島田裕巳のレビュー一覧
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特定の宗教団体を取り上げるというよりは歴史的な流れからの日本政治との関わりを述べているように読めた。平明に書いてくれているので読みやすい。
タイトルの政争に関わるとなると真打ちは創価学会となるだろう。大本教の場合は弾圧で政争でもない気がするし。
戦争に負けた事で神格化された天皇が無くなった事が荒廃を極めた日本における第二の新宗教の勃発となり人々の拠り所となっていたのだろう。高度経済成長期に創価学会が力を伸ばした事(他の団体も同様ではある)、日本の経済的転落が人口減少に結びつき団体の弱体化となった事から見るに政治の票集めとして機能しなくなった場合どの様な顛末に至るか気になる。 -
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帝国は領土拡大のため宗教を利用し、宗教は信者獲得のため帝国を利用してきた。本書は、この二つの関係性をかつての帝国を示しながら紐解く。しかし、帝国にも宗教にも内在する「拡大性の本能」は何ゆえか。一人で静かに信仰し、ありのままの領土で満足する国家にはなり得なかったのか。この両者における人間の性欲にも通底する「拡大と支配」の論理が知りたかった。
しかし、書かれるのは来歴とそこに偶発的に発生し、その偶発性を当時の利害関係で構造的に捌いてきた、ある種の連鎖反応のみだ。恐らく、生物のみならず、組織や信仰が拡大本能を持つのは、競合からの支配に対する、ゲーム理論のような状況だ。やらねばやられ、支配される。地 -
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十大宗教とそれに関連する宗教を記述することで結果的に多くの宗教について解説していたが、例えば白光真宏会は入っていなかった。他の宗教から分かれた、連携したということがあまりない宗教は入れづらかったのかもしれない。あとは有名どころでも、阿含宗、オウム真理教、幸福の科学などはあまり記述なし。
気になったところのメモ。
・新宗教:キリスト教系以外は仏教or/and神道の影響をほぼ受ける
修験の影響を受けた宗教も多い
・真光:野口整体の愉気と活元を宗教的に解釈
・世界救世教系:聖地建設、自然農法への関心
・天理教から璽宇まで:神道系
⇔
・高度経済成長期に巨大になった霊友会、創価学会、立正佼成会など -
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人類がこの2千年足らずの間に複数の帝国を築き、そして滅亡を繰り返したその背景には、宗教の存在が大きく関わっている。日本には神道があり、古くには仏教やキリスト教が外部から入ってきたが、現代社会に至るまで日本の統治に宗教が大きく影響したとは言い難い。日本が海を隔て他国との接点が少なく、侵略されにくい位置にあったことが幸いし、宗教の力を借りずとも統制しやすかった事に起因するだろう。海外を見るとどうであろうか。ユーラシア大陸、ヨーロッパと陸続きで遊牧民などが馬を駆り攻め入ってくるような地域においては、支配者が次々と入れ替わり帝国化するに至っては、支配に宗教の力は大いに役立ってきた。
本書は主に世界三大 -
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島田裕巳(1953年~)氏は、東大文学部卒、東大大学院人文科学研究科博士課程満期退学、放送教育開発センター(現・メディア教育開発センター)助教授、日本女子大学教授、東大先端科学技術研究センター特任研究員等を経て、東京女子大学非常勤講師。宗教学者として、宗教に関連する一般向け書籍を多数執筆。
私は従来、死生観に関わる本をよく読み、著者の本でも、『「日本人の神」入門』、『人は死んだらどこに行くのか』、『無宗教こそ日本人の宗教である』等を読んできたが、アラ還世代に入った数年前から、人生後半の生き方を説いた本も読むようになり、本書を手に取った。
本書は、人生100年時代と言われるようになった現代におい -
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柴田錬三郎が言ったように日蓮は「法螺吹き」ではないか?良観との「祈雨対決」仏教者が「7日のうちに雨降らば弟子となろう」と思い切った挑発を言うだろうか。自伝的文章にあるといっても疑わしい(と思う)。女性信徒への情感溢れる書簡が有名だが、ほとんど色気なし。自ら「なぜ正しいことを主張して迫害される」と苦悩する人間像。対蒙古防衛体制に邪魔者なのを無自覚。
鎌倉から佐渡へ流罪。佐渡で曼荼羅を書き上げたところで小説は終わり。 名脇役の源空丸は、佐渡で怪我をして亡くなりその際、日蓮が念仏を唱えたのはちょっと不思議
〇法門上は、本尊は最重要の争点。
佐渡始顕本尊は実在せず(だから「文字が金色になった」と空想 -
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宗教学者が日本の8ヵ所の「聖地」と呼ばれる場所についてその歴史やしきたり、現代の立ち位置などを解説している。
比較的近代に創設された天理教本部のような場所から、神話の時代にまで由来が遡る沖ノ島など歴史の深さも様々。現代でも宗教上の重要な拠点だったり、パワースポットと呼ばれて観光客を呼び込む場所もあり、訪れる人たちの目的もまた多様化している。
各地にあるしきたりや「封印」、伝統行事は誰がいつ、どのようにして決めたのだろうと思う。後の世の人達に不要と判断されればなくなってしまうものが今でも続いているのには、それだけ人々を惹き付ける物があるからだろう。 -
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宗教対立、と一言で括ってしまうことの危険性を説いた本だと感じました。
宗教というと、どうしても、どこかスピリチュアルなものだ〜と距離を置いてしまうというか……また、信仰というものの強さと頑なさを知っているからこそ、思考停止になってしまっていた面もあったのだなと実感させられました。
時代に即して利用されたり、隠れ蓑にされたり、拠り所にされたりしてきている宗教。姿形を変えながら歴史に現れている宗教を、単純に理解しようとしてはいけない。でも、理解し切ろうとするとあらゆる分野の知識が要るからメチャメチャ難しい……!というもやもや。
タイトルで、「わかる」と「かわる」の対比なのは何故なんだろうと考えて
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