風野真知雄のレビュー一覧
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『味見方同心シリーズ』の、“サードシーズン”が始動。
本書はその第一弾でございます。
南町奉行所味見方同心・月浦魚之進が食べ物にまつわる謎や悪事に挑む、連作四話の構成となっております。
前作では、魚之進がおのぶにプロポーズをした場面で終わっていましたが、めでたく夫婦になって幸せな新婚生活を送っているようで良かったです。
そして、前シリーズでもおのぶは何かと謎解きに関わりたがる傾向にありましたが、魚之進と夫婦となった今、より積極的に事件解明の手助けするようになって、実際おのぶの推理が解決の糸口になっているので、頼もしい限りですね。
さて、今回は「化かされそば」「化粧寿司」「カラスの黒鍋」「クジラの活きづくり」といった、珍料理の裏にある謎を、いつものように魚之進&麻次のコンビ(&おのぶ)が解決していく流れなのですが、今のところ前シリーズのような、巨悪が背景に云々・・みたいな大きな事件はまだ無い感じです。
本シリーズのタイトルに“魔”が入っているのに関連するのか、“魔食会”という“魔味(謎の味覚)”を追求する、ちょっと変わった会が登場するものの、こちらは魚之進の上司・筒井奉行も参加したりと、名前のわりに悪い集まりではなさそうですね(今後も出てきそうではありますが)。
そんな訳で新シーズンが開幕したわけですが、新妻のおのぶが早速いい働きを見せてくれました。
彼女は推理だけではなく武芸の腕もたつので、今後もさらなる活躍で魚之進をサポートしてくれることを、期待しております~。 -
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耳袋秘帖シリーズ「南町奉行」編・第八弾。
紙問屋〈大松屋〉の若旦那が溺死してしまいます。
亡くなった若旦那は、その夜“野だいこ(フリーの幇間)”の超弦亭ぽん助と遊んでいたことが判明。
ぽん助には、“彼(ぽん助)と遊んだ客はなぜか数日以内に死んでしまう”という不吉な噂があって・・。
今回は、次々と謎の死を遂げてしまう若旦那たちと、ぽん助がその死に関わっているのか?という謎をメインに追いつつ、その合間に“料亭に出現する座敷わらしの件”、“絵に描かれた猫の生気が抜けてしまった件”、“楽翁(松平定信)様が屋敷の庭から消えてしまった件”等・・といったサブの謎を解明して繋いでいくという、お馴染みの展開でございます。
さて、“死神幇間”と噂されるぽん助が、本当に“死神”なのか・・?という謎について、なかなか尻尾を出さないぽん助に捜査は難航するのですが、根岸奉行は“若旦那たちの死に、ぽん助が関わっていることは間違いない”と判断。
元岡っ引きの現役幇間・“よいしょの久助”にも協力を仰いで、ぽん助と死亡した若旦那たちの過去を洗ったりと粘り強く追及していきます。
終盤での、根岸奉行とぽん助との心理戦のようなやり取りが交わされていくうちに、ぽん助の心の闇が暴かれていく様子には思わず引き込まれました。
そんな訳で、心理サスペンス的な要素が強めな印象のせいか、この巻はいつもよりしんみりとした読後感だったように感じた次第です。
ところで、前々から再登場を希望していた坂巻さんが、今回チラっと登場していたのには“おおっ!”と反応してしまいました・・とはいえ、久々の登場なのに出番少なすぎですけどね~(涙)。
さらには、椀田さんの姉・ひびきさんも手習い所の師匠として、いきいきと働いている姿を見せてくれて嬉しかったです。
今後、宮尾さんとひびきさんの進展はあるのでしょうか・・この辺りも気になるところです~。 -
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南町奉行シリーズ第五作。
今回はタイトルで示されているように犬にまつわる話。
犬わずらい(狂犬病)の不安、狛犬が犬に変化、突然現れた犬の首塚という犬に関係する事件が続く中で一つだけ変わり種の妖怪すねこすりは耳袋シリーズらしくて好きだった。
好きと言えばこのシリーズは三組のコンビが活躍するのだが、中でも女岡っ引きのしめさんと発明家の雨傘屋が今回も良い味を出している。
しめさんは話しやすい親しみやすさを発揮して聞き込みが上手いし、雨傘屋は不思議な事件も合理的な手段を見つけ出す。
夜眠れない凶四郎と源次コンビ、シリーズ初期からのレギュラー宮尾と椀田も頑張っている。
全体的にはこれまでの作品に比べると小粒な感があるが、元老中の松平定信まで巻き込む危うい魅力があるということで、現実の事件とも重なって怖い気もする。
救いは凶四郎と源次のお気に入りのお店の常連客たちの行く末。ハラハラしていたので良かった。
それにしても根岸奉行は相変わらず鋭い。安楽椅子探偵のようだが、出ていくところは出ていって決めるので頼れるお奉行だ。 -
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ネタバレ潜入 味見方同心(六)・完結編。
