望月哲男のレビュー一覧

  • アンナ・カレーニナ 4

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    トーマス・マンが完璧な小説といった意味が分かる。紛れもなく、今まで読んだ本の中でベスト。
    カラ兄のように宗教臭くない。難しい小説、ではなく、全てが書いてある小説、と思った。
    何より面白い。し、細部が本当にリアル。
    心理過程の描写が、プルーストほどには長くない。

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    2016年01月31日
  • アンナ・カレーニナ 4

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    4巻の長編だったけど、読み進めるほどどんどん面白くなった。またいつか読み返すだろう。

    生き生きと描かれている。説得力のある心理描写や比喩が面白い。
    それぞれの性格からはっきりと人生が分かれ、その人の個性と思考が露呈していく。

    リョーヴィンの気持ちがその時あった出来事によってころころ移り、かわいい感じもする。素直と頑固。
    義父のクラブの話で、ぶよぶよ卵というのを表現がおかしかった。

    リョーヴィンは生きる意味とは何かと哲学的に考えようとしたりする。でも答えが出ない。そしてある時、知る。
    リョーヴィンは生きる意味とは何なのかを知る。だからといって生活は今までと同じだ。だけど、知ったことでリョーヴィンは喜びを感じる。

    アンナは自分が招いたことだけど、人のせいにして、自分のマイナス思考は被害妄想に近く、自分で自分を追い詰める。だからヴロンスキーなどが何か言っても全部アンナは気に入らないのだ。周囲が間違った考えを正そうとしても嫌がり、フォローしても疑ってかかる。つまり、周囲は全てはアンナのおっしゃる通りですよと否定なしに肯定のみ、愛を捧げなければならないのだ。周囲は間違っているし誤解を解きたいけど、それをするとアンナはまた被害妄想で怒るのだ。早く精神科に行くべき状態。
    なぜそんなに追い詰められていくのか、その心理描写の移ろいがうまい。

    それにしても、最後、了と文字があった時「あら!ここで終わりなんだ!」ってビックリした。

    この小説でリョーヴィンの自分はいったい何なのかの考えを読んでて、私も「あぁ!なるほど!」と思った。そんな話は聞いたことがあるし、そう考えてる人には当たり前のことなんだろうけど、何だか実感したのは初めて。リョーヴィンがぱぁーっと喜んだように自分も同じ気持ちを共有した感じだった。
    多分、リョーヴィンに好感がもてるからだと思う。

    この小説は私の中でインパクトの強いものになった。
    またいつか読み返そう!

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    2016年02月08日
  • アンナ・カレーニナ 3

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    面白い。それなりの長編だけど、おもしろさは変わらない。あと一冊だ。どうなることやら。
    読み終わったら、映画を観る。

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    2016年01月24日
  • 白痴1

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    自分はこの小説の主人公ムイシュキン公爵を"あの程度の人物"と言う大江健三郎が嫌いだ。誰とでも屈託なく接し、銃殺刑やギロチン刑にされる囚人のプロファイルを行い、自分を白痴と侮る人には決然と対処する、政略結婚の犠牲にならんとする女性を解放する、自分はそんなムイシュキン公爵が大好きだからだ。初めて本当の人間を見た、と言われるぐらいのヒトは中々いない。彼が莫大な遺産の継承者であることが分かり、ナスターシャの結婚話をぶち壊してからの人間関係が見もの。相手を見て態度を変える、或る種の人間の本質をズバリ突く一文がある。

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    2015年09月06日
  • 白痴2

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    第1巻がムイシュキン公爵とその影ロゴージン、更にはエパンチン家の秘書ガヴリーラという3人の男対ナスターシャの"恋の空騒ぎ"ならば、第2巻はムイシュキン公爵とガヴリーラ、そして途中から将校ラドームスキーの3人対アグラーヤのそれに変わり、あろうことかナスターシャがそこに介入するという、バブル期のトレンディドラマ真っ青の構図、結核で余命幾ばくもないイッポリートの自殺未遂が次のステージを用意するが、ナスターシャもアグラーヤも真意が図りかねて、無垢なムイシュキンが浮き立つばかり。つくづくロゴージンは人間臭い奴だ。

