望月哲男のレビュー一覧

  • 死の家の記録

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    1861年 40歳  第16作。

    死の家の記録は、ペトラシェフスキー事件に連座して、反逆罪に問われたドストエフスキーが、1850年1月から54年1月までの4年間を囚人として、頭を半分剃られ、足枷をつけられ、強盗殺人犯や詐欺師や窃盗、農民や貴族、イスラムの異民族から異端のキリスト教徒まで、雑多な人々とともにシベリアの流刑地で過ごしたときの様子を描いた作品。

    ときにはチャバネゴキブリが大量に入ったスープが出てくるような境遇の中で、社会の最低辺の人間と文字通り寝食をともにしながら行った人間観察の記録である。

    ここまでのドストエフスキーの作品では、デビュー作「貧しき人々」が代表作だが、あの「貧し

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    2020年06月26日
  • アンナ・カレーニナ 2

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    1巻に引き続き、引き込まれる展開であった。登場人物の考え方や気持ちの変化の模様を絶妙に表現している。また、貴族や官僚、農民などロシアの生活様式が興味深い。どの階級でも、夕食後にいろいろな活動をしていることは新たな発見であった。面白い。
    「牛馬に引かせるプルークのほうが人の手でやる鋤よりもよく耕せるし、速耕機を使えば効率が上がるということは彼ら(農民)も心得ているのだが、いざとなると彼らはいずれの道具も使うわけにはいかなぬという理由を無数に見つけてくるのである」p268
    「ロシアには素晴らしい土地があり、素晴らしい労働力がある。そして場合によっては、あの道中で立ち寄った農家のように、働く者と土地

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    2020年06月21日
  • 白痴2

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    (意外と重要なことではないかと思うのだけど)この河出文庫版の『白痴』全三冊、表紙がいいですね。本当にイメージどおり。

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    2020年06月17日
  • 戦争と平和1

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    実はこんなに面白かったのか。戦争を描いたひたすら暗く長ったらしい小説だと思い込んでおり、今まで未読であったが、全然印象が違った。第1巻は、前半は貴族たちの財産争いの「平和」な物語から、後半は「戦争」の話といった展開。登場人物が多いので、ノートを取りながら読み進めている。続刊が楽しみ。

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    2020年07月05日
  • 白痴3

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    バフチンの”カーニバル的”という表現が、少なくとも『カラマーゾフの兄弟(途中まで)』と『罪と罰』を読んだ限りでは全然ピンと来なかったのだが、これを読んでちょっとわかるような気がした。入れ代わり立ち代わりのたくさんの登場人物とそれぞれの勝手な、つながりのあるようなないようなエピソードの怒涛。最後の寂寞。

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    2020年02月05日
  • 白痴1

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    江川卓訳『罪と罰』(岩波文庫)に続き、『白痴』はこちら河出文庫の望月哲男訳を選びましたが、(他と比較した訳ではないので絶対評価として)正解。読みやすく、かつ作品のストーリー・テイストに合った訳文と感じます。

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    2019年07月07日
  • アンナ・カレーニナ 3

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    内容も面白いが最後の読書ガイドが素晴らしい
    長編だからついつい以前のエピソードの事を忘れてしまいそうだけどこれを読み事により全体を把握出来大きな流れを失わずにいられる。

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    2018年10月09日
  • 白痴1

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    スピード感溢れる翻訳がすばらしい。『白痴』は展開が速いので、このリズムに乗って読み進められるのはとてもいい。

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    2018年09月04日
  • イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ

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    ●「イワン・イリイチの死」

    トルストイが死んだのは1910年。20世紀に入ってからである。

    シェイクスピアが活躍したのが1600年代で、日本でいえば江戸時代にあたる。にもかかわらず登場人物の言葉や行動が今のわれわれに強く訴えかけてくるのは驚くべきことで、ハムレットなどは、主人公が現代人であってもちっともおかしくない。それがシェイクスピアのすごさであり、普遍性なのだろう。

    ただシェイクスピアの戯曲の登場人物は、王様や王子や女王であることが多くて、これらの人々はわれわれの親類縁者にはあまりいない類の人々であるから普段どんな生活を送っていたかとなると、ほとんど知るところがない。別種の階級、別種

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    2017年12月04日
  • アンナ・カレーニナ 3

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    ぐいぐい引き込まれる面白さがある。
    長編だが、「だれる」感じが全くない。

    本巻巻末の解説は、本書のみならず読書一般に深みを与えてくれるものかもしれない。

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    2016年10月28日
  • アンナ・カレーニナ 2

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    ロシアの広大な自然も、貴族達の愛憎模様も、実に活き活きと描かれている。

    アンナとリョーヴィンの、見事に対比されたダブルストーリー。
    2人ともどこか「あやうさ」が漂い、見ていてハラハラしてしまう。

    続刊もあっという間に読み終わってしまいそうである。

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    2016年11月21日
  • アンナ・カレーニナ 1

