望月哲男のレビュー一覧

  • 戦争と平和2

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    アウステルリッツの戦いで挫折を味わい、奇跡的に帰還したアンドレイに待ち受けていた妻の悲劇。クラーギン公爵の娘と愛のない結婚をし、案の定奔放な妻がやらかした不義に怒りドーロホフに決闘を申し込み、あげくの果てにはフリーメイソンに入会してしまったピエール。そのドーロホフは求婚に失敗し、ニコライはドーロホフに賭博で大負けし・・・といった感じで、第二巻では登場人物たちがいよいよ本格的に動き出し始めた印象だ。彼らの中ではやはりドーロホフがヒール役ながらもどこか間抜けでカッコよく、魅力的に思えた。

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    2022年04月18日
  • 戦争と平和1

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    いやー長かった。今年の1月から読み始めて約4か月、文庫本にして3000ページ超えの大長編をようやく読み終えた。実は私、恥ずかしながら本作のことを小説であると思っていなくて、思想書か批評の類だと思っていた(だって普通『戦争と平和』なんて大仰なタイトル、小説につけないでしょ?)のだが、昨年ふとしたきっかけで小説であると認識。帯にある「世界文学の最高峰」との言葉に惹かれ、いつかは読もうとずっと思っていた次第だ。(実は最後まで読むと、最初のカンは一部当たっていたことが分かったんだけど)
    1805年のロシア・ペテルブルクでの華やかな社交界の描写で幕を開けた本作。第一部・第一編では大体の主要登場人物が顔を

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    2022年04月17日
  • スペードのクイーン/ベールキン物語

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    200年近く昔の作品とは思えないくらいおもしろい。

    特に短編5篇からなるベールキン物語の中の『吹雪』のプロットが、近年の映画でよくあるように、時間軸が行ったり来たり入れ替わってドラマティック。偶然と気まぐれから他人の結婚式で誓いを立ててしまった青年が、「自分には妻がいる」と思い悩む場面は、誓約が重要なキリスト教社会ならでは、か。日本人だったら戸籍に反映されない限り気にしないだろう。。

    スペードのクイーン
    ギャンブルに取り憑かれた青年が殺人の報いを受ける寓話。
    競馬の三連単で、3-7-1に賭けてみたくなる。

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    2022年04月16日
  • イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ

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    イワン・イリイチの死、病床、介護や会話や苛立ちや自己嫌悪や父の言動やを思い出させた。どういう思いがあってトルストイはこれを書いたのだろう。

    クロイツェル・ソナタ、男性に意見を聞いてみたい。
    いいとか悪いとかではなく、そういうものなのかどうか知りたい。女性もか。大っぴらに話さない話題だし、女性は女性の、男性は男性の感覚で把握してるだろうからお互いそんなに違うと思っていないだろうから人によって違うくらいに思ってた(少なくとも自分は)。が、これを読んで、一般的な傾向なのか(一般的っておかしいのかもしれないが)、疑問に思った。世の中に性描写がある小説が多いのはそういう背景があるからなのか、、、?入れ

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    2022年03月20日
  • アンナ・カレーニナ 2

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    髭を蓄えた世捨て人のようなトルストイがここまで繊細で機微ある愛を描けることに感嘆。特に13章のキティとリョーヴィンとの愛が通じ合う瞬間は、これまでのリョーヴィンの葛藤や苦悩や自尊心を深く描いただけに、何とも言えない感動を覚える。一方で寛容が破滅を呼び崩壊が自由をもたらすアンナとカレーニンのさまは面子を重んじる帝政ロシアの貴族社会の世相を映し出しているように感じる。

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    2022年01月23日
  • 戦争と平和4

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    ナポレオンによる、ロシアへの侵攻の場面が語られている。宮廷貴族の状況、攻め込まれたロシア地域の状況、決戦地での戦闘の状況が、丁寧に描かれており、興味深く読み進められた。戦場の地図もあり、物語のイメージがわきやすい。

