望月哲男のレビュー一覧

  • アンナ・カレーニナ 4

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    アンナの他人からみた時の美しさの描写、猟の描写、リョーヴィンキティの掛け合い、リョーヴィンの最期の悟りの部分、特に良かった。ありとあらゆるテーマが緻密に書き込まれていていながらわかりやすいダブルプロットでとても読みやすく☆5を付けざるをえない。とても楽しかった。

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    2013年06月21日
  • アンナ・カレーニナ 3

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    ここまでいろいろ盛り込まれてる上に面白いなぁと思うと4をつけれない。他の4と別格ゆえに5しかありえないみたいになる。

    リョーヴィンの童貞臭さがすごく好きだわ。

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    2013年06月19日
  • アンナ・カレーニナ 3

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    トルストイを読んでいる時、同時代のドストエフスキーのことをつい考えてしまう。ドストエフスキーは貧困と底辺の生活に喘ぎながらもその中から無数の声無き声を聞き取り、分裂し矛盾する人間というものを混沌的に暴き出した。それに対してトルストイは、社会に翻弄される個人というものを観察しながら人間が人間として生きようとする感情に寄り添おうとした作家だと言えるだろう。それ故に登場人物の感情の機微は丁寧に描かれ、全編通して唯一副題の付く5部20章でニコライが死に至る描写はその最たる箇所であり、凄惨ながらも祝福的ですらある。

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    2013年05月09日
  • イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ

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    ネタバレ

    幸福の虚妄と言う点で文学の優れた業をみせている。裕福に暮らすロシアの中流階級層の人間が、世俗の欲望を追うこと意外に生きる意味を見出せない時、愛欲、嫉妬、憎悪といった利己心の中で、人間の「幸福」の条件を焼き滅ぼしてしまう、という内容。

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    2012年11月24日
  • アンナ・カレーニナ 1

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    リョービンとキティのパートがよかった。多元的でとても人間臭い。農業、労働、宗教に対する考え方に非常に刺激をうけた。
    一方でアンナとヴロンスキーはまさに悲劇のヒロイン。情熱に浮かされて自分で自分を追い詰めていく様に人間の恐ろしさを感じた。

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    2012年05月16日
  • イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ

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    私の読んだ文庫は『イワン・イリイチの死』と『クロイツェル・ソナタ』の二篇が入っているが、どちらともトルストイ後期の重要な中篇小説。
    『イワン・イリノチの死』は、実在の裁判官メーチニコフの死を知って着想を得たもの。
    トルストイは、イワン・イリイチが、はっきりした死に向かうために生きている数ヶ月を驚くほどリアルに描写している。
    トルストイはリアリティをもって人間の心の奥の穏然たる汚濁を表出させて小説を書く。
    弱って立つことさえもできなくなって威厳もなにもなくなったときでも、妻には頼らず、ゲラーシムという下男だけには素直になり、感謝していた。イワン・イリイチは最悪の孤独をこの健康な下男によって最低限

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    2012年02月02日
  • イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ

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    ここに至るまでの葛藤の軌跡をもっと知りたい。
    「イワン・イリイチの死」は本当にすごい小説だと思った。

    死に至るまっすぐな道のりと感情、死の瞬間、開放。

    「クロイツェル・ソナタ」は愛についてと罰について。

    およそ小説家が書くべきことがこの2編に収まっているという感じを受けました。

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    2012年01月22日
  • アンナ・カレーニナ 4

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    非常に恥ずかしながら、21年の生涯初のロシア文学。

    心のどこかで、いつかは触れるべきだと思っていながら漸く今回、読み終えることが出来た。
    今までの他の作品であれば、読み終えたあとは何らかの気持ちに加えて、読み終えたという達成感のようなものを感じていた。
    しかし今回は違う。
    達成感も感じてはいたが、それ以上に「もうこの作品の世界を味わうことはできない」といった寂しさを感じた。
    本作「アンナ・カレーニナ」を読むにつれ、アンナ、リョーヴィン、オブロンスキー、キティ・・・といった登場人物たちが私の日常生活の一部となっていった。
    彼らと共に過ごした時間をもうこれ以上共有できないと考えると、やはり寂しさ