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    2015年09月06日
  • 白痴3

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    ムイシュキンとナスターシャが互いに補完して、其々の生い立ちを乗り越える未来。ここまできた読者には、そんなことを夢想させる。でも2つの三角関係が、それも2人の女性の真意が表に出ないまま深く静かに進行し、ラストの悲劇へと繋がる。美しき我らがヒロインがあんな啖呵を切った上に迎える運命。ロゴージンもまたムイシュキンを補完する存在だから、自分は責める気になれない。轟音、叫び声、絨毯に散った高価な破片、驚愕、動転-コレでも表しきれないムイシュキン公爵の状態って?満場の悲鳴って?紛れもなくドストエフスキーの傑作の1つ。

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    2015年09月06日
  • 死の家の記録

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    去年も読んでいたか。何度読んでも、いつ読んでも新鮮だ。
    ドストエフスキーにとって、教育を受けたことのない人間のあいだで生活するのは、違う国で暮らすようなものだったろう。初めのうちは、違う星に来ちゃった感があったな。

    読んでいるあいだ、人間のあらゆる可能性を夢見たのがダンテの「神曲」で、眼前に現れた人間のあらゆる可能性を描いたのがドストエフスキーの「死の家の記録」だと感じた。

    日本が江戸時代をやっていた頃に、こんなに素晴らしい文学作品が生まれていたなんて、信じられない。

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    2015年01月09日
  • イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ

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    和訳ですらこれだけの迫力.面白い.
    クロイツェル・ソナタでの独白もなぜか妙に説得力を感じる.音楽の力をネガティブに書きつつ高く評価しているようなところには,なるほどと思った.

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    2014年01月09日
  • 死の家の記録

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    作家、ドストエフスキーが体験した『シベリア抑留』を基にして描かれた小説で、規格外の囚人たちに囲まれる作者の分身の孤独さと、「地獄の沙汰も金次第」という身も蓋もない『真実』を突きつけられてしまいました。

    本書は作家、ドストエフスキーが『ペトラシェフスキー事件』に連座し、1850年1月から54年1月までの4年間を西南シベリアはオムスク要塞監獄の獄中体験が下敷きとなって著された作品です。

    タイトルにある『記録』というのはノンフィクションというわけではなく、実体験ベースのフィクションとも言うべきで、実際に時間や空間の構造はもちろんのこと、本書の中に出てくる囚人や彼等を取り仕切る側の人間にも、事実とは合致しながらも、ところどころは加工を施して記されており、その重厚さは読んでいて圧倒されてしまうほどのものでありました。主人公であり、また全体の語り部であるアレクサンドル・ペトローヴィチ・ゴリャンチコフは妻殺しの罪で10年の懲役生活を送り、出所後は入植者としてひっそりと余生を送っていたのですが、その彼の死後に、発見されたという手記の中にゴリャンチョフが獄中で体験してきた出来事の数々が綴られているという設定でありました。

    塀の中では貴族と一般の囚人とは埋めがたい溝というものがあるらしく、ゴリャンチョフの最後の最後までことあるごとにこれによって苦しめられるのです。この部分にどうやら時を越えたある種の『普遍性』があるみたいで、堀江貴文氏が出版した獄中体験記の『刑務所なう』にもそういうニュアンスのことがそういえば描かれていたなと、そんなことを考えておりました。

    ここに出てくる囚人たちもこれまた規格外の人物ばかりで、快楽殺人鬼のガージンや、政治犯でイニシャル表記されているポーランド人たち。金貸しのユダヤ人や、チェルケス人。ありとあらゆる人種が雑居房にひしめき合い、餓えや寒さ、シラミやノミと始終格闘しながら互いのことを豊富なレトリックで罵りあい、殴り殴られする様子は本当に殺伐としていて、空恐ろしささえ感じるのでありました。

