望月哲男のレビュー一覧
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▼えぐいです。トルストイさん。
▼「イワン・イリイチの死」は、俗物の役人(貴族なんだっけな)が結婚して働いて子供もできて出世もするけど中年?初老?で病を得て死ぬ。なんだけどこの人がもう、なんのためにどう生きてきたのか、人生が絶望至極の中で病にもだえ苦しむ姿が、もう圧巻‥‥。実にひやりとじめっと冷たくて絶望的な強烈さと突き放したユーモアに包まれる衝撃。
▼「クロイツェル・ソナタ」要するに「嫉妬の余り妻を殺害しちゃった男の回想物語」なんです。19世紀?20世紀初頭?のロシア社会のなかで、この人は別段死刑にならずに数年して社会復帰している。そして、たまたま列車で乗り合わせた若者が、知識ゼロから彼 -
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ネタバレ『イワン・イリイチの死』が特に好きだった。
私もとある病気で、この苦しみから逃れられるくらいなら死んだっていいって思うくらいのお腹の痛みに苦しんだことがあるので、イワン・イリイチの苦しみの描写はとても共感できた。
病気になると、周りは最初は心配してくれていても、そのうちこの嫁のように疎ましく思ったり病気になったことや苦しんでいることが他人への当て付けなんじゃないかと思われたりすることは本当にあるし、病気のせいで周りを暗い気持ちに引きずり込んでしまうこともよくあることだと思う。
自分の人生は間違いだらけだったんじゃないか、こんな時に甘えることができるのは使用人だけなのかとか、なぜ自分だけがこん -
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黒沢明監督の現代映画『生きる』がイシグロカズオ氏の脚本でリメイクされたと聞き、改めて生きるを視聴しよう!と思った矢先に出会った一冊です。
黒沢監督はこのトルストイの短編から着想を得て、死を間際にした男が何を考えるか、説こうとしました。
本作品はその原型として読んでみたのですが、似た展開をしつつ、違うものです。
黒沢映画は、作中で主人公の死を突然挟むことで、観るものに驚きを与える効果を狙ったようにみえます。
前半だけ観ていたら『もしかしたら彼は助かるかもしれない』と思うこともできる。
対して、トルストイはそういった驚きよりも、不可避の死を冒頭数ページで描写します。
助かるかどうかという可能 -
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2068年。シベリアの遺伝子研18に所属するボリスは、かつての恋人へ猥語だらけの手紙をクローン伝書鳩で送りつける。その文面から明らかになるのは、ロシアの偉大な文学者のクローンを造り、彼らが作品を書いたあとに体内で生成される反エントロピー物質〈青脂〉を取りだすという計画。だが全てのクローンから青脂を採取した日、パーティー中の遺伝子研をシベリアの地下に拠点を持つカルト教団のゲリラが襲う。未来のインテリが操る中国語とロシア語のチャンポン言葉、プログラム言語のような猥語、クローンが書いた文体模写小説、歴史改変された1950年代ロシアの狂乱などで組み上げられた、鮮烈なヴィジョンと嗤いの書。
なーんも -
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ネタバレ19世紀当時の帝政ロシアの貴族社会を背景とした物語としての歴史的荘厳さを保ちながら、アンナとリョーヴィンという愛に悩む等身大の人間像を絡めることで、不変的な一大叙情詩かつ一大叙事詩に昇華させたトルストイの古典的名作。光文社の翻訳・編著の妙もあるだろうが、いま読んでも全く古さを感じず面白い。
ヴロンスキーの愛を猜疑しアンナの鉄道自殺で衝撃的に幕を閉じる第7章。これにて終焉としても良かったであろうが第8章のヴロンスキーの自棄的行動やリョーヴィンの啓示的開眼が単なる「不幸な家族にはそれぞれの不幸の形がある」人間模様から数歩抜きん出た深みある印象を与える。 -
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長かった物語もようやく終わりを迎えた。フランス軍は敗北し、生き残ったピエール、ナターシャ、ニコライ、マリヤの結末については読んで確かめてみてください。しかし個人的に印象に残ったのは実は物語の本筋よりも、途中で著者が戦争について、というか戦争にとどまらず歴史論だとか、あげくの果てには宇宙論なんかまで自説をとうとうと述べているところだ。第4巻あたりから徐々にこの形で描かれていたけど、最終巻に至っては分量的に恐らく半分以上、エピローグの第2編に至っては丸々この形式だったので、さすがにこれって小説って呼べるの?と疑問を抱いてしまった。まあ当時としては斬新だったのかもしれないけど、こういうのは物語とは分
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いやー長かった。今年の1月から読み始めて約4か月、文庫本にして3000ページ超えの大長編をようやく読み終えた。実は私、恥ずかしながら本作のことを小説であると思っていなくて、思想書か批評の類だと思っていた(だって普通『戦争と平和』なんて大仰なタイトル、小説につけないでしょ?)のだが、昨年ふとしたきっかけで小説であると認識。帯にある「世界文学の最高峰」との言葉に惹かれ、いつかは読もうとずっと思っていた次第だ。(実は最後まで読むと、最初のカンは一部当たっていたことが分かったんだけど)
1805年のロシア・ペテルブルクでの華やかな社交界の描写で幕を開けた本作。第一部・第一編では大体の主要登場人物が顔を -
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イワン・イリイチの死、病床、介護や会話や苛立ちや自己嫌悪や父の言動やを思い出させた。どういう思いがあってトルストイはこれを書いたのだろう。
クロイツェル・ソナタ、男性に意見を聞いてみたい。
いいとか悪いとかではなく、そういうものなのかどうか知りたい。女性もか。大っぴらに話さない話題だし、女性は女性の、男性は男性の感覚で把握してるだろうからお互いそんなに違うと思っていないだろうから人によって違うくらいに思ってた(少なくとも自分は)。が、これを読んで、一般的な傾向なのか(一般的っておかしいのかもしれないが)、疑問に思った。世の中に性描写がある小説が多いのはそういう背景があるからなのか、、、?入れ -
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ナポレオンによる、ロシアへの侵攻の場面が語られている。宮廷貴族の状況、攻め込まれたロシア地域の状況、決戦地での戦闘の状況が、丁寧に描かれており、興味深く読み進められた。戦場の地図もあり、物語のイメージがわきやすい。
「戦争においてはどんなに深く考察された計画も何の意味も持たず、すべては不意の、予測不可能な敵の動きにどう対応するかにかかっており、戦闘の全体がいかに、誰によってリードされるかにかかっているのである」p86
「結果がどう転がろうが必ず「俺はすでにあの時に、こんなふうになると言ったんだ」という者たちが現れる」p215
「(略奪禁止命令)そうした案件はすべて火にくべたまえ。(味方が)麦