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    2011年11月05日
  • 白痴2

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     ここでは第2・3部について。
     第1部が終わったのち、2部が始まる前にナスターシャがロゴージンやムイシュキンの所へ行ったらしいのだが、そのあたりの詳細が殆ど描かれておらず、また2部に入ってもなかなか言及されずじれったい。
     また、当時のロシア情勢やキリスト教観について様々に語られるが、生憎その辺りにはさほど興味を持てなかった。その方面に知識が無いことが原因であり、作品を十全に味わえていないのは残念だが・・・仕方ない。

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    2011年11月01日
  • イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ

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    一人の高級官僚が些細な怪我をきっかけに死ぬことになっていくまでの心の描写です。トルストイのスゴイと感じるとこるは、死んでいくまでの間の心の描写を、自分が経験したかのように描いたこと。この作品から感じたが、この世のチープな出世、僅かな金銭、そんなもののために、命を削り家族との触れ合いを犠牲にして生きて行く愚かしさを気付くきっかけになった。世間で成功と持ち上げられているものは、死の前では無力だ。自分が死ぬ時にあの世に持って行けるものは家族との思い出だけだな。

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    2011年09月02日
  • アンナ・カレーニナ 4

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    ブロンスキーとの愛に生きようとしながらも、苦悩し、葛藤するアンナ――。『アンナ・カレーニナ』完結編。

    随分前に読み終わっていたのだけれど、卒論に気を取られていたせいもあって、感想を書くのが遅くなってしまった。
    読み終えたときの感慨をすっかり忘れてしまったことに、自分が一番がっかりしているところ・・・。やはり、感想は本を読んだらすぐ書かなくてはいけませんね。

    とはいえ、『アンナ・カレーニナ』は凄い小説であった。これは多分、間違いないと思う。

    ストーリーだけを見ると、全巻読み終わった今、納得のいかないところも多々ある。
    特にアンナのラストには、やりきれない気持ちが残った。こういう終わり方なの

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    2011年08月05日
  • アンナ・カレーニナ 3

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    ヴロンスキーとのイタリア旅行から帰国したアンナは、どうしても息子に会いたい一心でかつての我が家に戻る――。一方、新婚のリョーヴィン夫妻は、新しい生活をスタートさせるが――。

    2巻の感想で、アンナの心情がさっぱりわからない、と書いたけれど、3巻を読んでいくうちに、それも当然のことだったのかもしれない、と思うようになってきた。
    この巻でも、やはりアンナの行動ははっきりしない。自分が心の内で思っていることと矛盾した行動を取り、時にヒステリックなまでに感情を高ぶらせ、それでも輝くばかりに美しく聡明である。
    彼女自身も混乱しているのだ。どうしたらいいのか、ほんの数時間、数十分先のことさえわからないでい

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    2011年08月05日
  • イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ

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    一見すると「死」をテーマにしているようだが、本当のテーマは「心の目覚め」だ。

    主人公は病床で肉体的苦痛に苛まれながら、苦痛、死、人生の意味など答えのない自問が次々に湧き起こり、精神的にも苛まれていく。

    死の直前になって、ようやく地位、名誉、世間体、経済的な富裕、他者との比較評価など、自分が当たり前のように信じていた人生の価値尺度が全て「間違い」だと気づく。

    凡人を主人公にしたのは、この主人公こそわれわれ読者であり、他人事ではないという著者のメッセージだ。

    死の間際に、まだ「すべきこと」ができると気づいた主人公は、息子が手にしてくれたキスで心が目覚める。

    最後に自分のことを忘れて家族の

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    2011年07月16日
  • アンナ・カレーニナ 1

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    村上春樹の「ねむり」に出てきたので急に読みたくなりました。
    全巻一気によめました。たぶん新訳だからでしょう。
    思った以上に、現代でも通用するテーマ。
    アンナはもっと古くさいヒロインなのかと思っていましたが、
    美人でおしゃれで魅力的なのが新鮮でした。

    鉄道が新しいものとして重要なモチーフとなっているのが、
    かえって時代を感じさせます。

    同じロシアの古典の「カラマーゾフの兄弟」よりは、
    たいくつな箇所がありません。4巻ですが読みやすいので、
    それほど気合いを入れる必要はありません。
    ちょっとはまりたい、そんな時におすすめです。

