望月哲男のレビュー一覧

  • 戦争と平和3

    Posted by ブクログ

    華やかな上流社交会で繰り広げられる、人々の付き合いの中での人間関係や登場人物の気持ちの変化が面白く、絶妙な物語展開に引き込まれた。

    「自分にはかかわりのない事柄については、冷静なる観察者であるべきなのだ」p68
    「私は自分がこの相手より上だと意識しているので、そのせいで相手よりはるかに劣った振る舞いをしてしまう。こちらが無礼な言動をしても相手は寛大に聞き流しているのに、こちらは逆にますます相手を見下すという始末だ」p72
    「(狩猟犬)私なんかの出る幕かね! あんたがたの犬ときたら、犬一頭の値が村ひとつというような、何千ルーブリもする奴ばかりじゃないか」p239
    「敵の砲火を浴び、何もできない

    0
    2021年11月13日
  • 戦争と平和1

    Posted by ブクログ

    トルストイを読むのは、昨年の「アンナ・カレーニナ」に次いで2作目。最初から重厚な出だしとなっている。前半はロシア貴族の社交場が舞台で、社会の背景がよくわかる。後半は、早くもナポレオンとの戦闘場面が生き生きと描写され、物語にどんどん引き込まれた。読みやすい。

    「富める者が神の国に入るよりは、ラクダが針の穴を通る方が易しい(マタイ福音書19章24節)というあの言葉は、恐るべきほど正しいものです」p240

    0
    2021年10月17日
  • 戦争と平和1

    Posted by ブクログ

    純粋に超おもろい。序盤はじわあげ感・じらし感があって読むの少ししんどいかもしれないけど,戦闘が始まると一気に。

    0
    2021年10月03日
  • イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ

    Posted by ブクログ

    イワン・イリイチの死に際しての内的変動と思考傾向から感じるものは、強迫観念に刈られている人から感じる印象とよく似ている。
    一言でいうところの生きたがり、死を避けようとする強い意思、そのくせどこへ向かいたいのかはっきりしない。生きてどうしたいのかが見えてこない。生きてる間に何をなしたいのかの不明瞭さ。
    目的もないのに、どうして生という手段にそこまで執着できるのか?そこがよく分からん

    0
    2021年08月20日
  • イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ

    Posted by ブクログ

    文学の凄まじさ。どちらの作品も、強烈激烈な、恐怖にも似た感動に震える。
    ある人にとってはとても危険な本である。とにかくトルストイの恐ろしさと素晴らしさに敬服!
    ベートーヴェンとトルストイ、2人の天才が生み出した芸術に、人間としての喜びを感じた数日だった。

    0
    2021年07月04日
  • アンナ・カレーニナ 4

    Posted by ブクログ

    悲しみと驚きの第7部
    心に残る第8部

    読み終えた瞬間の私の感想…

    え?これは?

    『アンナの終わりとコンスタンチン・ワンダーランド』じゃないの!

    なぜ?なぜトルストイは、この小説のタイトルを『アンナ・カレーニナ』としたの?

    トルストイ先生、もっと他のタイトルあっただろうに…と考えつづけていたところ、巻末の、訳者望月先生の解説の中に、ゲイリー・モーソンという人の解釈が紹介されていました。

    _題辞は 彼女が自分自身に下した捌きの言葉だとも取れる_

    『アンナ・カレーニナ』だからこそ、彼女と相反するその周りの人物や思想、またリョービンの物語に光が差すのです。

    悩めるリョービン、悟りを開く

    0
    2021年07月02日
  • アンナ・カレーニナ 3

    Posted by ブクログ

    5部はとにかくカオスで面白い。

    まずはリョービンとキティの結婚式から始まるのだが
    リョービンのあの性格ゆえ、そう簡単には行かない。
    やはり自分などキティが愛してくれるのだろうか?
    思いとどまるなら今だと、キティに告に行くが…
    たぶん5分後には仲直り。
    式の当日には、シャツを荷物と一緒に馬車で送ってしまったとかなんとかで…花婿大遅刻!

    リョービンの兄、ニコライの最後。
    看取りのためについて行くと聞かないキティに困惑するリョービン。しかし、キティは、保養所での経験を活かし、ニコライに誰よりもつくし、働く。
    その姿にまた己の情けなさに落ち込むリョービン。

    そして、私の心配どころセリョージャ!

    0
    2021年06月18日
  • アンナ・カレーニナ 2

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    3部が300ページ
    4部が200ページほどなんですが、
    3部は…
    リョービンの農業への思いと、草刈り、
    カレーニンの政治観ばかりで、まあちょっと大変だけれども、
    これがあるがゆえの、後半4部のおもしろさ、エンタメぶりと言ったら!200ページの中にてんこ盛りのエピソードたち。

    以下ネタバレ

    ・アンナ、あれほど約束したのに、家にブロンスキーを呼びつけ、カレーニンと鉢合わせ。
    ・カレーニン、いよいよ弁護士の所へ。
    ・カレーニン、早口でまくしたて、舌がもつれて「憔悴」を「そう……ひょう……そうすい」となってしまう
    ・ロシア一の伊達男(今は自分の口利きで、ボリショイバレエに入団させてやった、可愛いバ

