望月哲男のレビュー一覧
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第2部第3~5編を収録。舞台は戦場から貴族社会へと移り、青年たちの恋愛と結婚についての騒動が描かれる。
人生の新たな局面に取り組むアンドレイとピエールだったが、虚飾に満ちた社会にぶち当たり、それぞれに行き詰まっていく。直接からむ場面は少ないものの、この二人の友情は強いものに育っており、アンドレイが旅立つ際、ピエールのことを「黄金の心の持ち主」と言って評価するのが印象深い。
本巻で最大の見どころはナターシャがとる行動とその顛末。オードリー・ヘップバーンの映画ではナターシャの行動が唐突で意味不明に思えて、彼女が軽率で悪い女にしか見えなかったのだが、原作ではそこに至るまでの状況の経緯や心境の変化 -
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第1部第3編と第2部第1~2編を収録。戦場から戻ったアンドレイとニコライ、遺産相続後のピエールの苦悩。
ボルコンスキー家における求婚騒動では、マリヤの下す決断に感動。美人の軽薄さと、不美人の美しい心根。人間、何が幸せなのかと考えさせられる。
いっぽう兄のアンドレイはアウステルリッツの戦いで負傷する際、至高体験のような精神的な啓示を得る。戦争と死を目の当たりするなかで、見上げていたナポレオンを俯瞰するまでに至る心の変化に目を見張った。
陰キャで目的観のない青年ピエールは、転がり込んできた金と権力で美女と結婚はするものの、うまくいかず結局すべてが行き詰まることに。自らの生き方を見出すべく根源 -
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19世紀初頭、ナポレオン率いるフランス軍との戦争を背景に、国難に立ち向かうロシアの人々を描く長編小説。
全6巻ある本訳の第1巻は、社交界を舞台に5つの家族の人物紹介が行われる第1編と、ロシア軍とフランス軍との交戦が描かれる第2編を収録。
第1編では、社交界を描いた小説ではありがちだが、とにかく登場人物の数が多くて把握するのが大変。本作では500人以上の人物が登場すると事前に聞いていたので、最初からメモを取って読んでいくと、混乱することなく楽しめた。個性的なキャラクターと興味をひく人間関係、そして井戸端会議的な会話がリアルで面白い。群像劇的でもあるが、未だ将来を決められない青年ピエールくんの -
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戦争はクライマックスを迎え、ナポレオンがモスクワを占領してから退却していく様子を描いている。さまざまな関係者がさまざまな思惑を持って行動している様子が面白い。立場の違うそれぞれの人物を詳細に描いている筆力はすごい。
「リンゴが熟すまでは木からもいではいけない。熟せばリンゴはひとりでに落ちるのに、未熟なうちにもぐと、果実も木も傷めてしまい、おまけに自分も酸っぱい思いをすることになる」p521
「(人は期待にそぐわぬ情報は無視してしまう)だからクトゥーゾフは、自分が望む情報であればあるほど、それをあえて信じまいと自制していた。この問題に彼は自己の精神力のすべてを注いでいた」p524 -
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華やかな上流社交会で繰り広げられる、人々の付き合いの中での人間関係や登場人物の気持ちの変化が面白く、絶妙な物語展開に引き込まれた。
「自分にはかかわりのない事柄については、冷静なる観察者であるべきなのだ」p68
「私は自分がこの相手より上だと意識しているので、そのせいで相手よりはるかに劣った振る舞いをしてしまう。こちらが無礼な言動をしても相手は寛大に聞き流しているのに、こちらは逆にますます相手を見下すという始末だ」p72
「(狩猟犬)私なんかの出る幕かね! あんたがたの犬ときたら、犬一頭の値が村ひとつというような、何千ルーブリもする奴ばかりじゃないか」p239
「敵の砲火を浴び、何もできない -
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悲しみと驚きの第7部
心に残る第8部
読み終えた瞬間の私の感想…
え?これは?
『アンナの終わりとコンスタンチン・ワンダーランド』じゃないの!
なぜ?なぜトルストイは、この小説のタイトルを『アンナ・カレーニナ』としたの?
トルストイ先生、もっと他のタイトルあっただろうに…と考えつづけていたところ、巻末の、訳者望月先生の解説の中に、ゲイリー・モーソンという人の解釈が紹介されていました。
_題辞は 彼女が自分自身に下した捌きの言葉だとも取れる_
『アンナ・カレーニナ』だからこそ、彼女と相反するその周りの人物や思想、またリョービンの物語に光が差すのです。
悩めるリョービン、悟りを開く -
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5部はとにかくカオスで面白い。
まずはリョービンとキティの結婚式から始まるのだが
リョービンのあの性格ゆえ、そう簡単には行かない。
やはり自分などキティが愛してくれるのだろうか?
思いとどまるなら今だと、キティに告に行くが…
たぶん5分後には仲直り。
式の当日には、シャツを荷物と一緒に馬車で送ってしまったとかなんとかで…花婿大遅刻!
リョービンの兄、ニコライの最後。
看取りのためについて行くと聞かないキティに困惑するリョービン。しかし、キティは、保養所での経験を活かし、ニコライに誰よりもつくし、働く。
その姿にまた己の情けなさに落ち込むリョービン。
そして、私の心配どころセリョージャ!
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ネタバレ3部が300ページ
4部が200ページほどなんですが、
3部は…
リョービンの農業への思いと、草刈り、
カレーニンの政治観ばかりで、まあちょっと大変だけれども、
これがあるがゆえの、後半4部のおもしろさ、エンタメぶりと言ったら!200ページの中にてんこ盛りのエピソードたち。
以下ネタバレ
・アンナ、あれほど約束したのに、家にブロンスキーを呼びつけ、カレーニンと鉢合わせ。
・カレーニン、いよいよ弁護士の所へ。
・カレーニン、早口でまくしたて、舌がもつれて「憔悴」を「そう……ひょう……そうすい」となってしまう
・ロシア一の伊達男(今は自分の口利きで、ボリショイバレエに入団させてやった、可愛いバ -
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社交界から排除されたアンナ、ヴロンスキーと農村生活を送るキティ、リョーヴィンそれぞれの交友関係の描写が面白い。家族にしろ地域社会にしろ地方行政や官僚組織にしろ、システム化されているように見えても結局、動かしているのは人であることがわかる。人であれば、厳格、安定してるようであっても、脆さもあり、そのあたりの微妙な心理状態を上手く描いていると思う。
「「結局、あの時アンナさんが来てくれて、キティは助かったのね」ドリーは言った。「ただしあの方にとっては不運だったけれど。本当に、すっかり逆になったわけね。あの時はアンナさんがとっても幸せそうで、キティは自分を不幸に思っていたでしょう。まったくどんでん