望月哲男のレビュー一覧

  • イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    以前(と言っても2025年の6月の樫本大進)、ヴェートーヴェンのクロイツェル・ソナタを聞いた時に、トルストイがそれを踏まえて小説を書いていると知って、次にもしクロイツェルを聞くことがあったら、読もうと思っていたところ、案外早くその機会が訪れそうなので、読みました。
    収録されている「イワン・イリイチの死」も面白かった、し死への向き合いシミュレーションとして、真に迫るものがあって、トルストイすごい…と概ねなっていた。何も背景なく本作を手に取ったら、むしろ「イワン・イリイチの死」の方が面白かった&好きだったかも

    「クロイツェル・ソナタ」
    …そもそもわれわれ男性だけが知らないこと、それも知りたくない

    0
    2025年08月24日
  • 戦争と平和6

    Posted by ブクログ

    ナターシャとピエールの甘い結婚生活を見ているのは気持ちが良い。エピローグに入ると、しばらく息を潜めていた語り手が登場し、ナポレオン戦争、ひいては戦争についての考えを述べる。

    『戦争と平和』の「平和」の部分はこの巻の中に詰まっている。ナポレオンやルイ14世のような、影響力が大きかった指導者、君主1人が歴史を動かしたように思われるが、そうではなく、それを取り巻く当時の諸国民の動きや関係性にも目を向けるべきであるという主張をしている。

    読み物としては高く評価しているのだが、フィクション(虚構物語)としては(個人的には)それほどグッと来る感じはない。

    ただ、本作を学生時代に読めていたら、違う感想

    0
    2025年06月24日
  • イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ

    Posted by ブクログ

    エリザベスキュブラーロスの死ぬ瞬間と通じるものがあった、死ぬことを考えた。それからロシアの女をまたよく知れた。

    0
    2025年05月25日
  • 戦争と平和1

    Posted by ブクログ

    フランスから帰ったばかりのピエールと悪友たちは、酔った勢いで警察署長に乱暴を働き、ペテルブルクを追放される。ここで、ピエールの「軸がしっかりとしていない危うさ」を感じた。ピエールが周囲の空気を読めない、浮いた存在であることも相まって余計に不安になる。

    ピエールが現時点で優れていないのにも関わらず、庶子から嫡子へ昇格し、莫大な財産を1人で相続することとなる。これもまた不安要素である。

    『戦争と平和』(2016年、英国放送協会製作)のテレビドラマを先に見たことがあって、ピエール役(ポール・ダノ)の印象が強く、少し太った感じ、根暗そうな雰囲気のイメージがどうしてもある。

    0
    2025年05月23日
  • アンナ・カレーニナ 3

    Posted by ブクログ

    アンナの態度がだんばたん腹立たしく感じてきた。

    かつて夫に浮気されたドリーをなだめたアンナが不倫をしているということを知ってもなお、ドリーにとってアンナは特別な存在で、アンナを否定的に見ていないのが印象深い。むしろ、アンナの不倫を「自分で自分の人生を生きる」ことの象徴的なイベントとして捉え、不倫されて以来つっかえていた夫に対する思いを吐き出す勇気をもらっている。

    0
    2025年04月15日
  • アンナ・カレーニナ 1

    Posted by ブクログ

    フロベールの『ボヴァリー夫人』は不倫という点で共通しているが、タイトルは〇〇夫人となっている。『アンナ・カレーニナ』が「カレーニン夫人」という題ではないことは、誰かのものではなく一個人であることを主張しているのではないか、と思うのは考え過ぎだろうか。もう1人の主人公リョーヴィンとキティの行末を楽しみにしながら、読み進めていこうと思う。

    0
    2025年03月29日
  • アンナ・カレーニナ 2

    Posted by ブクログ

    これがロシア革命前であると思いながら読むと、リョーヴィンの思想がいかに危ういものだったか分かってしまう。今回は幸福のうちに終わったが、善良ゆえに、一手に大衆の悪意も担ってしまいそうで、続きがなんだかおそろしい…。とはいえ、共産主義たりえなかった白樺派がトルストイを精神的支柱とした理由は分かった気がする。

    0
    2025年03月16日
  • アンナ・カレーニナ 1

    Posted by ブクログ

    自分は浮気者の気持ちは全くもってわからないし、まして、他人を不幸にしてまで恋に走る人の気持ちなんて理解できそうもない人間だが、丁寧な心情描写により、これはもう仕方がないと思わせるのはさすが世界的文豪のなせる技か。とはいえ、より胸に迫るのは、穏やかに整然と農作業に打ち込むリョービンや、侮辱されたと思い、悩むキティ、朗らかな人に尽くすワーレニカなど、周辺人物で、リョーヴィンやワーレニカのように私も生きたい…

    0
    2025年02月11日
  • アンナ・カレーニナ 1

    Posted by ブクログ

    ロシア文学、古典の傑作という事でかなりの密度だったが、おすすめされた光文社古典新訳文庫訳で挑戦

    物語は2つの主旋律が進んでいくイメージで、
    時系列や相関が複雑に絡み合っていく

    また、主要人物の深層心理がどこまでも掘り下げられており、
    更に当時のロシアの貴族社会の風俗的な描写、今後の帝国主義の崩壊の萌芽も相まって、
    理解を進めるのには多次元的な整理がいるかもしれない