    「戦争においてはどんなに深く考察された計画も何の意味も持たず、すべては不意の、予測不可能な敵の動きにどう対応するかにかかっており、戦闘の全体がいかに、誰によってリードされるかにかかっているのである」p86
    「結果がどう転がろうが必ず「俺はすでにあの時に、こんなふうになると言ったんだ」という者たちが現れる」p215
    「(略奪禁止命令)そうした案件はすべて火にくべたまえ。(味方が)麦

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    2021年11月22日
  • アンナ・カレーニナ 1

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    古典的名著。活発で気高くも愛への熱情が抑えきれぬアンナとヴロンスキーとの情事の変遷、そして夫の貴族としての面子と誇りを持った仕打ち、一方でキティに振られ傷心のリョーヴィンの立ち振る舞い。文豪トルストイの壮大な時代背景と機微ある人物描写がある一方、大衆向けメロドラマの趣で面白い。

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    2021年11月03日
  • 戦争と平和2

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    ロシア貴族の優雅な生活や戦争シーンの他に、カード博打、決闘、フリーメイソンについてのシーンがあり、ロシア社会の当時の特徴的な一面を垣間見ることができた。登場人物の感情の動きの表現が巧み。

    「自分の好きな人間以外、俺にはどうだっていいんだから。好きな人間のことは命がけで大事にするが、他の連中は、もしも行く手を遮るようなら構わず踏みつぶしてやるさ」p340

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    2021年10月28日
  • 死の家の記録

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    ■死の家で生きる。99%の苦痛と1%の楽しみ。■

    19世紀ロシアの流刑地シベリアでの監獄生活の実態が生々しく描かれる。21世紀の平和な日本に住む僕らには想像もつかない世界が繰り広げられる。
    登場人物がやたらと多いが、本書を通して継続したストーリーや明確な起承転結のようなものがあるわけではなく、章ごとにある程度独立した小話がオムニバス的に進行するため、あまり問題にはならない。

    タイトルから廃人のような暗い無気力な人間ばかり登場するのかと勝手に想像していたが、そんなに悲壮ではない。囚人・看守含め、とにかく癖が強すぎる個性的なキャラが次々に登場する。まるで動物園だ。そんな奴らが一つ屋根の下(塀の

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    2021年05月28日
  • アンナ・カレーニナ 1

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    アンナが生きた時代のロシア
    鉄道の発達(急速な近代化)ペテルブルク=モスクワ鉄道
    農奴解放。
    貴族文学の破綻。。

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    2021年05月20日
  • アンナ・カレーニナ 4

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    モスクワへ移ったリョーヴィン夫妻。臨月を迎えたキティはみんなからあたたかく見守られながら幸せな気分で妊婦生活を満喫している。
    一方のリョーヴィンはいよいよ自分が父親になるのだという重圧で押しつぶされそうになっており、いざ出産という段での慌てっぷり、狼狽ぶりはもはや喜劇のようでおかしかった。
    キティの分娩がなかなか進まず何度もしつこく医者に進捗を確認しては、「もう終わります(もう産まれます)」という返事を「ご臨終です」という意味に勘違いする始末。
    出産という偉業を成し遂げたキティを見て、歓喜の慟哭と滂沱の涙を流しキスをするリョーヴィンの姿はまさに愛そのもので、でもその後に息子と対峙して「子供は何

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    2021年02月17日
  • スペードのクイーン/ベールキン物語

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    小学生の頃嫌々ピアノを習っていた。その先生が強弱記号にうるさくて「そこはアレグロ」「そこはアンダンテ」「そこはアレグロアンダンテよ」どーだってええやん!意味あるんかね! 意味はあったよ。この作者の素晴らしい強弱記号の付け方は、まるでオーケストラのようだ。 今思うといい先生だった。「理解」するまで次の曲にいかないの。技術だけじゃだめ。無駄に楽譜買わせたりしないの。 ところてんみたいな私が弾くようなのは、周りには苦痛なだけなんだよ。読書メーターやっててグラフに変化ないと焦るようじゃ、読書と言えないんだ。

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    2020年12月26日
  • アンナ・カレーニナ 1

