出てこなかった。誰のことだったんだ…?

・ストーリー
始まりは乗員たちがコールドスリープから徐々に覚めていくシーン。これはゲームも同じだったな。
そういえばゲームではレギスに降りたのは不慮の事故みたいな感じだったけど、結局艦長の企みだったわけか。全部あいつのせいじゃん。

遭難したコンドル号の後を追ってレギスIIIに到着したインヴィンシブル。こっちのほうが大きいのかと思ってたが、同じくらいのサイズらしい。確かにゲーム中のコンドル号、とんでもないサイズだったから、アレより大きいインヴィンシブルとは…?ってなってたものな。同じくらいのサイズなら、よし!まあ、それでも現代の宇宙船に比べたら圧倒的巨大感だけど。

そして、コンドル号周辺に散らばる死体と、どんどん記憶障害になっていくインヴィンシブルメンバーたち。うーん、SFスリラー。まあ、自分は原因知ってるんですけどね!
でもゲームの主人公が無計画に猪突猛進していたのと違って、こちらはちゃんとバリアをしっかり張りながら進めており、堅実。
なのに狭い場所の探索とかでちょっとだけバリア外す、とかやってたら虫に襲われてしまった。

少しずつ判明してはいくものの、それよりもメンバーが倒れていくスピードの方が早く、解決していく話ではなくとにかく翻弄され、人間中心の考え方なんておこがましいとは思わんかね系展開で終わった。

ゲームだと一瞬で行動不能にされたキュクロプス、小説ではかなり善戦している。が、結局やられて自由行動になってしまい、最終的に本船からの水爆?で蒸発するという不憫キャラに。
でも虫は記憶を消すのであればキュクロプスも全プログラムを消されるはずなのでは。敵を攻撃したりする基本的な機能だけは残っているという不思議。でもゲームでも動かなくなった機械と、敵味方区別なく攻撃し始めた機械があったな。バグのやることはよくわからないからいいや!

そして結局ロアンもゲームと同様、意識混濁に陥っていたからという話だった。が、そのおかげで虫に対して無敵になったロアンが行方不明のメンバーを一人で探しに行くという無謀な展開に。しかもほぼ全員死体で発見できてミッションコンプリートしたので、そのまま半死半生で帰って、インヴィンシブルに戻ってきたところで終わり。切ない。

でもロアン、普通に意識があったっぽいけどな。「何も考えられなかった」、と単に呆然としてただけ。呆然とするだけで助かるとは思えないが…
ヤスナのときもそうだったが、なんかここだけはなんか不思議と甘い。納得できねえー。

でも面白かった。こういう、虚しい系のストーリー、嫌いではない。他のレムシリーズも読んでみたいけど、なかなかお高いからなー…

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2024年11月11日

Posted by ブクログ

SF。旧題『砂漠の惑星』。
著者お馴染みのファーストコンタクトもの。
ホラー小説といってもいいくらいに怖かった。
自分の想像力では思い浮かべることができないほどの、圧倒的な情景描写が魅力。
もちろんSF的なアイディアも素晴らしい。
著者の作品は、いつも理解が及ばないことが唯一の難点だと感じているが、充実した解説が理解の助けになってありがたい。

1
2022年09月18日

Posted by ブクログ

SFの巨匠スタニスワフ・レムの名作。『エデン』、『ソラリス』と並ぶ、ファーストコンタクト三部作の一角。国書刊行会"スタニスワフ・レム コレクション"より、ポーランド語原典から訳された新訳版が発売されたので、この機会に手に取ってみた。

琴座の惑星レギスIII着陸後に消息を絶った宇宙船コンドル号を捜索するため、姉妹機であるインヴィンシブル号がレギスIIIに降り立つ。この砂漠で覆われた惑星で乗員らが目にしたのは、荒廃した"都市"の跡、そして"何か"の襲撃を受けて沈黙したコンドル号だった。コンドル号に一体何が起こったのか。この"砂漠の惑星"が抱える秘密とは――――。

「未知の惑星で目の当たりにする、想像を超えた"進化"。」

本作では、『ソラリス』で描かれた「宇宙生命体=意思疎通の出来ない異質な存在」というスタンスが継承されている。そこに人類が考えるような"敵意"はなく対峙すべき理由もないのに、"仇討ち"と息巻く乗員に違和感を抱く主人公の姿が、レムの宇宙生命体観をよく表しており印象的。

「宇宙生命体=意思疎通の出来ない異質な存在」と、作品のテーマとしては『ソラリス』と同様だが、作風は「"静"の『ソラリス』、"動"の『インヴィンシブル』」といった印象。コンドル号を襲った謎に迫るスリリングな展開から、現れた"未知の存在"との壮絶な戦いと、非常に映画映えする内容となっている。(個人的には、『ソラリス』の方が好みだったが。)

巻末には、本作への理解を深めることが出来る非常に良い解説が付いているので、本編で終わらず最後まで目を通してもらいたい。

1
2022年05月20日

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