    刹那に向かうことで狭まっていくことと
    理解できないことが最後には広がっていくこと
    その対比を俯瞰していくと様々な絵が見えてくると思った

    0
    2024年12月02日
  • スペードのクイーン/ベールキン物語

    Posted by ブクログ

    不勉強にして、初めて読んだ。おもしろいねぇ。
    現実と幻想が交錯し、いろんな解釈が可能な作品だ。当時のロシアについて詳しくないので、理解が及ばないところもあるけど、それでもいろいろと考えてしまう。
    普遍的な作品ってのは、こういうものだよね。

    0
    2024年11月17日
  • 青い脂

    Posted by ブクログ

     原著1999年刊。
    「怪物」ソローキンによる、破壊と猥雑化の限りを尽くした、妙な小説である。
     読み始めるとすぐに、ボリスなる人物による、何を言っているのか全然わからないような手紙が延々と綴られてゆく。この圧倒的な「わからなさ」「言語の異物感」は、大昔に読んだSF小説『ニューロマンサー』の文章の感覚に似ている。
     ひっきりなしに繰り出される妙な造語は、よく見ると巻末に用語解説が載っている。しかし、そこでピックアップされているのはごくわずかであり、このボリスの文章を理解するにはまったく足りない。
     やがてボリスのパートが終わり、もっと分かり易い文体が出現する。
     第二次世界大戦がロシアとドイツ

    0
    2024年11月07日
  • アンナ・カレーニナ 3

    Posted by ブクログ

    後半の話(選挙の下り)が分かりにくかったけど、いよいよ話も大詰めとなって面白かった!
    特にコズヌィシェフとワレーニカの場面の描写が美しい…。読み終わるのが楽しみです。

    0
    2024年09月23日
  • アンナ・カレーニナ 2

    Posted by ブクログ

    物語が進むにつれますます面白くなっていく!
    ただこの巻の終わりの方の登場人物の言動がイマイチ掴みきれず。何故あんな変化をしたのだろう。
    ぐちゃぐちゃになっていく人もいれば、急に全てが上手く行き始める人も。これからどうなるかな。楽しみ。

    0
    2024年09月08日
  • アンナ・カレーニナ 1

    Posted by ブクログ

    すれ違いってこうやって起こるんだなという感想。あと心理描写が繊細で読んでいて自分も心当たりがあると思うことがしばしば。言語化してくれる本だった。
    ロシアの文化、風俗に疎いので分からないこともあったけど十分読めました。

    0
    2024年09月08日
  • 戦争と平和3

    Posted by ブクログ

    ピエールとアンドレイの心境の変化。
    絶望と諦めと決意、これだと思って人生を進んだつもりが、いややっぱりこれじゃないとなる気持ちにはスケールこそ違えど共感する。

    0
    2024年08月02日
  • 戦争と平和2

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ピエールの決闘、フリーメイソンへの入信、ドーロホフとニコライの賭け勝負、アンドレイの帰宅、妻の死、子供の生誕、アンドレイとピエールの再会、など盛りだくさん。

    トピックを思い起こすだけでストーリーが立ち上がってくる。1よりだいぶ物語が加速。面白い!

    0
    2024年07月23日
  • イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ

    Posted by ブクログ

    ▼えぐいです。トルストイさん。

    ▼「イワン・イリイチの死」は、俗物の役人(貴族なんだっけな)が結婚して働いて子供もできて出世もするけど中年?初老?で病を得て死ぬ。なんだけどこの人がもう、なんのためにどう生きてきたのか、人生が絶望至極の中で病にもだえ苦しむ姿が、もう圧巻‥‥。実にひやりとじめっと冷たくて絶望的な強烈さと突き放したユーモアに包まれる衝撃。

    ▼「クロイツェル・ソナタ」要するに「嫉妬の余り妻を殺害しちゃった男の回想物語」なんです。19世紀?20世紀初頭?のロシア社会のなかで、この人は別段死刑にならずに数年して社会復帰している。そして、たまたま列車で乗り合わせた若者が、知識ゼロから彼

    0
    2024年04月14日
  • イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    『イワン・イリイチの死』が特に好きだった。
    私もとある病気で、この苦しみから逃れられるくらいなら死んだっていいって思うくらいのお腹の痛みに苦しんだことがあるので、イワン・イリイチの苦しみの描写はとても共感できた。
    病気になると、周りは最初は心配してくれていても、そのうちこの嫁のように疎ましく思ったり病気になったことや苦しんでいることが他人への当て付けなんじゃないかと思われたりすることは本当にあるし、病気のせいで周りを暗い気持ちに引きずり込んでしまうこともよくあることだと思う。

    自分の人生は間違いだらけだったんじゃないか、こんな時に甘えることができるのは使用人だけなのかとか、なぜ自分だけがこん

    0
    2024年03月30日
  • 白痴1

    Posted by ブクログ

    いわゆる5大小説の中では最も読みやすく、19世紀末のペテルブルクを楽しめました。世俗にまみれた人々の中に天使のような人物が舞い降りたらどうなってしまうのか。

    0
    2024年01月07日
  • 戦争と平和1

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    (2023-05-10L)(2023-06-03L)(2023-06-28L)(2023-07-18L)

    0
    2023年08月04日