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    19世紀後半のロシア貴族社会における恋愛物語。

    複数の主人公が登場し、各々が様々な恋愛模様を生きる。

    単に恋愛にのみとどまらず、当時のロシアの社交界、貴族秩序、家庭、政治、経済など、多様なテーマが描かれる。

    100年以上前の、異国ロシアにおける物語とはいえ、各登場人物の心の動きなどは、非常にリアリティのあるものとしてこちらに迫ってくるようである。

    訳文はとても読みやすく、次巻以降も楽しみでならない。

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    2016年09月26日
  • アンナ・カレーニナ 4

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    トーマス・マンが完璧な小説といった意味が分かる。紛れもなく、今まで読んだ本の中でベスト。
    カラ兄のように宗教臭くない。難しい小説、ではなく、全てが書いてある小説、と思った。
    何より面白い。し、細部が本当にリアル。
    心理過程の描写が、プルーストほどには長くない。

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    2016年01月31日
  • アンナ・カレーニナ 4

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    4巻の長編だったけど、読み進めるほどどんどん面白くなった。またいつか読み返すだろう。

    生き生きと描かれている。説得力のある心理描写や比喩が面白い。
    それぞれの性格からはっきりと人生が分かれ、その人の個性と思考が露呈していく。

    リョーヴィンの気持ちがその時あった出来事によってころころ移り、かわいい感じもする。素直と頑固。
    義父のクラブの話で、ぶよぶよ卵というのを表現がおかしかった。

    リョーヴィンは生きる意味とは何かと哲学的に考えようとしたりする。でも答えが出ない。そしてある時、知る。
    リョーヴィンは生きる意味とは何なのかを知る。だからといって生活は今までと同じだ。だけど、知ったことでリョー

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    2016年02月08日
  • アンナ・カレーニナ 3

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    面白い。それなりの長編だけど、おもしろさは変わらない。あと一冊だ。どうなることやら。
    読み終わったら、映画を観る。

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    2016年01月24日
  • 白痴1

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    自分はこの小説の主人公ムイシュキン公爵を"あの程度の人物"と言う大江健三郎が嫌いだ。誰とでも屈託なく接し、銃殺刑やギロチン刑にされる囚人のプロファイルを行い、自分を白痴と侮る人には決然と対処する、政略結婚の犠牲にならんとする女性を解放する、自分はそんなムイシュキン公爵が大好きだからだ。初めて本当の人間を見た、と言われるぐらいのヒトは中々いない。彼が莫大な遺産の継承者であることが分かり、ナスターシャの結婚話をぶち壊してからの人間関係が見もの。相手を見て態度を変える、或る種の人間の本質をズバリ突く一文がある。

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    2015年09月06日
  • 白痴2

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    第1巻がムイシュキン公爵とその影ロゴージン、更にはエパンチン家の秘書ガヴリーラという3人の男対ナスターシャの"恋の空騒ぎ"ならば、第2巻はムイシュキン公爵とガヴリーラ、そして途中から将校ラドームスキーの3人対アグラーヤのそれに変わり、あろうことかナスターシャがそこに介入するという、バブル期のトレンディドラマ真っ青の構図、結核で余命幾ばくもないイッポリートの自殺未遂が次のステージを用意するが、ナスターシャもアグラーヤも真意が図りかねて、無垢なムイシュキンが浮き立つばかり。つくづくロゴージンは人間臭い奴だ。

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    2015年09月06日
  • 白痴3

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    ムイシュキンとナスターシャが互いに補完して、其々の生い立ちを乗り越える未来。ここまできた読者には、そんなことを夢想させる。でも2つの三角関係が、それも2人の女性の真意が表に出ないまま深く静かに進行し、ラストの悲劇へと繋がる。美しき我らがヒロインがあんな啖呵を切った上に迎える運命。ロゴージンもまたムイシュキンを補完する存在だから、自分は責める気になれない。轟音、叫び声、絨毯に散った高価な破片、驚愕、動転-コレでも表しきれないムイシュキン公爵の状態って?満場の悲鳴って?紛れもなくドストエフスキーの傑作の1つ。

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    2015年09月06日
  • 死の家の記録

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    去年も読んでいたか。何度読んでも、いつ読んでも新鮮だ。
    ドストエフスキーにとって、教育を受けたことのない人間のあいだで生活するのは、違う国で暮らすようなものだったろう。初めのうちは、違う星に来ちゃった感があったな。

    読んでいるあいだ、人間のあらゆる可能性を夢見たのがダンテの「神曲」で、眼前に現れた人間のあらゆる可能性を描いたのがドストエフスキーの「死の家の記録」だと感じた。

    日本が江戸時代をやっていた頃に、こんなに素晴らしい文学作品が生まれていたなんて、信じられない。

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    2015年01月09日
  • イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ

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    和訳ですらこれだけの迫力.面白い.
    クロイツェル・ソナタでの独白もなぜか妙に説得力を感じる.音楽の力をネガティブに書きつつ高く評価しているようなところには,なるほどと思った.

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    2014年01月09日