風野真知雄のレビュー一覧
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耳袋秘帖シリーズ「南町奉行」編・第五弾。
中渋谷村にある、“犬神の家”と呼ばれる旗本屋敷に迷い込んで出てきた犬が、飼い主を噛んで逃亡。
“犬わずらい(狂犬病)”を警戒した根岸奉行の命で、昼間は“しめさん&雨傘屋”、夜間は“凶四郎&源次”が見廻りを強化する中、付近の神社で首に噛まれた跡のある死体が見つかって・・・。
今回は、渋谷村近辺で起こる、犬がらみの珍事を解決しつつ、背景にある“真神さま”と呼ばれる犬神信仰を絡めた不穏な動きを追求していく展開です。
この“真神(犬神)さま”に、楽翁様こと元老中・松平定信も魅了されてしまうというところが、信仰独特のマインドコントロール的な危うさが伝わってきますね。
毎度のことながら、根岸奉行は、部下達の話を聞いただけで謎を解いてしまうという安定っぷりでございます。
ただ、全体的に何だかボンヤリした内容で、村人の失踪の件も“すねこすり”は必要だったかな~?なんて思ってしまった次第です。
とはいえ、肩肘張らずにスナック菓子感覚で読めるユルさがこのシリーズの良さなので、“まぁええか”とも思います。
ユルいといえば、第一話「狛犬変化」での宮尾さんと骨董屋の爺さんとの、“十手のやり取り”がいい意味で脱力していて個人的にツボでした。宮尾さんのこういうユル軽いところ、好きですね~(笑)。 -
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耳袋秘帖シリーズ「南町奉行」編・第四弾。
江戸の町で火事が多発。公儀から叱責を受けた町方は総出で“火の用心”の強化に努めることに。
そんな折、ある廻船問屋で開かれた花火の宴で、巨大な火花の妖かしが現れて・・・。
今回は多発する火災の裏側で怒っている出来事・・宗源火、“赤猫”と呼ばれる大工、火の玉小僧、火消し婆等々・・といった謎から、某藩のマッチポンプ的なお家騒動に至るまで、“チーム根岸”の面々がバランスの良い活躍ぶりで根岸奉行をサポートして、真相に迫っていきます。
最近、赤丸急上昇中の雨傘屋は、“からくり系”に強いので、根岸奉行も重宝している様子ですね。
そんな雨傘屋の上役(?)の、しめさんの承認欲求も微笑ましいものがあります。
そうそう、久しぶりに椀田さんの姉のひびきさんも少しだけ登場して嬉しかったです。
宮尾さんとの関係はどうなっていくのでしょうね・・そして、謎の女性・お糸も気になるところです。
という訳で、次巻も楽しみにしております~。 -
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耳袋秘帖シリーズ新章がいつの間にか出ていた。
といっても過去のシリーズのメンバーもそのまま出てくれているので嬉しい。さらに新メンバーも出来て覚えるのが大変になってきたが話は軽快なので楽しめる。
今回の謎は『大凶寺』という不吉な名前を付けられた寺。本当は『題経寺』という名前があるのだが、おみくじを引けば大凶ばかりが出る、墓石が倒される、幽霊が出る、檀家には不幸が起こる…などまさに『大凶』な寺になっている。和尚は京の本山に帰り、新しい和尚が派遣されたのだがその新しい和尚というのがどうも怪しい。
他に小ネタとして、頼まれて幽霊の振りをする女(こちらは後に殺害されてしまうので小ネタではないのだが)、松平定信が毎朝経験する不思議な出来事、亀の甲羅にきのこを生やして売る雨傘屋、路地裏で突然消える托鉢僧。
妖談シリーズの椀田・宮尾コンビはいつものように根岸奉行を警護し、凶四郎シリーズの凶四郎・源次コンビは夜の見回りで不審なことは見逃さない。そして個人的に好きなキャラ・女岡っ引のしめ婆さん(本人は『清香』という名前で呼んでもらいたいらしいが誰も呼ばない)に無理やり勧誘された雨傘屋(正確には「元」雨傘屋なのだが、本名は出されず皆雨傘屋と呼んでいる)という新コンビも結成。
