BS時代劇のドラマの最終回を見たらハマってしまい、次の日に、その原作全10巻を大人買いして、一週間ほどで一気に読んだ。
一口に言うと、軽い推理モノに恋愛ドラマとアクション、サスペンスを要所、要所に乗っけたってな感じ。
歴史小説ではなく時代小説ということもあって、娯楽性重視で文体も今風の慣用句や俗語のようなものもチラホラ。とても読みやすい。
平戸(長崎?)の、とあるさえない藩士の元に、突然、美しい嫁がやって来た。ところがその嫁は、幕府から密偵として差し向けられたくノ一であった。
一ヶ月後、任務を終えたくノ一は、突然に姿をくらましてしまう。夫のほうはというと、その一途さから嫁であるくノ一を探しに江戸へと向かう。それを知ったくノ一は、平戸での思い出を胸に、恋心がどんどん膨らんでいく。
こうして舞台は江戸へと移される。平戸藩、幕府、幕府お庭番(くノ一が属している幕府のスパイ組織のようなもの)の事情の中で、くノ一は夫の背後に暗躍するしかなく、夫はくノ一のわずかな気配や形跡を感じながらも、延々と二人は会えずじまいの物語が続く。
難点は、推理物や捕り物がなぜか日常的に展開され、その上に本来のテーマに基づいたエピソードが合間にはさんえあるという、間延び感が否めないところ。
このテーマで10巻はあまりにも長すぎる。3巻くらいにまとめられたら、とてもいい娯楽小説になるのだが。このジャンルの売れっ子作家らしいから、売り上げがほしい出版社側の意図として、あえて長編にしているのだろう。
とはいえ、冗長であるとか内容が薄いであるとか、ただ単にダラダラと話を長くしているという感じはなく、全編を通してなかなか楽しめるのも事実。一気に読める、とてもおもしろい小説でした。