    さらにびっくりしたのは囚人たちの間で酒が売買されているということで、外部と連絡をとりながら様々な方法で酒が持ち込まれ、法外な価格で取引されている。この現実には度肝を抜かれ、彼等の酒に対する強いこだわりが本当によく理解できました。獄中という閉鎖的な環境で繰り広げられるのは、抑圧的な環境における単純で息苦しいまでの日常から、囚人たちが押し合いへしあいしながら浴場で体を洗う異様な熱気。後の小説群に出てくる登場人物の原型とも言うべき囚人たち…。

    刑務所に入るというのは、出来ることならあまり経験したくないものですが、ドストエフスキーはこの囚人生活と兵役を課せられたことにより、かつて自分が持っていた思想とある種の『訣別』を果たすことが出来た…。そういった意味では彼にとって『通過儀礼』だったのかもしれませんが…。それにしても、なんという過酷な試練を彼に与えたものだなぁと、改めてそう思ってしまいました。

    不条理の極みともいえる獄中での体験。それを綴ったものに自分がなぜこうも惹かれるのか…。それはまだうまく答えるのは僕にとってなんとも難しいものでございました。

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    2013年10月13日
  • イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ

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    本当にこの人の本は本を読んだという
    思いを私たちにさせてくれます。
    ロシア文学は難しいなんて
    言われますが、そうではないと思います。

    どちらも「死」がテーマとなる作品です。
    特に後者は妻殺しをした男の
    告白となります。
    だけれども、そこまで至る経緯は
    ここまで極端ではないものの
    誰しもが抱いたことのある
    感情ばかり。

    結婚前に読むか読まないかでも
    だいぶ違いそうな本です。

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    2013年08月31日
  • アンナ・カレーニナ 4

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    ロシア文学に早く出会えなかったことに
    本当に損をしたな、と感じました。
    人生における事柄が網羅されています。
    恋、苦悩がそこに。

    確かにアンナのとった行動は
    世間一般では相容れられない行為です。
    だけれどもそれを頭ごなしに批判することは
    出来ないと思います。

    誰しも、アンナほどではないですが
    大きい、小さいに関わらず
    道に外れてしまう、というのは
    少なからずありますので。

    目先の出来事からの逃避も
    その1つかと思いますので。

    そしてリョーヴィンに関して。
    彼の苦悩も本当に分かります。
    でも、それに気づいたのは
    大きな成功ですね。

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    2013年07月31日
  • アンナ・カレーニナ 3

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    一番長い巻でしたが問題なく読めました。
    やっぱり面白いね。
    ロシア文学は長くて、難しい。
    そんなイメージばかり抱いていましたが
    全然。面白いじゃないですか。

    きっとキティーとリョーヴィンが光
    アンナとヴロンスキーが闇なんだと思います。
    そして終盤のそれは光と闇の迎合。

    最後はどうなるのでしょうか。

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    2013年07月23日
  • アンナ・カレーニナ 2

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    はじめはこのページの多さに辟易しちゃう。
    でもいったん読み始めてしまうと
    そのコメントはどこへやら、になっちゃう不思議さ。

    扱っている世界が社交界という
    貴族の世界なのもやはり惹かれる理由かな。
    普通では体感できない世界というのが。

    私はメインのアンナよりも
    不器用で、時に意見を言うときにも
    何かと後悔ばっかりしている
    リョーヴィンが好きです。

    農業経験のある私は
    この描写は全然退屈じゃなかったなぁ。
    人によっては退屈かなぁ。

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    2013年07月19日
  • アンナ・カレーニナ 1

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    この本は実はタイトルの女性は
    少しページを読み進めてこないとでてきません。
    いきなりすごいことになるわけではないので
    そこのところ、お間違えなく。

    本当に文章が巧みに尽きる作品です。
    ロシア文学と聞くとクソ難解という
    悲しいレッテルを貼られがちですが
    この本はそうではありません。
    確かに長いですが決して難解ではなく
    彼の文章に惹かれることでしょう。

    本当の主人公はアンナなのですが
    私は失意の底に落ちたキティが気に入っています。
    彼女の再生の模様を見ていきたいです。

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    2013年07月03日
  • アンナ・カレーニナ 4