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    読むぞー!と意気込んで全巻まとめて購入したのは何年前だったか、すっかり書棚の番人となっておりましたが、突然のこのタイミングで読み始めることにしました。

    「幸せな家族はどれもみな似ているが、不幸な家族にはそれぞれの不幸の形がある。」という書き出しが与えるインパクトがいきなり鮮烈だ。
    1870年代ロシアの貴族社会での愛憎劇で、うまく物語に入り込めるか少し不安だったけど全然問題なかった。徹底したリアリズムの小説なので、それこそ登場人物の全員に感情移入しながら読める。
    猛烈な吹雪のなか汽車を降り、追いかけてきたヴロンスキーとアンナが再会、そこに生まれてしまう愛を確信するシーンのなんと美しいことか!今

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    2021年02月27日
  • 青い脂

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    ロシア発エログロナンセンス問題小説。一部の人に熱狂的支持を受けるタイプの本。ロシア文豪をクローン化(全然似てない)したり、謎宗教団体が大地と性交したり、スターリンとフルシチョフが性交する。

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    2020年11月15日
  • イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ

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    面白い。人の心というものが、現代でもあまり変わっていないのがわかる。トルストイという作家の凄さというのもよく感じられる短編。日本でいうと明治時代ということも加味するとより楽しめる。

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    2020年01月21日
  • 青い脂

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    現代ロシア文学のスター、いや、スターと言うよりはモンスターと評される若手作者の長編小説。こーれーはヤバイです。ヤバ過ぎて、何度も挫折しかけてやっとの思いで読み終えました。人生で一番読むのに苦しんだ作品と言っても過言ではないかもしれない。前衛アート?奇怪なスラング、文豪のクローン、エログロスカトロ何でもござれ、極め付けはスターリンとフルシチョフの濃厚な濡場。読むのに並々ならぬ体力が必要です。

    你好、私の優しい坊や。やっとお前がくれた書を読み終えた。正直に言おう。一文字目から腐っている。これを書いたのはどこの醜悪な気狂い野郎だ?おかげで私はMバランスを7ポイント失った。マイナス=ポジット。後はた

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    2018年10月17日
  • アンナ・カレーニナ 4

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    ここまで不幸な終わり方の「恋愛小説」は初めて。(そういうジャンルはそもそもあまり読んでないけど。)
    20世紀以降を生きるものとしては、人間の行動パターンをどうしても「進化的に安定な戦略」かどうかとして見てしまう。嫉妬に狂うくらい優秀な遺伝子を持つブロンスキーのタネを何としても手に入れるぞ、というプログラムが発動すると、アンナのような奇怪な人格になるのかしら。。
    キティのようなわかりやすい人格の方がホッとする。

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    2018年08月21日
  • アンナ・カレーニナ 3

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    アンナさん、生まれてくる時代を間違えた?
    21世紀だったら、この生き方全然ありのような。
    あるいは、それならそれで、もっと破天荒になってんのかな?
    まともな感想は最終巻で。

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    2018年08月17日
  • 白痴3

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    ドストエフスキー(1821-1881)の後期五大長編のうち『罪と罰』に続く二作目、1868年。『罪と罰』がラスコーリニコフらにより思弁的な哲学議論が展開される思想小説であるのに対し、『白痴』は一般には恋愛小説として括られる。しかしそこで描かれている恋愛は、もちろん単なる男女の抽象的な交情というだけではなく、当時のロシア社会の歪んだ病的な相貌を――さらには近代という時代精神が必然的に到り着かずにはおれない或る種の地獄の姿を――映し出す鏡の役割を果たすことになる。

    物語では、多数の登場人物の感情や思惑が複雑に錯綜する。それぞれの感情の細かな動きを正確に追うことすらも難しく感じられた。ナスターシヤ

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    2018年07月23日
  • アンナ・カレーニナ 1

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    流石のトルストイ先生代表作。「戦争と平和」の次に読んでいるが、テーマは違っても、心理描写の超絶さは変わりません。

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    2018年07月18日