風野真知雄のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
時代物には珍しい倒叙ミステリー。
ただこの手の作品にはよくある、探偵は一見冴えないキャラクター。
縮れた髪の毛と名前から『ちぢれすっぽん』という酷いあだ名を付けられている臨時廻り同心・亀無剣之介。
だが名前の通り剣の腕と推理力は卓越している。
シリーズ第六作は三編。
人気の手妻師が瓦版屋を、有名料理屋の主が土地を買い占めようとした豪農を、堅物の駕籠かきが相棒を殺したそれぞれの事件を解き明かす。
倒叙方式なので犯人はあらかじめ分かっているが、明かされていない部分もある。どうやって殺したのかやその動機など。そこを亀無と一緒にこちらも考えていく楽しみがある。
亀無の立ち位置は何とも掴みどころがない。
出世欲があるわけではないし、罪を犯した者を許さないという強い正義感があるわけでもない。
最終話には彼の心の内が明かされている。
『真面目に、こつこつと、いじましく、おどおどしながら、派手なこともせず、なにが楽しみなのか自分でもわからないまま無事が一番と生きてきた』
『下手人をひとりあげても喜びがこみあげたことなどあっただろうか。いつも徒労のような気がする。殺すのも徒労。捕まえるのも徒労』
だが犯人の巧妙な計画を暴くためなら必死に頭を働かせているし、巧妙な犯人にお前がやったのだと突きつけるためには多少のはったりや罠も仕掛けている。
敢えて言うならば、最終話にあるように詰み将棋のような感じなのだろうか。
相変わらず隣人で与力の松田重蔵が面白い。頭が良すぎて毎回『珍推理』を亀無に押し付けている。
だがそれがちょっとしたヒントになることもあるから馬鹿に出来ない。
松田の妹・志保との関係も全く変わらない。傍から見れば両想いだろうに、亀無には一歩進む勇気がない。亡き妻との間に生まれた娘・おみちもすっかり馴染んでいるし、隣家で行き来もしょっちゅうだし、このままで良いのかも知れない。
※シリーズ作品一覧
★はレビュー投稿あり
①「わかれの花」
②「消えた女」
③「恨み猫」
④「きつね火」
⑤「やぶ医者殺し」★
⑥ 本作 ★ -
Posted by ブクログ
時々無性に読みたくなるのが、
ユーモアとペーソスを感じさせる筆致の
風野真知雄さんの作品。
これは隠居した元目付け身分の武士が、息子が外に作った女の孫、桃子にぞっこん!
その安全を守ろうと家を出て子守りを勝手出る、、というシリーズ。
今回は前作に続き、珠子の妹分の芸者、蟹丸。
元気で明るく芸事にも熱心で珠子を尊敬する芸者。
その蟹丸には、人に言えないヤクザな兄が。
その兄、千吉の魔の手から逃げようと蟹丸は姿を消す。
桃太郎も、音吉に襲われてから、危険を察知し、桃子を遠ざけることにした。
珠子も桃子の安全を第一に夜のお座敷は断る。
他に良い芸者が少ない地域で、お座敷は閑古鳥。
桃太郎の動きを止め、千吉は噂を撒く。 -
購入済み
妻は、くノ一 1~10巻
いつも感心することだが、この作者の筋立ては骨太で読んでいて飽きない。さらにこの物語では恋愛感情をさりげなく美しく描いる。時代小説の新しい方向性を示しているような気さえする。登場人物が荒唐無稽なところは感心できないが傑作と言える作品である。
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耳袋秘帖シリーズ「南町奉行」編・第二弾。
麻布界隈で起こる怪しげな出来事と、大身旗本の屋敷内にある“がま池”と呼ばれる沼の怪異の関係は?根岸奉行とその配下たちが真相に迫ります・・。
前巻でなし崩し的に、しめさんの手下にされてしまった“雨傘屋”が、本書でもなかなか頑張っております。
ただ、せっかく気になる噂を聞き込んできても、しめさんの独断で潰されがちなのがお気の毒です。
それに比べて、凶四郎と源次の息の合ったバディっぷりは安心して見ていられますね。
そして、我らが根岸奉行はどんな些細な事でもしっかり拾い上げてくれて、それがお奉行の思考の柔軟さに繋がっているのかな、と思います。
今回も旗本屋敷の謎と、その背後にあった揉め事を見事に突き止めていました。水田開発の落とし穴的考察も、“なるほど!”と頷けるものがありました。
さらに、当シリーズで何気に茶目っ気を見せてくれている元老中・松平定信が、意外な“沼好き”という事が判明し、件の旗本屋敷の“がま池”(ほぼ沼のような池)に異常な食いつきを見せて、アポなしで突撃訪問するのに巻き込まれる根岸奉行・・という図が笑えます。
因みに、本書でも以前のシリーズでご活躍した栗田さん、宮尾さん等の根岸ファミリーが、ちょっとだけ登場するのですが、個人的に坂巻さんも出して欲しいと願っております。