    0
    2021年06月04日
  • イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ

    Posted by ブクログ

    嫉妬は古今東西普遍的なテーマですよね。

    トルストイの結婚制度、愛について描写。
    キリスト教的価値観との間に生まれる矛盾の描写は非常に印象に残った。

    0
    2021年04月10日
  • アンナ・カレーニナ 4

    Posted by ブクログ

    よかった。××××が最終章で最後に出した結論は半分共感できるが半分は茶番だと思う。でも嫌いじゃない。

    0
    2021年02月08日
  • 戦争と平和3

    Posted by ブクログ

    本巻には戦争の場面は登場せず、もっぱら貴族生活と恋愛模様があらわされている。物語は半分を終えたところであるが、いやはや、やはり、面白すぎる。今まで未読だったのが悔やまれるが、この期に及んで未読であって良かったを思う。他の訳でも読めるが、本訳者のもので思うので、これからのお楽しみは来年までお預けとし、既刊の巻の再読でもするか。

    0
    2020年11月23日
  • 戦争と平和1

    Posted by ブクログ

    ロシア文学といってもいろいろですねぇ。ドストエフスキーとくらべて全然読みやすいしわかりやすい。ただ、登場人物がやたら多くて誰が誰やら混同すること多々あり。古典新訳文庫ならではのしおりはたいへん役立ちました。

    0
    2020年09月24日
  • 戦争と平和2

    Posted by ブクログ

    様々な愛憎劇と時代のうねりとがまじりあって物語が展開していく。シリアスな場面も多いが、視点がどんどん切り替わっていくので、全巻添うように、ノートを取りながらの読書です。

    0
    2020年11月19日
  • アンナ・カレーニナ 3

    Posted by ブクログ

    社交界から排除されたアンナ、ヴロンスキーと農村生活を送るキティ、リョーヴィンそれぞれの交友関係の描写が面白い。家族にしろ地域社会にしろ地方行政や官僚組織にしろ、システム化されているように見えても結局、動かしているのは人であることがわかる。人であれば、厳格、安定してるようであっても、脆さもあり、そのあたりの微妙な心理状態を上手く描いていると思う。

    「「結局、あの時アンナさんが来てくれて、キティは助かったのね」ドリーは言った。「ただしあの方にとっては不運だったけれど。本当に、すっかり逆になったわけね。あの時はアンナさんがとっても幸せそうで、キティは自分を不幸に思っていたでしょう。まったくどんでん

    0
    2020年06月27日
  • 死の家の記録

    Posted by ブクログ

    1861年 40歳  第16作。

    死の家の記録は、ペトラシェフスキー事件に連座して、反逆罪に問われたドストエフスキーが、1850年1月から54年1月までの4年間を囚人として、頭を半分剃られ、足枷をつけられ、強盗殺人犯や詐欺師や窃盗、農民や貴族、イスラムの異民族から異端のキリスト教徒まで、雑多な人々とともにシベリアの流刑地で過ごしたときの様子を描いた作品。

    ときにはチャバネゴキブリが大量に入ったスープが出てくるような境遇の中で、社会の最低辺の人間と文字通り寝食をともにしながら行った人間観察の記録である。

    ここまでのドストエフスキーの作品では、デビュー作「貧しき人々」が代表作だが、あの「貧し

    0
    2020年06月26日
  • アンナ・カレーニナ 2

    Posted by ブクログ

    1巻に引き続き、引き込まれる展開であった。登場人物の考え方や気持ちの変化の模様を絶妙に表現している。また、貴族や官僚、農民などロシアの生活様式が興味深い。どの階級でも、夕食後にいろいろな活動をしていることは新たな発見であった。面白い。
    「牛馬に引かせるプルークのほうが人の手でやる鋤よりもよく耕せるし、速耕機を使えば効率が上がるということは彼ら(農民)も心得ているのだが、いざとなると彼らはいずれの道具も使うわけにはいかなぬという理由を無数に見つけてくるのである」p268
    「ロシアには素晴らしい土地があり、素晴らしい労働力がある。そして場合によっては、あの道中で立ち寄った農家のように、働く者と土地

    0
    2020年06月21日
  • 白痴2

    Posted by ブクログ

    (意外と重要なことではないかと思うのだけど)この河出文庫版の『白痴』全三冊、表紙がいいですね。本当にイメージどおり。

    0
    2020年06月17日
  • 戦争と平和1

    Posted by ブクログ

    実はこんなに面白かったのか。戦争を描いたひたすら暗く長ったらしい小説だと思い込んでおり、今まで未読であったが、全然印象が違った。第1巻は、前半は貴族たちの財産争いの「平和」な物語から、後半は「戦争」の話といった展開。登場人物が多いので、ノートを取りながら読み進めている。続刊が楽しみ。

    0
    2020年07月05日
  • 白痴3

    Posted by ブクログ

    バフチンの”カーニバル的”という表現が、少なくとも『カラマーゾフの兄弟(途中まで)』と『罪と罰』を読んだ限りでは全然ピンと来なかったのだが、これを読んでちょっとわかるような気がした。入れ代わり立ち代わりのたくさんの登場人物とそれぞれの勝手な、つながりのあるようなないようなエピソードの怒涛。最後の寂寞。

    0
    2020年02月05日
  • 白痴1

    Posted by ブクログ

    江川卓訳『罪と罰』(岩波文庫)に続き、『白痴』はこちら河出文庫の望月哲男訳を選びましたが、(他と比較した訳ではないので絶対評価として)正解。読みやすく、かつ作品のストーリー・テイストに合った訳文と感じます。

    0
    2019年07月07日