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    アンナの他人からみた時の美しさの描写、猟の描写、リョーヴィンキティの掛け合い、リョーヴィンの最期の悟りの部分、特に良かった。ありとあらゆるテーマが緻密に書き込まれていていながらわかりやすいダブルプロットでとても読みやすく☆5を付けざるをえない。とても楽しかった。

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    2013年06月21日
  • アンナ・カレーニナ 3

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    ここまでいろいろ盛り込まれてる上に面白いなぁと思うと4をつけれない。他の4と別格ゆえに5しかありえないみたいになる。

    リョーヴィンの童貞臭さがすごく好きだわ。

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    2013年06月19日
  • アンナ・カレーニナ 3

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    トルストイを読んでいる時、同時代のドストエフスキーのことをつい考えてしまう。ドストエフスキーは貧困と底辺の生活に喘ぎながらもその中から無数の声無き声を聞き取り、分裂し矛盾する人間というものを混沌的に暴き出した。それに対してトルストイは、社会に翻弄される個人というものを観察しながら人間が人間として生きようとする感情に寄り添おうとした作家だと言えるだろう。それ故に登場人物の感情の機微は丁寧に描かれ、全編通して唯一副題の付く5部20章でニコライが死に至る描写はその最たる箇所であり、凄惨ながらも祝福的ですらある。

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    2013年05月09日
  • イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ

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    ネタバレ

    幸福の虚妄と言う点で文学の優れた業をみせている。裕福に暮らすロシアの中流階級層の人間が、世俗の欲望を追うこと意外に生きる意味を見出せない時、愛欲、嫉妬、憎悪といった利己心の中で、人間の「幸福」の条件を焼き滅ぼしてしまう、という内容。

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    2012年11月24日
  • アンナ・カレーニナ 1

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    リョービンとキティのパートがよかった。多元的でとても人間臭い。農業、労働、宗教に対する考え方に非常に刺激をうけた。
    一方でアンナとヴロンスキーはまさに悲劇のヒロイン。情熱に浮かされて自分で自分を追い詰めていく様に人間の恐ろしさを感じた。

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    2012年05月16日
  • アンナ・カレーニナ 4

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    非常に恥ずかしながら、21年の生涯初のロシア文学。

    心のどこかで、いつかは触れるべきだと思っていながら漸く今回、読み終えることが出来た。
    今までの他の作品であれば、読み終えたあとは何らかの気持ちに加えて、読み終えたという達成感のようなものを感じていた。
    しかし今回は違う。
    達成感も感じてはいたが、それ以上に「もうこの作品の世界を味わうことはできない」といった寂しさを感じた。
    本作「アンナ・カレーニナ」を読むにつれ、アンナ、リョーヴィン、オブロンスキー、キティ・・・といった登場人物たちが私の日常生活の一部となっていった。
    彼らと共に過ごした時間をもうこれ以上共有できないと考えると、やはり寂しさが表に出てきてしまう。

    作品世界に関しての議論は私は専門家でも何でもないので、触れるべきではないが、少なくとも、この作品が人間のあらゆる側面を描き出しているということは断言できる。
    本当にこれが、時代も場所も違う1870年代ロシアを舞台にして描かれていたのかと見紛うくらい、人間という生き物の中にある不変な本質を私に伝えてくれたと感じている。

    我々は恋をする。
    しかし恋敗れれば悲しみもするし、時によっては自分を捨てた相手を憎むこともあるかも知れない。
    自分が愛していると思っている人が他の誰かを好きになる。
    当然嫉妬も起こるだろう。
    時代の流れの中で、以前は順風満帆であった事業に陰りが見られることもあるかもしれない。
    自分の子供が出来れば、あれやこれやと自分がしたいと思っていることを子供に託すこともあるかもしれない。
    このようなごくありふれた日常の様子・感情が実に細かく描写されている。

    内容の充実度も勿論のこと、表現の観点からも、私はこの作品が「Masterpiece」であることを心から感じている。

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    2011年11月05日