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    2011年04月13日
  • 白痴1

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     小説を読み始めた頃、それこそ白痴のように読み漁ったドストエフスキーの長編小説。中でも白痴は一番好きだったので、新訳が出ていてとても嬉しかった。
     ムイシュキン(ムィシキン)公爵が列車でペテルブルクに来る所から始まるストーリーは、今まで良くも悪くも保たれていた均衡が崩れ始めるような・・・例えるならジェンガを一本一本抜いていくような緊張感があり、もうわくわくがとまらない。作者は本小説が失敗作だと自分で評していたようだけど、個人的には大満足。
     第一部で印象深いのは、やはり主人公ムイシュキンが持つ周囲の人間を引き寄せる力だと思う。列車の中でのロゴージン、エパンチン家の召使をはじめとして、白痴白痴と

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    2011年02月01日
  • アンナ・カレーニナ 4

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    トルストイの長編小説。非常に文量の長い作品であるが、大変読み応えがあり、さすがは世界の大文豪、と舌を巻いた。

    正直、ドストエフスキーやら何やらこの手の世界文学的古典には手も触れたことがなかったが、本作品を読み、その凄みをありありと感じた。これを皮切りに世界文学の世界に足を踏み入れていきたい。

    *   *   *

    本長編作品に、登場する二人(男女)の主人公、アンナとリョービン、時に二人は光となり闇となり、同じロシアを舞台としながら、全く別の世界をパラレルに生きていく。

    アンナとリョービン、この二人に共通する点は、「自分を偽れない」という点だと思う。ある意味とても純粋素直で、そのため通俗社

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    2010年08月29日
  • アンナ・カレーニナ 4

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    自分はリョーヴィンとキティの筋がメインプロットで、アンナはサブプロットな感覚で読んだ。まあ、アンナの筋の方が心理劇としては鬼気迫るけど、それがメインだと重いから。

    いづれにしろ、社会に生きる人々の様々な行為や決定にまつわる心理が細密に書かれていて、素晴らしい名作だと思った。今も昔も社会や人間の大枠は変わらないもんだな。
    人はひとりでは生きていけない。それで、社会と折り合いをつけ、社会性を持って生きることへの葛藤と救い。そしてまた疑い。ライフゴーズオンで物語は続いていく。

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    2010年07月20日
  • アンナ・カレーニナ 1

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    最後まで読み終わった。
















    思わず、強調しまくってしまうほど(笑)
    いやあ、おととしくらいにカラマーゾフ読んで、そっちには、いや~やっぱり昔の人の考えてることはよう分からんわ~お話やから仕方ないか~、みたいなぬるいテンションで読んでしまったんだけど、アンナは始終、なんたるアクチュアリティー!!!!とコーフンしまくってました。
    日頃自分が考えてるようなことが、分かりやすく適切な言葉で表現してくれてる感覚で、読んでて実に爽快。訳のリズムも好きで、単語の選択とか表現のセンスがほんと良かった。
    や~、私これまで読んだ本の中ではブッデンブローク

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    2010年06月27日
  • アンナ・カレーニナ 3

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    アンナがどんどん嫌な女になっていってさすがにかわいそうだけどアンナの娘もかわいそう…。
    解説がすごく参考になった。

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    2010年02月20日
  • アンナ・カレーニナ 4

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     まさかアンナが自殺してしまうとは。
     そこに至るにあたってのアンナの壊れぶりが凄まじい。ここまで自殺者の心境に迫ったトルストイは、物凄く追い詰められたのではないかと思う。目に映るすべてが「負」としてしか捉えられなくなり、すべてが厭世を引き起こし、自己嫌悪の対象になるアンナ。環境がプロセスを作り上げて結果に至るのではなくて、「自殺」という結果ありきで、そこに至ることを目的にプロセスが意識的にゆがめられていく恐ろしさ。「死が明らかに生き生きと彼女の脳裏に浮かび上がった。死こそ彼の心に自分への愛情をよみがえらせ、彼を罰し、自分の心に住み着いた悪霊との間に行われていた戦いに勝つための、唯一の手段」と

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    2013年02月28日