望月哲男のレビュー一覧
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ネタバレ前巻である程度収拾がついたと思われた人間関係・社交界との関係・価値観の変化がもう一度展開される
リョーヴィンとキティのカップルは、ニコライの死を通じてより一層深い関係になり世間と良い関係を築こうと志す一方で、ヴロンスキーとアンナのカップルは社交界から拒絶されてることを自覚しており、利害関係者・身内だけで世界を閉じてしまった
両カップルと仲の良いドリーは、ヴロンスキー邸で時間を過ごすことで、母親であることの尊さ・善性を再認識する
精神的・観念的な事柄に対する関心はヴロンスキーもリョーヴィンももっているものの、前者はそれを肯定的に見ている一方で、後者はそれを無意味なものとして否定的に見なすという -
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ネタバレ前巻においては夢見がちで彼との結婚を目前に捉えていたアンナと、現実的でカレーニンを現実の障害として捉えていたヴロンスキーの二人が、この巻では逆の立場になる
その点は、農奴解放などで現実を直視せざるを得なくなった貴族の視点と、出世コースに乗ろうと思えば乗れる青年将校の視点の違いが遂に現れたんだと思う
いずれにせよ二人ともどん底には陥るし、実際死にかける
地獄にスキップして向かうか現世をチラチラ見ながら向かうかという程度の違い
一方、絶望的な展開だったキティとリョーヴィンの二人は、オブロンスキーが主催する食事会で再会したことでお互いの気持ちを完全に理解してあっという間に結婚に向かっていく
読んで -
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ネタバレ『戦争と平和』と並ぶトルストイの代表作
政府高官であるアレクセイ・カレーニンの妻アンナは、兄のオブロンスキーとその妻ドリーの喧嘩を仲裁するためにペテルブルクを訪れたところ、エリート将校であるヴロンスキーに一目惚れする
その一方で、地主貴族でありオブロンスキーの親友でもあるリョーヴィンはオブロンスキーの義妹キティに求婚するも断られていた
この恋敵がヴロンスキーであり、キティも彼を気に入っていたのだが、前述のタイミングでヴロンスキーもアンナに惚れる。それを知り気に病んだキティはドイツに湯治に向かう
あらすじを聞いて分かる通り非常に複雑な人間関係なのだが、主要登場人物に関しては読んでいる内に慣れ -
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ネタバレ以前(と言っても2025年の6月の樫本大進)、ヴェートーヴェンのクロイツェル・ソナタを聞いた時に、トルストイがそれを踏まえて小説を書いていると知って、次にもしクロイツェルを聞くことがあったら、読もうと思っていたところ、案外早くその機会が訪れそうなので、読みました。
収録されている「イワン・イリイチの死」も面白かった、し死への向き合いシミュレーションとして、真に迫るものがあって、トルストイすごい…と概ねなっていた。何も背景なく本作を手に取ったら、むしろ「イワン・イリイチの死」の方が面白かった&好きだったかも
「クロイツェル・ソナタ」
…そもそもわれわれ男性だけが知らないこと、それも知りたくない -
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ナターシャとピエールの甘い結婚生活を見ているのは気持ちが良い。エピローグに入ると、しばらく息を潜めていた語り手が登場し、ナポレオン戦争、ひいては戦争についての考えを述べる。
『戦争と平和』の「平和」の部分はこの巻の中に詰まっている。ナポレオンやルイ14世のような、影響力が大きかった指導者、君主1人が歴史を動かしたように思われるが、そうではなく、それを取り巻く当時の諸国民の動きや関係性にも目を向けるべきであるという主張をしている。
読み物としては高く評価しているのだが、フィクション(虚構物語)としては(個人的には)それほどグッと来る感じはない。
ただ、本作を学生時代に読めていたら、違う感想 -
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フランスから帰ったばかりのピエールと悪友たちは、酔った勢いで警察署長に乱暴を働き、ペテルブルクを追放される。ここで、ピエールの「軸がしっかりとしていない危うさ」を感じた。ピエールが周囲の空気を読めない、浮いた存在であることも相まって余計に不安になる。
ピエールが現時点で優れていないのにも関わらず、庶子から嫡子へ昇格し、莫大な財産を1人で相続することとなる。これもまた不安要素である。
『戦争と平和』(2016年、英国放送協会製作)のテレビドラマを先に見たことがあって、ピエール役(ポール・ダノ)の印象が強く、少し太った感じ、根暗そうな雰囲気のイメージがどうしてもある。 -
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原著1999年刊。
「怪物」ソローキンによる、破壊と猥雑化の限りを尽くした、妙な小説である。
読み始めるとすぐに、ボリスなる人物による、何を言っているのか全然わからないような手紙が延々と綴られてゆく。この圧倒的な「わからなさ」「言語の異物感」は、大昔に読んだSF小説『ニューロマンサー』の文章の感覚に似ている。
ひっきりなしに繰り出される妙な造語は、よく見ると巻末に用語解説が載っている。しかし、そこでピックアップされているのはごくわずかであり、このボリスの文章を理解するにはまったく足りない。
やがてボリスのパートが終わり、もっと分かり易い文体が出現する。
第二次世界大戦がロシアとドイツ