望月哲男のレビュー一覧
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「イワン・イリイチの死」
死ぬ間際に、自分の人生が迫ってくる。
自分のやってきたことに心が裁かれる。
どのような涙をながすことになるのか。
ごまかそうとしても、ごまかしきれない。
その迫力を堪能できる作品だと感じた。
描かれた人間の利己的な心が、滑稽ですらある。
この滑稽さに気づかないなんて、物事の本質を見ようとしなかったつまらない人生だな。と思ってしまう。
自分は特別な存在で、死ぬとは思えない。そんなイワン・イリイチの死生観は幼稚だと感じる。
今まで人の死を見たことはなかったのか。
そこから何も感じなかったのか。
ついそう思ってしまう。
しかしそれに対する答えは、初めの部分で彼の同僚たちが -
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ネタバレアンナは社交界からは遠ざかっていても豪邸で何不自由無く暮らしており、知人からは慕われて美貌も衰えない。庶民の自分から見ると何をそこまで悲観して死に至るのかどうもピンとこないのたけど、アンナにとってのアイデンティティはヴロンスキーの愛に立脚していて、それが翳った時点で存在意義を無くしてしまったのだろうとは理解できる。
しかしヴロンスキーはリョーヴィンのようにせっせと領地経営に勤しむでもなく、愛人を伴って田舎や都市に豪邸を構えて優雅に趣味に生きて、画家のパトロンになろうもいう裕福ぶり。
当時の貴族の豊かさの仕組みがやっぱりピンとこない現代庶民の私。
一方リョーヴィンは、何のために生きるのかをず -
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最近ポストモダン文学にハマってる。この作品はその系統だと思う。前衛的というか実験的というか、兎にも角にもはちゃめちゃって感じ。ストーリーの筋自体は複雑ではないと思うが、書き方が複雑かつ、独特の文体でついていくのが困難。もうその文体や造語自体を楽しむしかないって作品。
小説を書くことで青い脂(青脂=せいし=精子)という奇抜なアイディアも斬新でよき。そういう小説内小説の入れ子構造も楽しい。ロシアの文豪が次々と出てき、各作家の文体に合わせて小説も書かれていた。ナボコフが一番好き。比喩表現が面白いから。
それぞれの作家を読んでいて、ある程度理解があればもっと楽しめたと思う。
怒りから子どもが生まれてく -
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昨年夏にみた映画「生きる」カズオ・イシグロ版がとても良くて気に入る→お正月にそのオリジナルである、黒澤明の「生きる」を見る。なんかすごい話だな、志村喬の目の演技すごいな…。これの元になった小説があるんだ、しかもトルストイなのか→この本に辿り着く。
こんな流れで読み始めた。
トルストイは実ははじめて読んだ。
戦争と平和、アンナ・カレーニナ。
ドストエフスキーと並ぶ長大重厚露文作家である。
私は長大も重厚も得意ではなく、読めた露文は、ツルゲーネフ(でももう忘れた)、チェーホフ(同じく)、プーシキン(面白かった)くらい。
本書はトルストイの後期の中編が二本という構成。
◯イワン・イリイチの死