食べ物にまつわる謎や悪事を解決する、南町奉行所味見方同心・月浦魚之進の活躍を描く、連作四話が収録されております。
将軍暗殺計画を阻止する為、捜査を続けてきた魚之進達。
悪事の黒幕・北大路魯明庵こと徳川元春が、“疱瘡”を利用した暗殺を企んでいることを突きとめますが・・・。
“潜入” 味見方同心シリーズも、ついにこの巻で完結との事。
いつものように、市井にはびこる食べ物がらみの悪事を暴きつつ、大奥の八重乃さんや御広敷伊賀者・服部さんたちと連携して、暗殺計画を未然に防ぎその計画に加担していた者達も次々判明していきます。
その流れで、魚之進の元義姉・お静の実家の豆問屋を逆恨みしていた男も無事捕縛。
そして、第四話ではついにラスボス・魯明庵との直接対決です。
かなりの強敵でしたが、魚之進を筆頭とした“味見方メンバー”が一丸となり、見事魯明庵を捕縛できて、あっぱれでした。
そうして迎えたラストでは、魚之進が“あの人”にプロポーズをする場面で終わります。
前(隠密)シリーズも似たような場面で終わっていたのでデジャヴみたいな感覚ではあったのですが、この巻は祝言を挙げている表紙につながるということでよいのですかね?・・だとしたら、“めでたし、めでたし”でございます。
読みやすくて毎回“珍メニュー”で楽しませて頂いた、このシリーズ。
是非とも“サードシーズン”を出して頂きたいと期待しております~。
(その時は、本田さんにも春がくるとよいですね!) -
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耳袋秘帖シリーズ「南町奉行」編・第六弾。
深川、続いて神田の床屋で身元不明の首無し遺体が発見されます。
どちらも床屋のあるじは行方が知れず、その首切り事件を皮切りに“首がらみ”の事件が立て続けに起こって・・・。
今回は“首騒動”ということで、床屋での首切り事件を核に、ろくろっ首や、首無し亀、さらに女の首と狸の胴体が発見されるといった怪事件を、根岸奉行とその配下“根岸六人衆”(椀田、宮尾、凶四郎、源次、しめ、雨傘屋)が解決すべく奔走します。
首切り事件の糸口がなかなかつかめない中、“首無し亀”の事件で知り合った、元土佐藩士の浪人・佐野さんの証言から、かつて上方を荒らした盗人一味へと一気に繋がっていきます。
この佐野さんが、何気にええキャラで、凶四郎から根岸奉行の家来にスカウトされていましたが、今後も登場するのでしょうかね。
さらに、佐野さんの彼女もいい味出ていて、宮尾さんの“好み”とのこと・・ってか、宮尾さん、ひびきさんの事が好きならもっとグイグイいってほしいですよね。
今後二人に何かしらの展開があることを期待します。
で、今回も鮮やかに謎を解いた根岸奉行でしたが、盗人一味に根岸奉行のかつての知り合いがいたり、ちょっと切ないラストでした。
“女郎蜘蛛”の彼女はなかなかの悪女っぷりでしたけどね。
因みに、本文中に瓦版の「文の春」というのが出てくるのですが、“これって、〇〇砲でお馴染みのあの雑誌をモジっているよね?本書の出版元だし・・”と、著者の遊び心にニヤついてしまった私です。 -
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〈耳袋秘帖 南町奉行〉シリーズ第四作。
江戸で火事が多発していることで根岸奉行は老中・水野忠成に叱責されるという冒頭シーン。このことは全編に渡って描かれ、その理由は最後に明かされるのだが、その合間に今回も様々な小ネタが挟まれる。
廻船問屋〈徳州屋〉が開いた「おとな花火の宴」(名前からして怪しい)で起きた怪異。
『赤猫』と呼ばれる大工が建てた家が焼ける事件に宿屋で起きた殺人事件。
火事もなく誰もいないのに勝手に鳴る『お化け半鐘』事件に再び起きた殺人事件。
燃えながら走る『火の玉小僧』事件と謎の『火消し婆』。
小ネタはその度に一応の解決はされるのだが、その繋がりについては今一つ分からないものもあった。私の読解力不足かも知れないが。
或いは次作に続く謎なのだろうか。
ただ今回もチーム・根岸の活躍は楽しい。
雨傘屋は現代の鑑識&トリック解明&からくり再現を担っているし、雨傘屋と組んでいる女岡っ引・しめさんは得意の聞き込みやひらめきで事件解明の切っ掛けを作っている。
また凶四郎&源次の夜回りコンビに椀田&宮尾のお久コンビもいて賑やか。
宮尾もしめさんに負けず劣らず聞き込みは上手い。だがその上を行くのは根岸。思わず語りたくなる雰囲気があるのだろう。
また椀田の姉・ひびきや根岸の思い人・力丸の久しぶりの登場も嬉しかった。
冒頭に登場した謎の女・お糸が今後もキーパーソンとなるのか。宮尾は美人に興味ないのに美人と縁がある。
ひびきも気が気ではないだろう。二人が良い感じになっているところも読んでみたいが。
※シリーズ作品一覧 ★はレビュー登録あり
①「南町奉行と大凶寺」★
②「南町奉行と深泥沼」
③「南町奉行と餓舎髑髏」★
④「南町奉行と火消婆」本作★
⑤「南町奉行と犬神の家」
⑥「南町奉行と首切り床屋」