今後はこの3組のコンビを中心に探索をするということになるのだろうか。たまには坂巻・栗田コンビも出して欲しいが。
肝心の本ネタの謎としてはちょっと拍子抜け。だがこれまでのシリーズは途中でラスボス的な敵が出てくるのでこちらもそのうちそうしたキャラが登場するのか。それともすでに登場しているのか。
※耳袋秘帖シリーズ
作品数が多くここには書ききれないため、シリーズ名だけ書いておきます。
「殺人事件」シリーズ 坂巻・栗田コンビ
「妖談」シリーズ 宮尾・椀田コンビ
「眠れない凶四郎」シリーズ 凶四郎・源次コンビ
「南町奉行」シリーズ 本編 -
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耳袋秘帖シリーズ「南町奉行」編・第三弾。
海産物問屋〈三陸屋〉の蔵の中で、十人以上ものバラバラ死体が見つかります。
さらに、ただ一人店内で殺されていた手代のかたわらには血文字で「がしゃどくろ」と書かれていて・・・。
長年耳袋秘帖シリーズを読んできて、様々な風変わりな事件がありましたが、今回の現場はトップクラスに入る凄惨さでしたね。
この度も“チーム根岸”の面々・・凶四郎さん、椀田さん、宮尾さん、雨傘屋、しめさん等々の、役割分担がしっかりできていて、各人の成果を根岸奉行がまとめ上げるという鉄板の流れで、安心して読めました。
個人的には今回の敢闘賞は雨傘屋かなと思います。バラバラになった骨から個人を割り出すという、気が遠くなるような、そしてメンタルが削られるような、何気に一番大変な仕事だったと思います。雨傘屋、お疲れ様でした。
“ご近所三悪党”の身勝手な利害で、とんでもなくおぞましい事件が起こってしまったわけですが、今回は寺社奉行・脇坂淡路守(『閻魔裁き』の人と同一とみて良いのかな?)が協力的だったのも良かったですね。
“チーム根岸”といえば、前巻で栗田さんがチョイ出演していましたが、坂巻さんの再登場も心待ちにしております。 -
購入済み
沢山の事件と難問を抱える魚之進
ボッとして惚けて頼りない態度はしているが頭の良い味見方、月浦魚之進はいよいよ江戸城に登城する日が来た。将にその日、御膳奉行松田欽四郎が朝餉の味噌汁に仕込まれた毒により亡くなる事件が発生した。魚之進は将軍毒殺の計画が身近に迫るのを感じる。
再度、市中見廻りに戻った魚之進は、高価な根付けや器などを握り飯の中に隠し、天麩羅にして盗む事件で、利介という大阪から来た金持ちの料理人を捕まえた。魚之進は、友人の本田伝八の祖父が書いた疑惑帖が役に立ち、利八が盗人であると確信したためである。
第二話「スッポンポン」は、スッポン鍋を食べるには裸にならないといけない料理屋の名である。店の主が客を裸にさせてふんどしを確認したいという阿呆らしい理由からだ。探していたふんどしの男を見つけ、魚之進は見事に犯人を捕らえた。
第三話「幽霊そば」は、備中松山藩中屋敷で女中奉公をしていた女が、その家の用人から誘われるのを断った。それを根に持った用人が女を苛めて、その果てに女は井戸に身を投げて自殺した。その女中の姉が敵討ちするのを魚之進が援助して果たさせるという話しだ。
第四話「陰膳だらけの宴」は、深川の料亭「平きよ」に総勢30名の宴会の注文が入ったが、当日出席した者が四人だけだった。その理由を魚之進が探ると、城内で旗本の辻岡亀五郎と西国、吉野ヶ里藩藩主との口論が起き、刃傷沙汰になったという。その後、吉野ヶ里藩は改易されたことで、藩内では敵討ちとお家再興の二派に割れた。そして旗本屋敷の隣にある「平きよ」で、復興派が敵討ち派を止めるために宴を開いたと言うことだった。この結末は同心の魚之進の力では処理することは出来ず、お奉行を通して解決して貰うことになるのだが・・・
将軍の毒殺計画や藩の改易などの事件は、当然、江戸幕府の体制に係わる事件であり、その体制が少しずつ壊れだしたと言えるかも知れない。魚之進の周りには事件や難問題が沢山あると感じるが、物語があちらこちらに飛んで焦点が見えにくい。今後どんな展開になるのか全く不透明である。読者としても先を続けるべきか、大変迷うところである。